2005年9月24日
9月24日 穂高岳山荘〜奥穂高岳〜ジャンダルム〜間ノ岳〜西穂高岳〜上高地=松本=多摩
天気に恵まれて、昨日、岳沢から見上げた奥穂高岳から西穂高岳の稜線を気持ち良く歩きました。全体的にホールドやスタンスが豊富ですが、高度感があり、登攀に近い所もあり、なかなか手応えがありました。危険個所ではできるだけロープを使い、鎖はフェラータとして使い、岩のホールドとスタンスで登るよう心掛けて登る事としました。
9月24日
4時に起床する。昨夜は暑かったが何とか寝ることができた。早速支度をして自炊場で朝食の弁当を食べる。小屋の人がお茶を入れてくれた。食後、外に出ると素晴らしい星空だ。小屋の前にはご来光を待つ人で賑わっている。既にヘッドランプで涸沢岳、奥穂高岳へ登っている人もいる。5時になったので我々もヘッドランプを点けて登り始める。
小屋の前の垂直な鉄ハシゴを2つ登り、急登になる。15分ほど登ると明るくなってきたのでランプを消す。下の雲海が気持ち良い。右手に笠ヶ岳が、振り向くと槍ヶ岳が望める。左手の常念岳の右から日が昇るのだが、あいにく雲が高く、きれいな日の出にはならないようだ。見上げると奥穂高岳の山頂では沢山の人が日の出を待っている。
奥穂高岳の山頂で一休みして、これからの長丁場に備える。簡易ハーネスを着け、登攀に備える。ここから西穂高岳への厳しい稜線が一望でき、身が引き締まる。ジャンダルムの岩峰が朝日を浴びて輝いている。
奥穂高岳の山頂から易しい岩稜を下って行くとしだいに岩稜になり、馬ノ背のに到着する。ここは飛騨側、岳沢側ともに切れ落ちており、かなりの高度感がある。ロープを出し、スタッカートで下る。岩が上に杭のように出ているのでビレーポイントには不自由しない。上部は飛騨側を下り、中間の急な所は岳沢側を下る。ロープは20mなので3ピッチで下った。
コルでロープを外し、次の丸いピークでロープをしまう。コルまで60m下り、次はロバの耳の60mの登りだ。ここは正面を登る。初めは垂直に近い登りだがクサリにカラビナをかけてフェラータで登る。20mほど登り、右に飛騨側をトラバースする。ここもフェラータで行く。飛騨側の垂直なガリーを10mほど登るが、ここは上部の斜面に浮石が多いので落石に注意が必要だ。ロバの耳のピークの直下の飛騨側をトラバースして行くとクサリのあるスラブを10m下りジャンダルムのコルに到着する。
コルからジャンダルムへの直登ルートがあるが手ごわいのでトラバースルートを行く。比較的幅のあるバンドのトラバースでホールドも大きいので容易だが、高度感はある。コルの一段上からジャンダルムのピークへの道があるので、リュックを置いて空身で登る。登り口にクサリが垂れているが、登りは容易である。比較的傾斜の緩い斜面を登り、ジャンダルムのピークに到着する。奥穂高岳の向こうに槍ヶ岳が望め、見晴らしの良いピークだ。
登りはルートを外してしまったので、下りは踏み跡に忠実にルート通りに下る。するとコルまで下ってしまった。コルからリュックまでは一枚スラブの垂壁で空身の登りでもクサリに頼らずに登るのはてこずる。リュックを背負っての下りはなおさらだ。コルからコブ岩ノ頭への登りは容易である。さらに広く易しい岩稜を行くと畳岩ノ頭に着く。ここから天狗ノコルへ330mの大下りが始まる。易しい岩稜を下って行くと、しだいに岩稜が狭まる。ここは左の岳沢側に道があり、緩やかな斜面を下る。再び右手の岩稜に戻り下って行く。
天狗のコル手前の岩峰群は飛騨側を巻いてゆく。まず、スラブの凹角を下る。クサリは有るが、傾斜はあまりきつくなく、ホールドも適当に有るので難しい下りではない。再び稜線を下って行くといきなり両側が切れ落ちた狭い岩峰の上に立たされる。凄い高度感だ。これを越えると再び易しい岩稜の下りになる。後はザレた斜面をひたすら下り、天狗のコルに降り立つ。ここで行動食を出して一休みする。
ここから高度差75mの天狗の頭への登りになる。取り付きは10mぐらいの垂直に近い登りである。クサリに沿って左から登る。下部はかぶり気味だがホールドが大きいのでバランス良く乗り越えられる。下のテラスで岩をまたいで右側に移り、直上する。急な斜面を登って行くと天狗の頭の頂稜に出る。最後に大きなスタンスの岩を登ると天狗ノ頭の頂上に着く。
