花を求めて

八ヶ岳  赤岳  2,899m
 あかだけ


2002年6月22日

八ヶ岳南部。

美濃戸〜南沢〜行者小屋〜文三郎尾根〜赤岳〜中岳〜阿弥陀岳〜行者小屋〜赤岳鉱泉〜美濃戸

多少の雪に期待して八ヶ岳に行きましたが、ほとんど雪は無く残念でした。それでもザイルを使って文三郎尾根から赤岳に登り、良い経験になりました。


6月22日

朝、6時半に起床し8時過ぎに原村の家を出発した。美濃戸口のポストに計画書を入れ、美濃戸への林道へ入る。今日はパジェロで来たのでダートが楽だ。すぐに美濃戸に着き、「やまの子村」の駐車場に車を入れ、出発する。美濃戸山荘の前で林道から右に南沢の登山道に入る。しばらく沢沿いに花を探しながら歩き、沢沿いで一休みする。

「やまの子村」の駐車場でストレッチをして出発。


しばらく沢沿いに歩くと右の斜面への登りになる。新緑が美しい所だ。再び沢沿いに歩くようになり、花を探しながら歩く。やがて傾斜が緩くなり白河原に着く。目の前に横岳が聳えており、ここで記念撮影をする。

南沢の登り。


白河原で横岳をバックに。


広い白河原から樹林の中へと導かれ、溝状の道を行く。樹林を抜け再び沢に出ると行者小屋は近い。ちょうど昼時なので、小屋の前のベンチは賑わっていた。我々も一休みしてラーメンを食べる。ここは水が有るので快適だ。雲のため遠望は利かないが、赤岳を眺めながらの昼食は至極の一時だ。

行者小屋のベンチで赤岳をバックに。


中央が赤岳の文三郎尾根。


沢の右岸を文三郎尾根へ向けて登る。中岳道との分岐を過ぎるとしだいに傾斜がきつくなる。尾根状の登りになると桜の花が迎えてくれた。季節外れのお花見をしながら尾根を登る。

しだいに傾斜がきつくなり、最初の階段の基部に到着する。危険な場所ではないが、練習のためここでザイルを使う事にする。固定ザイルを張り、ゼルバンを着け、ザイルに登降器を着けて登る。初めての割りには皆快調に行くので、その上の屈曲した場所でも使ってみる。ザイルを張っている間の待ち時間がロスになるが、高度感がある悪場では有効である。

急な階段にザイルを固定しての練習。


南峰の岩場の下をトラバースぎみに登るが、意外と急登である。何とか中岳との分岐に到着し一休みする。阿弥陀岳、権現岳がすぐ近くに見え、権現岳の向こうには甲斐駒ヶ岳が聳えている。素晴らしい眺めだ。

阿弥陀岳と中岳。


分岐からはザラザラの斜面を南峰の岩の基部へ向けて登る。キレットへのトラバース道を見送り、いよいよ岩場の登りになる。岩場と言っても高度感は無く、うまくルートがきているので心配は無い。岩場を登っているうちにしだいにガスの中に入って行き、展望は無くなってしまった。頂上直下の佐久側を回り込む所はさほどの悪場ではないが、念のためザイルを固定し登る。

赤岳頂上直下で。


赤岳南峰に着いた時には北峰の小屋も見えない状況になった。人が一人やって来たので写真を撮ってもらい、小屋へ向かう。

赤岳南峰の山頂で。


赤岳頂上小屋に到着。


赤岳頂上小屋は北峰にある。小屋に入るとストーブが焚かれていて暖かい。今日のお客は60名程で、ゆったり寝られそうだ。階下の佐久側の「ご来光」という部屋になった。部屋に荷物を置き、しばらくストーブの近くでのんびりしていると夕食の時間になった。食後、部屋に戻って横になっていたら寝てしまった。うとうとしているうちに8時の消灯のアナウンスが有り、暗くなった。

