2006年3月31日〜4月2日
3月31日 多摩=原村
4月1日 原村=美濃戸〜行者小屋〜文三郎尾根〜行者小屋〜赤岳鉱泉
4月2日 赤岳鉱泉〜行者小屋〜地蔵尾根〜行者小屋〜美濃戸=多摩
ショートロープやアイゼンワークの訓練の目的で赤岳の2つの尾根を登りました。赤岳の山頂へは達しませんでしたが、充実した訓練ができました。
4月1日
6時半に起床し簡単に朝食を済ませる。昨夜はマイナス8度位まで冷え込んでいたが、今朝は0度近くまで暖かくなってきた。天気も良く、暖かくなりそうだ。7時半に原村を出発する。
美濃戸口に到着すると数名の警察官と新聞記者らしい人が居て、物々しい雰囲気だ。このところの遭難続きで警戒体制が強化されたようだ。山行計画書を提出して、注意点のアドバイスを受ける。昨夜も降雪があったので赤岩の頭からの下山は要注意だ。
美濃戸まで車で入れるようなので助かる。路面の凍結はさほどではないが、わだちが深いので床高の低い車では入れないようだ。赤岳山荘の駐車場に車を止めて支度をしていると、いつものように赤岳山荘の小母さんが駐車代の請求に来た。支度を終え、美濃戸山荘まで歩く。この時期、美濃戸山荘には人は居ないがトイレは有料で解放しているので有り難い。
アイゼンは付けずにピッケルを持って南沢に入る。登山道は凍っているが、その上に昨夜の雪が少し積もっているのでアイゼンが無くとも滑らずに歩ける。見上げると阿弥陀岳北西稜の岩が輝いている。南沢の左岸から右岸に戻り、右岸の斜面を登り沢に戻った辺りで一休みする。
しばらく沢にからみながら左岸を登って行くと白河原の広い河原に出る。見上げると横岳が聳えている。ここに来るといつも横岳の迫力に圧倒されてしまう。右手の樹林に入るとしばらく山々の眺めとはお別れだ。黙々と歩いて行くと樹林から解放され、横岳、赤岳の眺めが広がる。
一登りで行者小屋に到着する。ここでアイゼンとハーネスを着け文三郎尾根で訓練開始だ。トレースはしっかりついており、阿弥陀岳との分岐の少し先で文三郎尾根に取り付く。最初の長い階段はすっかり雪で埋まって雪壁になっている。ここでロープを結びショートロープとアイゼンワークの練習を始める。
夏道の階段は完全に埋まっており、適度な雪壁が続く。所々に急な雪壁もあり、良い訓練ができる。遠望は利かないが、阿弥陀岳、赤岳、横岳に囲まれた空間は凄い迫力だ。尾根の中間地点で休んで行者小屋方面を見下ろすとなかなかの高度感だ。赤岳と中岳のコルに着いたところで時間切れとなり、一休みする。阿弥陀岳南稜や権現岳の眺めが迫力がある。
再びショートロープで文三郎尾根を下る。下部でアイゼンがダンゴになってスリップしたので急な所はスタッカートで下る事にする。ビレーポイントが豊富なので効率的に下る事ができた。
行者小屋でハーネスを外し一休みする。赤岳鉱泉へ向かいコルへ向かって歩いて行くと、コルの手前でカモシカに出会った。いつもの事だが、ここのカモシカは人を警戒しない。しばらくこちらを見た後、お尻を向けて若葉を食み始めた。
コルを越えてしばらく下ると赤岳鉱泉に到着した。5時半からの夕食の時間にちょうど間に合う時間に到着できた。部屋で荷物を広げていると夕食になった。食後、お茶を飲みながらゆっくりとおしゃべりをして、後は寝るだけだ。8時前に布団に入り体を伸ばすととても気持ちが良い。明日は天気が悪いので計画を変更してゆっくり寝る事にする。
4月2日
6時から朝食なので5時半に起きる。小屋の外は小雪だが上は吹雪いていそうだ。視界はあまり無い。ゆっくりと朝食を食べて、支度をして7時半に出発する。寒くはないが、小屋の周りも吹雪ぎみになってきた。寒くはないのだが、訓練のため完全装備で行者小屋へ向けて出発する。
さすがにコルへの登りは暑かったが我慢だ。行者小屋に到着しハーネスを着ける。今日は行者小屋から地蔵尾根の中間までの予定で、ショートロープで登り始める。樹林の中の登りは、最初は緩やかだが次第に急登になってくる。長い直登を登り一休みする。
少し登ると15m程の急な雪壁がある。この辺りが地蔵尾根の中間点になる。ここはスタッカートで登ることにする。雪壁は適度に固くアイゼンの前歯で快適に登れるが、後続のためにステップを切るのはやや苦しい。登り切った先にしっかりした樹木があり、これをビレーポイントにする。登りは2人まとめて登る。
今日の登りはここまでにする。雪壁の下りもスタッカートで行くが、今度は一人ずつ降ろす。全員降りたところで雪壁の下で一休みする。稜線はかなり吹雪いているが、気温が高いので樹林の中は穏やかだ。雪はしだいに湿っぽくなってきた。
再びショートロープで下る。湿った雪がダンゴになりやすいので、足元に注意が必要だ。行者小屋でロープとハーネスを外し美濃戸へ下る。下るに連れて、雪は雨に変わっていった。登山道の雪は融け、下の氷でツルツルである。アイゼンをつけたまま美濃戸まで下った。
美濃戸から車で下るが、美濃戸口までの道は雪が融けてよけいにわだちが高くなって走りづらい。美濃戸口からは雨の中を快適に走り、小渕沢で昼食を取り、八王子へ向かう。渋滞も無く6時には帰宅した。
階段の多い文三郎尾根だが、階段が雪に埋まっていると素晴らしい雪の尾根になる。パーティーに雪に慣れない人が居る場合は積極的にロープを使った方が良い。下部の赤岳側にルンゼが切れ落ちた所があり、要注意である。
4月1日 | 標高 | 到着 | 出発 |
原村 | 1225 | − | 7:25 |
赤岳山荘 | 1701 | 7:45 | 8:07 |
美濃戸山荘 | 1714 | 8:17 | 8:39 |
南沢中間点 | 2046 | 9:47 | 9:55 |
行者小屋 | 2361 | 11:25 | 12:01 |
文三郎尾根中間点 | 2618 | 13:21 | 13:34 |
コル | 2737 | 14:10 | 14:25 |
行者小屋 | 2361 | 16:16 | 16:30 |
赤岳鉱泉 | 2192 | 17:08 | − |
4月2日 | 標高 | 到着 | 出発 |
赤岳鉱泉 | 2192 | − | 7:35 |
行者小屋 | 2361 | 8:30 | 9:00 |
地蔵尾根中間点 | 2509 | 9:43 | 9:49 |
雪壁上 | 2549 | 10:23 | 10:25 |
雪壁下 | 2527 | 10:57 | 11:11 |
行者小屋 | 2361 | 11:57 | 12:15 |
南沢中間点 | 1989 | 13:14 | 13:23 |
赤岳山荘 | 1687 | 14:10 | 14:25 |
小渕沢 | 991 | 15:03 | 15:41 |
多摩 | 115 | 18:00 | − |