高所訓練

富士  富士山  3776m
ふじさん




2006年6月3日

6月3日 多摩=河口湖五合目登山口〜富士山久須志神社〜河口湖五合目登山口=多摩

先週、雨天のため順延となっていた富士山でのトレーニングに行きました。直前まで天候にやきもきさせられましたが、幸い、風の無い好天気に恵まれ山頂まで往復できました。先々週、三ツ峠から見た時よりもさらに雪が減っておりアイゼン歩行は無理かと思いましたが、残った雪渓で雪上歩行もできました。高度障害も感じず、快調に歩きました。


6月3日

当初、富士宮口からの登山を計画していたが、南岸の梅雨前線の影響が懸念されるのと、富士スカイラインが午前8時までクローズされている事から河口湖口から登ることに変更した。この時期はスバルラインは午前3時からオープンになる。深夜に豊田駅に集合し、中央高速を走り、談合坂SAで仮眠した後、河口湖へ向かう。

天気は曇りだが、雲が低そうなので富士山の五合目以上は晴れている可能性もある。河口湖で中央高速を降り、スバルラインを登って行くと期待通り青空になってきた。新緑の中を快調に走り、五合目の駐車場に着くと青空の中に富士山の山頂が望める。残念ながら雪が少ないが、ともかくこの天気に感謝。下を見ると一面に雲が広がっており、全く山は見えない。



河口湖口五合目駐車場から見上げる富士山。


広い駐車場には全部で20台程度の車しか止まっていない。駐車場で支度をして土産物屋の方へ向かって登る。途中の公衆便所は開いていたが、土産物屋は全てクローズしている。もちろん、人は我々以外には誰も居ない。



支度をして出発。


水平道を佐藤小屋方面に向かって歩く。水平道と言っても緩い下りの車道である。しばらく行くと佐藤小屋との分岐になり、車道を離れ右手の山道に入ると登りが始まる。しばらく登って行くとコンクリート造りの指導センターの建屋があり、ここが六合目である。河口湖口の五合目とは100mほどの高度差である。ここで一休みする。



水平道を佐藤小屋方面に向かって歩。




左は佐藤小屋へ、右は六合目へ。


少し登ると下山道との分岐があり、しばらくは幅の広ジグザグの道を歩く。暑くも寒くもなく、風も弱く快適な天気だ。深夜登るのに比べて気持ちが良い。無機質な崩壊防止壁の間をぬうように登って行くと頭上に七合目、八合目の小屋が沢山見える。300m登ると最初の小屋である花小屋に到着し一休みする。ここから七合目ということになっているが、七合目と八合目は距離が長い。高度障害が出る人には辛い区間である。



崩壊防止壁の上に沢山の小屋が見える。


営業している小屋はまだ無い。幅広いジグザグ道は終わり、しだいに急登になってきた。ジョギング風の姿をした軽装な人が何名か追い抜いて行った。露岩の登りもあるがクサリもあり、あまり苦にはならない。一つ一つ小屋の前を通過しながら、小屋を繋ぐように登って行く。所々雪も出てくるようになった。300mほど登り、七合三勺にある八合目太子館の小屋の前で一休みする。太子館では小屋を開ける準備をしており、作業する人が忙しそうに働いている。



七合目の赤い鳥居への登り。




七合目付近の露岩の登り。




七合目と八合目の間。高度障害が出ると辛い。


だんだんスピードが落ちてくる。ここから本八合目までの300mの登りがポイントである。ペースを保ってゆっくりと登る。高度差300mの登りも、すぐそこに見えるから楽なようだが、なかなかたどり着かないので高度障害が出てくると辛い。だんだん雪が増えてきたのでピッケルを出して登る。本八合目の小屋の手前の雪で行き詰っている人がいた。我々はピッケルとキックステップで快適に登ってゆく。聞けば香港からやってきたそうで、6本歯のアイゼンをつけているがやや無謀な感じである。



