北アルプス
笠ヶ岳
2898m
かさがたけ
2002年8月3日〜5日
新穂高温泉〜鏡平〜笠ヶ岳〜新穂高温泉
夏休みの前半は多摩市山の会の山行で笠ヶ岳に登りました。笠ヶ岳に登るのは1975年の冬以来で、とても懐かしく歩きました。
8月2日
2日の夜、8時にパジェロで自宅を出発した。途中渋滞は有ったものの順調に進み、0時には新穂高温泉へ到着した。鉄道で富山経由で入ったころとは比較にならない程楽である。無料駐車場を見つけるのに手間取ったが、無事に無料駐車場に駐車できた。週末なので駐車場はかなり混んでいた。早速カーテンをして車内で眠りについた。
8月3日
3日の朝、5時に起きて荷物をまとめ、新穂高温泉のバス停広場へ向かう。トイレを済ませ登山届を提出して蒲田川の左俣を行く。橋を渡るとすぐに右に水場と足湯温泉が有り、ここで飲み水を入れ替える。
新穂高温泉から抜戸の稜線を望む。
途中林道に駐車している車には駐車禁止の紙が貼られてあり、去年より取り締まりが厳しくなったようだ。舗装道路を少し歩くとホテルニューホタカの前に車止めが有り、ここで朝食をとりながら皆の到着を待つ。予定より30分程遅れて松本からのジャンボタクシーが到着した。
ホテルニューホタカの前の車止め。
朝食を済ませ一休みした後に予定より20分遅れで出発した。工事関係の車が走る林道を歩き笠新道の登山口で一休みして、ワサビ平小屋に到着した。小屋の前にはベンチが有り、トイレを借りて一休みする。再び林道を行くと奥丸山がしだいに近づいて来て、その奥に槍ヶ岳の西鎌尾根が見え隠れしている。正面には弓折岳の稜線が見える。
弓折岳を目の前に林道を歩く。
やがて広々とした河原に出て、正面にこれから登る秩父沢が見える。橋の手前から左に小池新道への分岐が有るが、途中崩壊のため橋を渡ってから迂回路を行くよう指示されていた。迂回路を行き、仮設の橋を渡り、大きな石がゴロゴロする河原を行き小池新道に合流する。
秩父沢の小池新道を登る。
冷たい水が流れる秩父沢でのんびりと一休みするが、ここで2つアクシデントが発生した。メンバーの一人の足がつり始めた事、もう一つはもう一人のメンバーの登山靴が突然壊れ始めた事である。登山靴は紐や軍手で応急処置をしたが歩きにくそうだ。この後、2つのアクシデントのためしばしば休憩しての登りとなった。
抜戸岳の沢には雪渓が残っている。
沢を詰めるにつれて花を楽しみながら登るようになる。ニッコウキスゲやクルマユリが多く見られ、キヌガサソウも有るがすでに花は散ってしまっている。
鏡平分岐点に到着。
クルマユリ。
沢を登りながら、今日は双六岳をあきらめて鏡平に泊まる事に決まった。直登ルートから右にトラバース変わると突然スピードが上がった。しかし、今日は時間が有るので熊の踊り場で休んだりしながらのんびりと歩く。
。
やがて右の斜面を登るようになるとコイワカガミの花が見られるようになり、木道に導かれて鏡平の池に着く。あまりきれいな池ではない。今日は槍穂高が雲の中なので残念である。しかし、いつかは訪れたいと思っていた鏡平に来れて感激である。
鏡平。
小屋に着くと、小屋の前のベンチで大勢の人がゆったりと時を過ごしている。我々も小屋の手続きを済ませ、部屋に荷物を置いて、生ビールを買ってベンチに集合した。
鏡平の小屋で乾杯。
森田さんは靴の修理に忙しい。
小屋から道具を借りて靴の修理をしていると、双六方面からやはり靴が壊れた人が来て、一緒に修理をしてあげていた。私は見ていただけだが一緒にお酒をごちそうになってしまった。夕方になって、ようやく槍ヶ岳の雲が切れてきた。槍ヶ岳がシルエットになって素晴らしい。
槍ヶ岳のシルエット。
8月4日
