父恋し道から

信州　 小楢山 　　１７１３ｍ
こならやま

---

少し登ると白雲（しらくも）滝の下に出る。この滝は上流も下流も伏流になっている変わった滝である。水量の少ない傾斜の緩い滝の左岸を登り滝の上に出る。ここから沢沿いに一直線の急な登りが始まる。しだいに大きな岩が現れるようになり、１０ｍ程の高さの屏風岩の下に着く。屏風岩を右に見てさらに登ると道は左にトラバースぎみに緩くなる。大きな屋根の付いた岩へ向かって左上して行くと展望の良さそうな尾根状に着く。

大きな屋根の付いた岩を回り込み、尾根の左側を登る。樹林の中の見晴らしの無い登りだが、登りが急になり、樹林の高さが低くなると大沢ノ頭の頂上に着く。３６０度の眺めを期待したが、残念ながら今日は雲の中だ。それでも頂上でゆっくり休んでいると、少しづつ雲が薄くなっていった。

大沢ノ頭を出発するとすぐ下に幕岩が見えた。上が平になった大きな岩である。登山道を下って行くと幕岩の基部に降り立つ。基部に荷物を置いて幕岩を登ることにする。ルンゼ状の所が登路になっていて、ここに鎖が垂らしてある。岩の上は平で見晴らしも良さそうだ。しばらくのんびりと雲の間の展望を楽しむ。

鎖の所まで比留間さんがロープで誘導して、ゆっくり鎖を下る。幕岩から稜線通しに下り、小さなコブを越えると小楢峠に到着する。今日はここで昼食になった。皆、思い思いにおにぎりやカップそばを食べる。私は例によってお湯を沸かしてラーメンを食べる。

食事の後、比留間さんの指導でロープの結び方や簡易ハーネスの作り方の練習会が始まった。楽しい食後のひと時になった。

小楢山の頂上へは５分程で着いた。我々が昼食をとっている間に大勢降りて来たので頂上は静かになっていた。頂上には東屋が有り、広々としている。樹林はまばらだが、夏には見晴らしが無くなりそうだ。今日は雲のため遠望はきかない。

再び小楢峠へ下り、左へ母恋し道を下る。良く整備された、ツヅラ折れの歩きやすい道だ。こちらには石仏は無いが、下るにつれて周りに苔むした石がゴロゴロするようになった。４０分程下った所で一休みする。

しだいに傾斜が緩くなり、右の尾根が近づいて来て、とうとう工事中の林道に着いてしまった。少し林道を下ると、林道は右に回り込んで行き、再び尾根上の登山道を歩くようになる。しばらく下ると右の林道に降りる。降り口は父恋し道の分岐の少し下あたりで、標識は無い。林道をひと下りして車に到着した。

牧丘の窪平温泉「花かげの湯」で疲れを癒し、一路、多摩市へ向かって今西さんの運転で帰った。相変わらずの渋滞だったが、６時前には帰宅できた。

• アドバイス

回遊コースとしては急登の「父恋し道」を登り、楽な「母恋し道」を下るのが良い。「父恋し道」は特に危険な個所は無く、大沢ノ頭は小楢山よりも眺めが良い。

• コースタイム