撮影と文 : 吉川 征秀 (大阪) 【スキヤナ】 エプソンGT-X700 24bitカラー 300dpi 圧縮レベル1の条件でスキヤン 画像調整して再圧縮がかかっているため、フアイルサイズ が小さくなっている 【撮影機材】 リンホフテヒニカ フイルムサイズ45 ハツセルブラツド フイルムサイズ6*6 概要中7.20以外はすべてハツセル使用 1.カンチェンジュンガ山群 タプレジュン(シュケタール)より遠くカンチエンジユンガ山群を望む。みはるかすカンチエンジユンガの朝、考えていたよりはるかかなたに浮かんだ山群に圧倒される。 果たしてこの峰々を間近で仰ぎ見ることができるのか。一人ぼっちの寂しさも手伝い不安のあまり身震いがとまらなかった。 2.ラトン 6679m(ラムゼから) タプレジュンから毎日登るか降りるかの繰り返しばかりで水平部分が全くない。急降下か急上昇ワンパターンの道中、とんでもないアップダウンの連続に耐え抜く。 数えて九日目、ふみ跡もやがておだやかになりアプレーシヨンバレー沿いにラムゼ着。 初めてのビツグピークに興奮の連続、ここだけでも来たかいがあつたという思いがする。 健康管理メモ:脈拍91、血中酸素濃度90%、給水2300cc、排尿3500cc ミルクのみ人形状態、ひたすら水分補給し利尿剤で搾り出す、1時間おきのトイレに寝袋脱出、テントを開ける難行苦行。 天球は何千何万の星空、オリオン座、北斗七星、カシオペア座、北極星これが全知識 では情けない。 パシューッ!と闇を貫く音がして流れ星が。息を呑む瞬間。ありえないが実際空気を裂くように聞こえた。 3.カブルーサウスピーク 7317m(オクタン、アプレーションバレー上から) ラトンから連なるカブルーのピークから氷河へ砕け落ちるアイスフオールが凄い。 静寂の中、時折氷河がきしむ音、堆積した岩が氷河の動きにより崩れる音。 静と動。異次元の世界だ。 4.カンチェンジュンガ南面 8586m(オクタン上部より世界3位の高峰を仰ぐ) これを見たら次はK2を無性に目指したくなった。朝早くラムゼを発ちひたすら休みなく歩きオクタンを越える。オクタンではどこの国のチームかテント数張り。 もうこれ以上進めないガレ場までしゃにむに登る。結果としてオクタンから一旦氷河上に降りて歩けば、さらに奥に進めただろうに。残念なり。 まずは第一目標達成にひとりごちて万歳を叫ぶ。よしんば夜半出発し黎明のカンチを拝みたかった。 5.ヤルンカン南面 8505m(オクタン上部より) カンチヤンジユンガに隣接する高み、これでもかと広がった膨大な氷の量。 残照のヤルンカンをカメラにおさめたいという願望が湧き上がる。 日没のゴーキヨピークを思い出し赤いヤルンを狙いたかった。 6.さらばカンチ南面(ヤルンからミルギン・ラへの急登で) 余韻覚めやらぬ高き連なりに別れを告げあごのでる急登の連続、青息吐息で途中振り返るカンチのアングルに思わずカメラを向ける。 ラムゼからは日本のパーティ?がヘリコプターで下山している。 乗せてくれーっ。何とも羨ましい気持ちで見送る。 7.ジヤヌー、クンバカルナ7710m(タンジャルマダンダ上部のジャヌーVIP席より) 一番の撮影ポイント、ジヤヌー展望地のミルギン・ラはガスと積雪、なにも見えず。 ミルギン・ラ手前に泊地を設定していたが、先行するポーターたちはすでにシェレレへ下山。今回のトレツキング最大の楽しみとして期待していたミルギン・ラはただの通過点となる。サーダーへの的確な指示ができず大丈夫だろうとタカをくくっていて大失敗。 砕けるほどの歯軋りがでる。落胆した身にはシェレレからミルギン・ラへの再登はきつい。叱るばかりでは進歩なく翌日の対策に鳩首会談。結局シェレレ脇のタンジャルマダンダをつめればジャヌーが見えるとの情報を頼りにそこへ向かう。 捨てる神あれば拾う神ありの例えどおり、別天地が待ち受ける。おおジャヌーよと詩人になる。このトレツキング最高の舞台にいままでの苦労を忘れる。只々幸せ。 ここまでシェレレから登り2時間余をノンストツプ。昇る太陽と時間の勝負にあせる。 ヤマタリグレッシャーからジャヌーの高まりまで一望できるポイント。 はるか下にはグンサが見えている。 8.ジヤヌー北壁(シャルプー尾根から見上げる) カンバチェンに近づくにつれ恐ろしいほどの急傾斜の尾根を巻き高度を上げる。 ガレ場ははるかかなた上方へ続いている。かすがい代わりの小石に支えられた巨岩がいたる所にあり怒涛の崩落を待っている。 上を気にして足元に注意して緊張の連続。ポーターたちは巻き込まれればそれまでとばかりか上など気にもかけていない。 そして迫力の北壁に声もなく、急傾斜に三脚も立てられず手持ちで撮影を続けた。 9.カブルー、ホーレピーク 6832m 6645m(カンバチェンから) ジャヌーの素晴らしさに元気付けられどうにかカンバチェンへたどり着く。 乾季といっても好天は続かず、決まって夕方には雲が湧き上がり、流れてきて視界をなくす。