易しい稜線を下って行くとスラブの1枚岩に出る。傾斜は緩いが飛騨側が切れており、ロープで確保する。ロープをつないだまま易しい斜面を少し下ると飛騨側の長いクサリのあるスラブの下りになる。ホールドは少ないが、極端に立ったスラブではないのでフリクションを利かせて下る。スラブが終わるとすぐに間天のコルに降り立つ。
間ノ岳へは飛騨側を登る。振り返ると天狗ノ頭の赤茶けた長いスラブが切り立って見える。高度感のある急な登りが続き、1ヶ所クサリの登りがある。頂稜に出ると正面に間ノ岳のピークが見える。ピークがへは10mのほぼ垂直な岩場になっている。高度感のある所で、特に下りではロープを使った方が良い。間ノ岳のピークから岳沢側に下った所で一休みする。
間ノ岳から西穂高岳の間には5つのピークが有る。コルまで70m下り、小さな登下降が続く。P1は赤石岳と呼ばれている。赤石岳からコルに下り、P2の10m程の急な岩場を登る。外傾したバンドから頼りないクサリに沿って登り、上部のクサリの左を登る。あまりスッキリしない登りだ。
P2からP3へはハイマツ帯を歩く。P3はトラバースして巻くが、P4の登りが手強い。P2とP3のコルからクサリのある狭いバンドをトラバースすると15mぐらいの急な岩場に出る。しっかりしたクサリが垂れているが、ホールド、スタンスが小さい3級程度の岩場である。これを登ると次はP4の直登である。印の通り登れば難しい所は無い。続いて、ハイマツ帯の登りでP5を越える。短い急登で西穂高岳のピークに到着し、一休みする。
時々霧が出てくるようになり、あまりゆっくりできない。西穂高岳のピークから短い急斜面を下るとしばらくは稜線漫歩が続く。正面に形の良いピラミッドピークが見える。西穂独標手前の2つの小ピークは高度感のあるピークだ。クサリは無いが、ビレー用のボルトが打ってある。短い急登で西穂独標のピークに立つ。
独標からは人が増えるが、とても歩きやすい道が続く。西穂山荘にはほぼ計画通りの時間に到着した。ここでもう一泊の計画だったが、余力もあり、東京へ帰れる時間なので、混雑した山小屋を敬遠して上高地へ下る事にする。水と行動食を補給して一気に上高地へ向かう。長い樹林の下りで、足元の岩や木の根が滑りやすいので意外に時間がかかった。
上高地で松本行のバスに何とか間に合い、松本で新宿行の特急に飛び乗り、ビールで無事の下山と楽しかった山行を祝った。
西穂高岳から奥穂高岳へ向かうと難所が下りになる事が多いので西穂高岳へ向かうよりも難しくなる。リスクに無防備なパーティーが多いが、要所でロープを使うことでリスクを下げ安全な登山を心掛けたい。そのためにはロープの使用で行動が遅れないようロープワーク技術を身につける必要がある。
9月24日 | 標高 | 到着 | 出発 |
穂高岳山荘 | 2996 | − | 5:05 |
奥穂高岳 | 3190 | 5:52 | 6:05 |
馬ノ背 | 3166 | 6:15 | − |
コル | 3148 | 6:47 | − |
丸いピーク | 3156 | 6:55 | − |
コル | 3097 | 7:08 | − |
ロバの耳 | 3150 | 7:24 | − |
コル | 3138 | 7:31 | − |
ジャンダルム | 3197 | 7:46 | 7:52 |
コル | 3162 | 7:59 | − |
コブ岩ノ頭 | 3175 | 8:10 | − |
畳岩ノ頭 | 3159 | 8:27 | − |
天狗ノコル | 2835 | 9:19 | 9:35 |
天狗ノ頭 | 2909 | 9:57 | − |
間天ノコル | 2837 | 10:34 | − |
間ノ岳 | 2907 | 11:05 | 11:14 |
コル | 2834 | 11:29 | − |
P1(赤石岳) | 2885 | 11:42 | − |
P2 | 2878 | 11:56 | − |
P3 | 2864 | 12:10 | − |
P4 | 2889 | 12:16 | − |
P5 | 2910 | 12:21 | − |
西穂高岳 | 2907 | 12:29 | 12:45 |
ピラミッドピーク | 2774 | 13:24 | − |
西穂独標 | 2701 | 13:46 | − |
西穂山荘 | 2373 | 14:19 | 14:33 |
上高地 | 1503 | 16:27 | 16:40 |
松本 | 585 | 18:23 | 18:35 |
八王子 | 111 | 20:35 | − |