本八合目への登り。雪が増えてきた。


本八合目の小屋の前で一休みする。ここから上の尾根上のルートはあまり雪が無いようだが、念のためハーネスをつけて登る事にする。小屋の間を抜けて上に出ると両側に雪渓が広がっている。右手の雪渓を滑っているスキーヤーとボーダーが居た。雪が腐っているせいか転びながら滑っているが、それでも歩いて下りよりはずいぶん早く下っている。九合目までの山道にはあまり雪がついておらず、ジグザグにゆっくり登って行く。200mほど登って九合目の鳥居に到着し一休みする。



頭上に雪渓が広がる。




九合目辺りの雪渓を滑るスキーヤー。




九合目の鳥居に到着。


ここからは雪渓の登りになる。雪の無い所は浮き石で、落石を起こすので雪の中を登ることになる。せっかくなのでアイゼンをつけてショートロープで登る。上の鳥居の手前で雪が無くなり、アイゼンを外す。アイゼンをつけたりして時間がかかったが150mほどの登りで久須志神社に到着した。ここでゆっくり休む。気温は5度程度だが風が無いので温かい。山頂の剣が峰を眺めてから早々に下る。



標高3721mの久須志神社に到着。




富士山頂の剣が峰を望む。




河口湖側山頂の小屋。




富士山頂にて。


雪崩と落石の心配が無いと判断して、下りは雪渓を行くことにする。雪が少ないので諦めていたアイゼン歩行とショートロープの練習を存分にする事ができた。時々上部を監視しながら広い雪渓の中を真っ直ぐに快適に下って行く。左手に山小屋を眺めながら須走ルートと河口湖ルートの間を下る。雪渓の末端は小滝になっており、その手前で一休みする。ここで、アイゼンとハーネス、ロープを外す。日が傾きかけてきたので、上着を着て、ヘッドランプを出す。



九合目付近の雪渓を下る。




広い雪渓の中を真っ直ぐに下る。


少し下にブルドーザー道の下山道が見えるが、そこまでが少し厄介だ。足元から崩れる斜面をだましながら下る。ブル道はコーナーの所以外は深く掘られているので道に降りられない。そのコーナーへ向かって斜めに下って行く。落石を起こしても直ぐに止まるので心配は無いが、落石を起こさないように気をつけて下る。ブル道のコーナーに着いた所で一休みする。

遥か下の公衆トイレの屋根にブルーシートが見え、その下は霧の中だ。前方下の丹沢方面は雲に覆われていて全く見えない。見渡す限り、雲がかかっていないのは富士山だけである。今日は幸運な登山で、良い訓練ができた。キャタピラの跡がついた単調なブル道をただひたすら下る。やがてブルーシートが直ぐ下になり、公衆トイレの前を過ぎ、少し下ると右手にトラバース気味の下りになる。

下りはもうウンザリだが、トラバース気味に下りが続く。落石除けの長いシェルターを過ぎ、少し登り返すと、やっと六合目に到着した。さらに下り、佐藤小屋からの道を合わせると緩やかな登りになる。正面に五合目の建屋を見てしだいに薄暗くなる中を歩く。何とか暗くなる前に駐車場へ到着し、そのまま河口湖へ向けてスバルラインを下る。まだ余裕はあるが、この時期スバルラインは9時にクローズになり、下れなくなる。8時前に中央高速に入り、談合坂で夕食にする。渋滞も無く快適に走り、10時過ぎに帰宅した。

今年は雪が少ないため軽装の登山者が多く見かけられた。この時期はまだ山小屋は開いておらず、天候の変化などの緊急事態に対する逃げ場が無いので、食料、装備、服装など慎重な対応が必要である。

6月3日 標高 到着 出発
河口湖五合目登山口 2304 6:46 7:23
六合目 2399 8:01 8:12
七合目花小屋 2702 9:10 9:23
七合三勺太子館 3044 10:42 10:52
本八合目 3359 12:24 12:47
九合目鳥居 3570 13:53 14:02
久須志神社 3721 15:03 15:27
八合目雪渓 3154 16:51 17:09
下山道 3052 17:35 17:43
河口湖五合目登山口 2304 19:15 19:22
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