2003年4月26日〜27日
26日 多摩=桜坂(清水)〜井戸尾根六合目
27日 井戸尾根六合目〜前巻機〜避難小屋〜巻機山〜牛ヶ岳〜避難小屋〜桜坂=多摩
避難小屋近くにテントを張って巻機山を登る予定でしたが、初日が雨のため六合目付近にテントを張り巻機山を登りました。二日目も9時ごろまで濃い霧に包まれ、巻機山を越えて牛ヶ岳まで行ってしまいましたが、霧が晴れると素晴らしい景色に包まれ素晴らしい山行になりました。
4月26日
早朝4時半に多摩を出発し圏央道の日の出インターを目指す。圏央道から関越道へと時々雨がパラつく中、順調に進む。6時半ごろ赤城高原のサービスエリアへ到着した。昨夜出発した伊東さんから電話が入った。昨夜は霧のため関越道へは入れず、下道を走って湯沢辺りにいるとのこと。MBIの土田さんに電話を入れると、今赤城高原に着いたとの事である。一緒に朝食をとる事にした。
赤城高原からは土田さんの先導で行く。塩沢石打で関越道を降り、清水へ向かう。少し雨が激しくなってきた。清水の手前にある土田さんのなじみの「雲天」という民宿に向かう。囲炉裏端でお茶やコーヒーをいただいてしばらくのんびりする。計画では避難小屋まで上がってテントを張る事になっているが、この雨なので五合目付近の緩斜面にテントを張る事にしよう。
明日の昼食の予約を入れて雲天を出発する。清水から桜坂までの道は除雪してあり、桜坂の駐車場も6割がた除雪してある。まだすいている駐車場の伊東さんの車の横に車を止め、登山の支度をする。伊東さんたちはもう出発したようだ。今夜小屋に泊まる土田さんたちと別れ出発する。幸い雨は止んだが、今日は荷物が重い。
桜坂を出てすぐに右の林道に入る。雪でルートが分かりづらいができるだけ夏道の近くを歩く。薮を越えて尾根状の所に出たら夏道が有った。ここで一休みする。目の前に井戸ノ壁が見えるが、上部は雲の中で天気が悪そうである。
しばらく尾根状が続くが、しだいに斜面状になり傾斜がきつくなってきた。視界が利かなくなる中、薮を避けて一歩づつ登る。少し雨が降ってきたので、斜面の途中で一休みしてカッパを着ける。
視界の悪い急な雪壁を薮を避けながらただひたすら登って行くと右から上がってくる尾根にたどり着いた。天気が良ければ尾根の向こうに米子沢が見える所だ。しばらく尾根通しに登るが、やがて緩い斜面になり、一休みする。
適当な場所を見つけてテントを張る事を告げて出発する。少しでも上に張りたいと思い、急な登りを越え緩やかになった所でテントを張る事にした。時間をかけて整地して、いざテントを張る段になって、西側の斜面がかなり急な事がわかり、さらに風が出て来たので下の樹林に移る事にした。ちょうど2人パーティーが登って来たので、避難小屋に登っているはずの伊東さんへ伝言を頼んだ。
10分程下った所の緩斜面を整地する。今度は二度めなので皆の手際も良くなった。雨は相変わらず降っているが、時間も体力も余裕が有るので良い幕営の練習になった。
テントの中は暖かい。今日は3人なのでゆったりである。ゆっくりと水を作り夕食を作る。安保さん持参のウイスキーで良い気持ちだ。食事の後は寝るだけである。明日は天気が回復するはずだが、激しくなる雨音で寝付きが悪い。
4月27日
朝3時に起床して真っ先に外を見るが、雨は止んだものの相変わらず霧に包まれている。朝食を済ませ5時過ぎに巻機山目指して出発する。昨日整地した場所を過ぎ、さらに霧の中を登る。
視界が無いので所々に有る赤旗を頼りに登って行くと、左手に低木の樹林帯が現れてきた。さらに登って行くと左に夏道が見えたので、そこで一休みする。
しばらく雪の無い夏道を登ると、短いが急な雪壁にでた。雪壁を慎重に登り、再び夏道を登ると八合目の標識が有った。ここからは程良い傾斜の雪壁が続く。左に夏道が有ったが、真っすぐ雪の斜面を登り前巻機の頂上に着く。相変わらず霧の中だが、稜線上は風が強いので一枚よけいに着る。
昨日の2人とすれ違ったので聞いてみたが、この先には誰も居ないとの事である。どうやら伊東さんのパーティーは我々より後のようだ。雪で埋まった避難小屋へ下り、風を避けて樹林の陰で一休みして、アイゼンを付ける。