朝、5時に起きて空いている食堂でゆっくり朝食をとる。今日は行程が短いのでゆっくり出発する。霧の中を弓折岳目指して登る。時々霧の間から、足元に鏡平の池が見える。
弓折岳への登り。
お花畑の中を登る。
登るにつれて花が増えてきた。花の写真を撮りながら登って行くといつの間にか稜線に出た。あたりは素晴らしいお花畑だ。眼下には鏡平の池が見える。ここで一休みする。
素晴らしいお花畑の稜線に到着。
。
眼下の鏡平。
霧もしだいに上がってきて周囲の山が時々見えるようになった。稜線を左に一登りで弓折岳の山頂に着いた。双六の小屋も見えるようになった。
弓折岳から双六方面を振り返る。
弓折岳山頂にて。
弓折岳から一度、オオノマ乗越まで下り、オオノマ岳へ登り返す。再びオオノマ岳を下ったコルで急峻な美しい沢の源頭を見ることができた。
大ノマ岳への登り。
コルからシャクナゲの尾根をダラダラ下ると乾いた湿原があり、キヌガサソウの花を見つけた。左に秩父岩を見ながら少し登り秩父平に着いた。秩父平で小屋の弁当を広げて大休止になる。秩父岩やカールが望める気持ちの良い所だ。カールの登りは短いが、登るにつれて急になってくる。登山道は巧みに作られていて楽に稜線にたどり着いた。笠ヶ岳は霧の中だが、抜戸岳への縦走路が真っすぐ延びている。稜線で休んでいると抜戸岳の頂上に人影が見えた。
秩父平を登る。
正面は抜戸岳。
水平道を進むと抜戸岳の下を巻いて頂上への道との分岐にでた。意外にもここが笠新道への分岐になっている。どうやら道が変わったようだ。杓子平を左下に見ながらしばらく稜線を進むと旧笠新道の下降点に出て、杓子平へのルートが変更になったことがわかった。
軽い登下降を繰り返し、杓子岩を通って稜線を進むが、相変わらず笠ヶ岳は雲の中で姿を現さない。やっとテント場が見え、頭上に笠ヶ岳小屋が見えた。一頑張りで小屋に到着した。
抜戸岩を通って笠ヶ岳を目指す。
笠ヶ岳をバックに。
荷物を部屋に置いて、ビールで喉を潤してから笠ヶ岳の頂上へ向かう。10分程で頂上に着いた。記念撮影をしていると雷が鳴り始めたので急いで下る。雨が降り出したが私は何とか濡れずに小屋に到着する事ができた。しかし、他の人は濡れてしまったようだ。
笠ヶ岳山頂にて。
小屋に着くと雨はしだいに強くなっていった。小屋の窓から眺めていると、まだ雨の中を登って来る人がいる。夕食後、お酒を飲んで寝たが、暑くてなかなか寝付けなかった。
8月5日
朝4時に起床して朝食までの間ゴロゴロしていた。5時には朝食を終え、6時まで再びゴロゴロして、出発の支度を始めた。雨は止んでいるが風が有るので雨具の上着だけ着て行くことにする。
霧の中カッパを着て出発。
霧の中、昨日来た道を抜戸岳へ向けて戻る。しだいに霧が切れてきて、近くの山が見えるようになってきた。杓子平から湧いてくる霧が朝日を受けて神秘的だ。
次第に霧が上がり、神秘的になった抜戸の稜線。
朝日を受けて稜線を行く。
抜戸岳の頂上から黒部五郎岳、白山、御嶽山、乗鞍岳が見えるようになったが、笠ヶ岳の雲はなかなか切れない。
抜戸岳への登り。
抜戸岳から笠ヶ岳。
雨具を脱いで杓子平への道を下ると暑くなり。再び夏山に戻った。下るにつれて、左に槍穂高が雲の間から姿を見せた。右手から笠ヶ岳も時折姿を現すようになり楽しい下りになった。急な下りが終ると旧道と合わさり、やがて杓子平に到着する。
穂高を眺めながら杓子平へ下る。
笠ヶ岳をバックに。
杓子平で一休みしてゆっくりと槍穂高を眺める。ここから槍穂高を眺めるのは27年ぶりだ。新人のころの初めての冬山を思い出し懐かしい。
槍穂高をバックに。
平な杓子平を100Mほど行くと道は直角に左折し、再び急な笠新道が始まる。しかし、しばらくは緩やかなツズラ折れの道が続き、なかなか高度が下がらない。おまけに大きな岩がゴロゴロしていて歩きにくい。
笠新道の下り。