ガスに囲まれたまま夜の闇に続いていく。 ウェルカムティーもクッキーも放り出して大慌てでカメラをセットする。 目も奪われる光景に只々「あー」「あー」「あー」とうめくばかり。 10.シャルプー 6433m(カンバチェンから) 早起きしてシヤルプーの幕開けを待つ、急峻なオドロオドロしい他の山々に比べれば一際そのたおやかさが目立つ ここから見る限りおだやかでやさしい 11.カンバチェン 7903m(ラムタン付近から) キャンプ地のカンバチェンと山名のカンバチェンはスペルが違うが、読み方は一緒のようだ。でもそんなことは知らない。おかまいなし。サーダーもポーターも、延々とカンバチェンから登る。雪渓を越え、滝の脇をすり抜け道が平坦になってくるあたりがラムタン。高度としてはほぼ登りきったか、あとは若干の高度差を残すばかり。少しくつろぐ。 12.カンチェンジュンガ北壁(パンペマから) 最終目的地パンペマへ到着。ポーターたちへ感謝のチップ。よくここまで連れてきてくれましたと。 健康管理メモ:脈拍79、血中酸素濃度93%、給水2600cc、 排尿3000cc 高所順応も問題なく快調、士気も衰えることなく充実している。写真集でしか見ることのできなかった、憧れのカンチ北壁を自分の手で切り取れる幸せ。 ここまでタプレジュンから数え17日目、キャンプ地5143m、ニュージーランド人のテント一張りがある以外閑散としている。彼は単独でカンチェンジュンガ・グレッシャーを横断して北壁直下までいってきたり、ドロモピークの近辺へいく計画があったりで聞くだけでも凄かった。 13.ヤルンカン北壁(パンペマから) 日没前。 14.ウエッジピーク チャングヒマール 6750m(パンペマから) 朝陽に期待するも通常の夜明け、平凡なカツトにしかならない。 もっと波乱万丈の幕開けを期待したが残念ながら安定した天候だった。 乾季では仕方がないか。 15.カンチェンジュンガ北壁 パンペマ上部(ほぼ6000m付近から) 朝のテントはバリバリに氷つきペットボトルの水は芯まで透き通るばかりの氷。 体感−20度近いと思うが寒暖計は−15度を指している。 最終いけるところまでパンペマ裏の尾根をネパールピークの展望を目指してやみくもに登る。 ルートの判断ミスで尾根上にたどり着けず、岩崩れの急傾斜に阻まれた。ここを最終到達点としてUターンする。くだりは岩屑の中をグリセード風に滑り落ちる。 見ている間に高度が下がる。サーダーとパーソナルポーターはこんな無茶な真似はしない。 16.ツインズ 7351m(パンペマから) 暮れゆくツインズ、尾根に当たる光を追ってバシャバシャと惜しげもなくシャツターを押し続ける。 17.ドロモピーク 6850m(パンペマから) 尾根を登りきって対峙してみたい。沈む光に輝きを変えていくドロモに魅力を感じた。きっとビッグポイントが待っているだろう。 18.ネパールピーク 6910m(ロナークから) もう二度とこの景色を見ることはないだろう。少し歩いては振り返りしながら下山する。ロナークにもう一泊して赤く燃え尽きていくネパールピークを撮ってみたかった。 19.ジャヌー三山(カンバチェン上部から) シャルプーを撮りにカンバチェンから大きな沢沿いに登る。 振り返ったジャヌー。ここは桃源郷か。水も豊富で泊地としては一等地。できれば ここにも2、3泊してゆっくりジャヌーを眺めたいところだ。 20.シャルプー 6410m(カンバチェン上部から) 白旗史朗先生の写真集にあるシャルプーに憧れてやってきました。 天候が変わっていたり、光の加減が変わっていれば少しは迫力が増すのでしょうが、とにかく先生のポイント近くで撮ってみたかったのです。 【追記】 案内していただいたメンバー、ありがとうございました。 サーダー : ハスター ライ パーソナルポーター : アンブリト ライ コツク : ノルムニ ライ キツチンスタツフ:ザシユバドウ、ビリバール、ラクマン ポーター : 4名、他にグンサへ荷揚げの別働隊 お世話いただいた会社: ありがとうございました コスモトレック 聞きしに勝る困難なルート。登りの途中グンサと下りの途中カンバチェンで大バテした。 本当に休養日ゼロは無茶苦茶だったと痛感しました。 静かさを求めるならこのルートが一番。1ヶ月で出会ったパーティは10指に余るほどの寂しさでした。 グンサからの下りも長大、かつ急降下の連続。滝壷へ水落つる如くの急傾斜。川沿いルートが取れないとんでもない高まき。上がったと思えばダーッと転げ落ちるほどの下り。息つく間のないシーンが次々と展開する。 最後のミトルンからシュケタールの胸突き八丁ならぬ胸突き百丁のような登。 乾季にかかわらず最後は雨、しのつくような…… スケールの大きさに圧倒され続け、それはもう凄すぎる旅でした。 |
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