少し霧が薄くなってきたようだが、稜線はまだ濃い霧に包まれている。何となく荒涼とした感じの登りだ。稜線に着く頃には風は弱くなった。緩やかな稜線を右に巻機山へ向けて進む。緩やかに登った所にピークが有るが巻機山かどうか疑わしいのでさらに進む。一旦下り、再び登り切った所にピークが有り、古くて判読ができない標識が有ったのでここまでとして、一休みした。
後で調べると、どうやら牛ヶ岳まで来てしまったようだ。霧に包まれているので現在地がつかみにくい。再び緩やかな稜線を戻る。だんだん霧が晴れ、視界が得られるようになってきた。それと共に登って来る人にも会うようになった。稜線から少し下った所で素晴らしい景色を眺めながらコーヒーを飲み、しばしゆったりと休む。登りの霧と風の中で感じた荒涼とした感じとは全く逆の清々しい気分だ。
見ると先程会ったスキーヤーが気持ち良さそうにテレマークで滑っている。雨で腐った雪面に素晴らしいシュプールをつけているのでかなりの達人らしい。避難小屋に降り立つと、わずかに見える屋根の上で食事をしている人が居る。良く見ると土田さんと星野さんではないか。しばらくおしゃべりをして、前巻機を登る。土田さんの話では伊東さんたちは我々より先に下っているようである。
前巻機からは気持ちの良い雪の斜面が続く。周りの山々を眺めながらゆっくりと下って行く。今日は天気が良いので登って来る人も多い。スキーを担いでいる人も多い。登りと同じルートを下る。急な雪壁を慎重に下り樹林の緩斜面をゆっくり下る。ここで正子がスリップした。自力で止まったものの、雨具を着ていると緩斜面でもよく滑る。
テントに到着し撤収していると土田さんたちが下って来た。予定通り30分で撤収して、重くなった荷物を背負って下る。しばらく下り井戸ノ壁の手前で伊東さんたちのテント場に着いた。ちょうど撤収が終わったところだったので、少しおしゃべりをしてから一緒に下る。
ストックのまま井戸ノ壁の上部を下っていたら正子がスリップした。幸いすぐ近くの立ち木につかまって止まったが、ストックのまま下らせたのは軽率であった。早速、アンザイレンしてピッケルで下る。昨日は下から見て右の斜面を登ったが、そちらの方が楽なようだ。今日の下りは下から見て左のややルンゼ状の斜面で上部が急斜面になっている。
重荷を背負って確保姿勢をとりながら急斜面を下るのは疲れるものだ。おまけに下るにつれてだんだん暑くなってきた。長い下りが終わり、ザイルを外した時はホッとした。昨日登った夏道のある尾根を左に見てたんぼの中を歩き駐車場に着くと土田さんが待っていた。
先行して下って行った伊東さんの車は無く、我々は土田さんたちと雲天へ向かった。雲天でシャワーを浴び、山菜と蕎麦を腹一杯食べて、無事下山を祝った。
関越道を順調に帰ったが、途中で事故による大渋滞があり、帰宅時間は9時を回っていた。
井戸尾根のポイントは井戸ノ壁の登りである。右の尾根状から夏道通しに登れば傾斜もそこそこであるが、田圃を越えて左のルンゼ状から登ると樹林が薄いだけ斜面が急に感じる。しかし、左のルンゼ状からよく登られているようである。
4月26日 | 標高 | 到着 | 出発 |
桜坂 | 740 | 9:03 | 9:27 |
井戸ノ壁手前 | 860 | 10:16 | 10:25 |
井戸ノ壁上部 | 1060 | 11:27 | 11:44 |
尾根上 | 1260 | 12:38 | 12:50 |
六合目 | 1435 | 13:33 | 14:28 |
幕場 | 1365 | 14:35 | − |
4月27日 | 標高 | 到着 | 出発 |
幕場 | 1365 | − | 5:07 |
夏道 | 1650 | 5:53 | 6:00 |
前巻機 | 1861 | 6:41 | − |
避難小屋 | 1800 | 7:00 | 7:23 |
稜線 | 1925 | 7:53 | − |
巻機山 | 1967 | 8:05 | − |
牛ヶ岳 | 1962 | 8:31 | 8:43 |
巻機山 | 1967 | 9:05 | − |
稜線 | 1925 | 9:20 | − |
避難小屋中間点 | 1860 | 9:29 | 9:51 |
幕場 | 1365 | 11:15 | 11:50 |
桜坂 | 740 | 13:55 | 14:05 |