2003年3月29日〜30日
29日 新宿=小出=浅草山荘〜ムジナ沢〜幕場
30日 幕場〜カヘヨノボッチ〜幕場〜ムジナ沢〜浅草山荘=小出=練馬
久しぶりに豪雪の越後の山に登りました。今回登った浅草岳は春のヘリコプタースキーでも有名な山です。途中テント泊し、早朝、浅草岳を目指しましたが頂上の手前で霧にまかれ雪庇が見えなくなったため登頂は断念して引き返しました。登頂はできませんでしたが、久しぶりの越後の雪山を堪能しました。
3月29日
朝、6時に新宿に集合する。出発は30分遅れたが、7時に練馬を経由し、関越道で小出に向かう。天気はさほど悪くはないが遠望はきかない。途中のサービスエリアで一休みして小出のインターで降りる。
252号線で会津方面に向かい、大白川で左に大原スキー場への道に入る。すぐに分岐があり、ここは大原スキー場への道を左に見て右の道を進む。トンネルを抜け、赤い鉄橋の浅草大橋を渡ると五味沢に到着する。
浅草大橋を渡って五味沢の音松荘を右折して、除雪された道を登った国民宿舎の浅草山荘前から浅草岳の冬道が始まる。我々は大自然館まで車で入ってみたが、大自然館から先は除雪されておらず、3メートル近い雪の壁になっていた。途中、登山路は無く、音松荘で教えてもらった国民宿舎からの道を行く事にした。
国民宿舎は通年営業しているので駐車場はきれいに除雪されている。宿の人にことわって、ここに駐車させてもらう。荷物を分け、支度をして出発する。今朝、10人ほど入ったとの事だ。スキーとワカンのトレースがついているのでルートファインディングが楽だ。
小さな池を左に見て少し登るが、足がもぐるのでワカンを履く事にする。小さな堰堤を左に見て段状の斜面を登り、次の堰堤の前を通り、堰堤の左を登る。しばらく杉林の中の緩やかな斜面を登る。やがて黒い電線に導かれて左へムジナ沢方面へ登るようになる。
620メートル地点で電線が雪の中に消えると所々にある赤布を頼りに進む。トレースが無いと苦労しそうな所だ。右からの雪崩の末端を過ぎ、少し登り、小さな沢を過ぎ、ひと登りすると左へトラバースぎみにムジナ沢へ下るようになる。
後ろに守門岳を見ながらムジナ沢を登る。滝壺だろうか、所々に口を開けた雪の穴が美しくも不気味である。沢の幅はしだいに狭まり、左右の斜面からの雪崩に気を使いながら登る。
一休みしていると下山してくるパーティーとすれ違った。カヘヨノボッチまで登って引き返してきたそうである。さらに沢を登って行くと正面に大滝が口を開けているのが見える。
大滝を巻くように右の斜面に取り付き、ひと登りで台地状の所に出る。今日はここにテントを張る事になった。適当な窪地を整地して、テント一張りとツェルト二張りを張った。
お酒を飲みながら水を作り、簡単な夕食を食べ、8時ごろ就寝した。夜、あられのようなものが降り少し騒がしかったが、温かく良く寝ることができた。
3月30日
朝、3時半に起きて温かい紅茶を飲みながら朝食の支度をしする。朝食後、支度をしてテントを残して5時に出発した。起きた時には星空だったが、少し雲が出てきた。朝、見えた守門岳も、雲の中に隠れてしまった。
幕場から一度ムジナ沢に降り、左の尾根に取り付く。比較的傾斜の緩い尾根をワカンで登る。表面がクラストしているので、ワカンの爪がよく利いている。登るにつれて、正面に見えていた浅草岳の稜線が霧に包まれてきた。気持ちの良い雪の尾根を登り切った所がカヘヨノボッチである。
一休みしてワカンをアイゼンに変える。所々吹きだまりが有るが、アイゼンの歯が気持ち良く利く。トラバースぎみに下り、両雪庇の尾根を登って行くとしだいに濃い霧に包まれ、ホワイトアウト状態になり雪庇が見えなくなってしまった。
動くのは危険なのでしばらく霧の切れ目を待つが、ますます濃くなってくるような気がする。浅草岳の山頂を目前に残念だが下山する事になった。濃い霧の中、雪庇に気をつけながら、登って来たトレースを頼りに下る。
少し下ると霧は薄くなり、また登りたい気持ちにかられるが、1400メートル以上は、相変わらず濃い霧の中だ。かなり下った風の無い所でお湯を沸かして、温かい紅茶とお菓子でゆっくりとひと時を過ごした。幕場に戻り、テントを撤収して、ワカンに履き替えて出発する。
再びムジナ沢を下る。守門岳を包んでいた雲が晴れてきた。正面に真っ白な守門岳を眺めながらムジナ沢を下る。雪の穴も大きくなったような気がするし、雪の下を流れる水の音も、一日でずいぶん大きくなったような気がする。これからすぐにスノーブリッジだらけになるのかなと思いながら下って行くと、左の斜面からの小規模な雪崩の跡に遭遇した。どうやら、昨日の夕方我々が通過した後に、上部の雪が崩壊したものらしい。
下るにつれて沢は広くなり、雪崩の心配もなくなった。安全な場所で一休みする。しばらく沢を下り、左の尾根に取り付き、杉林の中を下る。途中、音松荘の夫婦が犬を連れて赤布の整備に登って来るのに出会った。しばらく下ると赤い浅草大橋が見え、程なく浅草山荘に到着した。
浅草荘の食堂(13時まで営業)で昼食を取り、雪山を眺めながらお湯に浸かり、山の疲れを癒す。伊東さんの運転で、うとうとしながら気持ち良く東京へ向かう。途中、真っ白な巻機山や谷川岳を眺める事ができ、8時前に無事自宅へ到着した。
ほとんどがムジナ沢の登りになるので、特に降雪直後は雪崩に注意が必要。また、温かい日は上部の雪庇の崩壊やスノーブリッジに注意をしなくてはならない。稜線は両雪庇になっているので真中を歩こう。
3月29日 | 標高 | 到着 | 出発 |
浅草山荘 | 500 | 11:00 | 11:48 |
杉林 | 695 | 13:02 | 13:14 |
ムジナ沢下部 | 890 | 14:04 | 14:16 |
ムジナ沢中間点 | 1055 | 14:51 | 15:02 |
幕場 | 1120 | 15:15 | − |
3月30日 | 標高 | 到着 | 出発 |
幕場 | 1120 | − | 5:05 |
稜線 | 1410 | 6:10 | − |
カヘヨノボッチ | 1485 | 6:26 | 6:42 |
前岳手前 | 1520 | 6:50 | 7:09 |
尾根 | 1245 | 8:00 | 8:35 |
幕場 | 1120 | 9:00 | 9:58 |
ムジナ沢下部 | 775 | 10:44 | 10:55 |
浅草山荘 | 500 | 11:50 | 13:50 |