第11章 司法 |
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第84条 |
(裁判権の行使) |
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裁判に関する権能は法律及び裁判上の諸原則に従い司法機関により行使される |
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第85条 |
(裁判所) |
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(一) |
裁判所は次の三階級により構成される
(a) |
最高裁判所 |
(b) |
上訴裁判所 |
(c) |
郡裁判所 |
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(二) |
第一項の裁判所のほかに、特殊な訴訟事件を審理する特別裁判所または特別法廷を設置することができる |
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第86条 |
(最高裁判所) |
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(一) |
最高裁判所は最上位の裁判所であり、すべての司法機関は軍事裁判所を除き最高裁判所の監督下にある |
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(二) |
省略 |
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(三) |
最高裁判所は長官を含む16名の裁判官によって構成される
訴訟数の増加により裁判官の数が不十分となったときは、特別裁判官を一定期間任命することができる |
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第87条 |
(最高裁判所判事の任命と資格、勤務条件) |
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(一) |
国王は憲法に関する会議の勧告により長官を任命する
また司法委員会の勧告により判事を任命する。長官の任期は7年とする |
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(二) |
5年以上最高裁判所の判事を勤めた者は長官に任命される資格を有する |
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(三) |
次の者は最高裁判所判事の資格を有する
(a) |
10年以上上訴裁判所の判事を務めた者 |
(b) |
15年以上弁護士として実務に携わった者 |
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(四) |
長官が空席になったとき、または病気などの理由により職責を果たせないとき、若しくは国内に不在に為出廷できないときは、国王は最上位の判事を長官代理に任命することができる |
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(五) |
長官及び判事は65歳まで在職することができる |
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(六) |
長官及び判事は辞表を国王に提出することによりいつでも辞職することができる |
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(七) |
長官及び判事は職務遂行の欠如を理由として下院が全議員の三分の二の多数により解任決議案を可決し、国王が裁可したときは解任される |
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(八) |
第七項により解任決議案を提出されたとき、長官及び判事は弁護する正当な機会が与えられなければならない
このため、下院は議員と法律家で構成される委員会に当該者の陳述、証拠、を提出させることができる |
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(九) |
第七項により弾劾、査問を受けている長官及び判事は査問の終了まで職責を果たすことはできない |
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(十) |
他に定めが有る場合を除き、長官および判事の報酬、手当、休暇、年金及び他の勤務条件は別途定める |
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(十一) |
長官及び判事の報酬など勤務条件は不利になるように変更されることはない |
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(十二) |
長官及び判事の職についたことのある者は、政府の職につくことはできない
ただし、本項の規定はその者が政治上の職、司法調査に関する職裁判もしくは法律分野の学問、研究、調査の為の助言、意見、勧告を与える職に任命されることはできる |
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(十三) |
長官は司法委員会の勧告により最高裁判所を退官した判事または最高裁判所判事に任命される資格を持つ者を特別判事として一定期間任命することができる
特別判事は最高裁判所判事と同等の報酬、勤務条件を与えられる
ただし、長官は本項による任命に国王の承認を得なければならない |
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第88条 |
(最高裁判所の管轄権) |
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(一) |
国民はある法律が憲法に抵触する恐れのある場合、その法律を無効にする訴状を最高裁判所に提出することができる
最高裁判所が無効と判断した場合、その法律は判決の日から無効となる |
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(二) |
最高裁判所は憲法で述べられている基本的権利の実現のため、または不十分と思われる法律に実現のため、もしくは公的事項に関わる紛争において生じる憲法問題もしくは法律問題を解決するために必要かつ適切な命令を出すことができる
これらの目的を果たす為に人身保護令状、職務執行令状、記録提出礼状、禁止令状及び権限開示令状を含む命令、令状を出すことができる
ただし、
(a) |
最高裁判所は軍事裁判所に管轄権が無い場合を除き軍事裁判所の訴訟、判決に介入することはできない |
(b) |
最高裁判所は議会に管轄権がない場合を除き、議会特権により科せられた処罰に関して議会が行う査問、決定に介入できない |
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(三) |
省略 |
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(四) |
最高裁判所は法律の定めるところにより自らの判決又は最終判決を再審査することができる |
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(五) |
国王が憲法または他の法律の法的問題について最高裁判所の意見を希望した場合、最高裁判所は問題を審査し国王に意見を提出する |
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(六) |
最高裁判所の他の権限、訴訟手続きは別途定める |
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