小屋の中は極楽。


6月23日

5時過ぎにザワザワし始め目が覚めた。よく寝た。6時過ぎに朝食の放送があり、6時半に食堂へ行くと、ほとんどの人は食べ終えていて、我々は最後の方であった。

7時半過ぎに雨具の上着を着て小屋を出発した。外は相変わらずガスの中だ。南峰へ向かい、昨日同様、頂上直下にザイルを張る。プルージックで順調に下るが、ザイルをはずす時になって学生の集団が下って来たので時間がかかってしまった。

岩場の下りではザイルを出す事も無く、降りてしまった。鎖が有ったりルートが良く整備されているおかげだが、正子もだいぶ岩場に慣れてきたようだ。もちろん長谷川さんや横山さんは難無く上手に下っている。

赤岳の下り。


文三郎尾根との分岐を過ぎ、中岳へ向かって下る。コルで横山さんがクロユリを見つけた。そしてコイワカガミの小さな群生も見る事ができた。中岳の頂上で一休みした後、阿弥陀岳のコルに下る。

中岳のミヤマシオガマ。


一輪のクロユリ。


コルに荷物を置き、阿弥陀岳へ向かう。念のためザイルは背負って行く事にする。すぐに小さな岩を乗り越える所があるが、ここには鎖が有るので難無く越える事ができた。あとはルートさえ間違えなければ特に悪い所も無く頂上にたどり着く事ができる。

阿弥陀岳の登りは急だ。


阿弥陀岳の頂上にて。


阿弥陀岳の頂上はガスに包まれて、南稜の岩峰が霞んで見える程度の視界である。それでも一瞬、赤岳が姿を見せた。コルへ向けて同じ道を下る。下りもザイルを使う事なく、コルに降り立った。

阿弥陀岳の下り。


コルで再びザックを背負って、中岳道を行者小屋へ向けて下る。沢筋にほんの少し雪が残っているだけで、ほとんど雪は消えていた。行者小屋のベンチでお湯を沸かして、パンをかじりながらコーヒー、紅茶、ココアとそれぞれ好きな飲み物を飲み、ガスが切れかかった赤岳を眺めながら昼の一時を過ごした。

行者小屋から中山乗越を越えて赤岳鉱泉へ向かう。乗越から急な下りになるが、やがて沢沿いのなだらかな道になる。見上げると樹間から時々横岳が望める。

赤岳鉱泉で横岳を眺めながら一休みする。赤岳鉱泉からは北沢沿の歩きやすい道が続く。横山さんが目ざとく色々な花を見つけてくれるので時を忘れて楽しく歩けた。

赤岳鉱泉にて。


北沢の下り。


美濃戸の「やまのこ村」に着いたのは3時頃になった。お茶をいただいて行動食の余りを食べ人心地ついた。一度、原村の家に寄り、八王子へ向かった。

見た花:ツクバネソウ、マイズルソウ、ミヤマハンショウヅル、ツバメオモト、オサバグサ、ミヤマシオガマ、クロユリ、ハクサンイチゲ、ベニバナイチヤクソウ、コマクサ、コイワカガミ

文三郎尾根は以前に比べてずいぶん良く整備されているのでザイルを使う必要は無いが、パーティーに初心者がいる場合には何らかの対応は必要かもしれない。今回、初めて縦走路でのザイル使用を試みたが、条件によってはかなり有効である。

6月22日 標高 到着 出発
原村 8:10
美濃戸 1710 8:30 8:45
一本 1895 9:39 9:46
一本 2190 10:52 11:02
行者小屋 2350 11:51 12:40
分岐 2745 14:36 14:42
赤岳 2899 15:47 15:52
赤岳頂上小屋 2899 15:57
6月23日 標高 到着 出発
赤岳頂上小屋 2899 6:45
中岳 2705 8:19 8:25
阿弥陀のコル 2650 8:40 8:47
阿弥陀岳 2805 9:16 9:24
阿弥陀のコル 2650 10:01 10:11
行者小屋 2350 11:00 11:57
赤岳鉱泉 2235 12:37 12:52
一本 2020 14:01 14:06
美濃戸 1710 15:05