やっと尾根の下りになった。昔、ワカンを着けて腰まで雪に埋まりながら登った尾根だ。ここから樹林の中の下りになり暑さは幾分楽になる。高度も気持ち良く下がる様になり、下の河原も近付いて来た。
やっと林道に降り立った。待ってましたとばかりに登山口の水で顔を洗い、喉を潤す。車止めの所までタクシーが迎えに来てくれるそうだ。森田さんの登山靴も最後の努めを果たして靴底が取れてしまった。
やっと林道に到着。
ホテルニューホタカの前で。
タクシーで無料駐車場へ行く。驚いた事に、回りの車のほとんどがタイヤをパンクされていた。荷物を車に置いて、皆で近くの温泉へ行く。体を洗えないのが残念だが、棚田のような露天風呂が楽しい。温泉の後のビールで山行をしめくくった。
温泉から出た気持ちの良いひと時。
タクシーで帰える皆さんを送って車に戻ってみると、どうやら私のパジェロも右の前のタイヤがやられているようだ。やむを得ず栃尾のガソリンスタンドまで行って応急修理をしてもらった。ガソリンスタンドの近くに道の駅があり、今晩はここで夕食にして、泊まる事にした。
笠新道は高度差が大きいのでストックを使うなどの対策をとったほうが良い。以前は上部は抜戸のカールを登っていたが、崩壊のため直接抜戸岳へ登るようにルートが変更になっているので要注意。
8月3日 | 標高 | 到着 | 出発 |
新穂高温泉 | 1090 | 6:22 | 6:33 |
ホテルニューホタカ | 1140 | 6:46 | 7:49 |
中崎橋 | 1340 | 8:29 | 8:36 |
わさび平小屋 | 1405 | 9:03 | 9:13 |
一本 | 1525 | 9:48 | 9:55 |
一本 | 1650 | 10:22 | 10:32 |
秩父沢 | 1710 | 10:46 | 11:00 |
一本 | 1815 | 11:25 | 12:17 |
シシウドガ原 | 1895 | 12:32 | 12:37 |
一本 | 1995 | 12:56 | 13:05 |
鏡平分岐点 | 2050 | 13:32 | 13:36 |
一本 | 2150 | 13:51 | 14:00 |
熊のおどりば | 2185 | 14:08 | 14:21 |
鏡平小屋 | 2290 | 14:47 | − |
8月4日 | 標高 | 到着 | 出発 |
鏡平小屋 | 2290 | − | 6:40 |
稜線 | 2540 | 7:46 | 8:01 |
弓折岳 | 2588 | 6:46 | 7:49 |
大ノマ乗越 | 2470 | 8:51 | 8:58 |
大ノマ岳 | 2662 | 9:40 | 9:52 |
秩父平 | 2580 | 10:46 | 11:25 |
一本 | 2770 | 12:22 | 12:31 |
旧分岐下降点 | 2730 | 12:57 | 13:09 |
笠ヶ岳山荘 | 2810 | 14:06 | 15:23 |
笠ヶ岳 | 2898 | 15:39 | 16:00 |
笠ヶ岳山荘 | 2810 | 16:06 | − |
8月5日 | 標高 | 到着 | 出発 |
笠ヶ岳山荘 | 2810 | − | 6:18 |
1本 | 2740 | 7:12 | 7:16 |
抜戸岳 | 2813 | 7:43 | 8:17 |
杓子平 | 2470 | 9:27 | 9:43 |
1本 | 2255 | 10:29 | 10:40 |
1本 | 1985 | 11:26 | 11:40 |
1本 | 1520 | 12:39 | 12:57 |
笠新道登山口 | 1360 | 13:19 | 13:39 |
ホテルニューホタカ | 1140 | 14:25 | − |