東北
八幡平
1,613m
はちまんたい
2002年3月23日
盛岡の北西。
八幡平スキー場〜茶臼山荘〜源太森〜茶臼山荘〜八幡平スキー場
今日は山岳ガイド仲間の4人でスノーシューを楽しみに八幡平へ行きました。伊藤ガイドの仲間の2人の女性も加わって楽しいスノーシューツアーができました。車やテントを提供していただき、スノーシューを貸していただいた伊藤ガイドには感謝感激です。また、北川さん目崎さんに参加していただき、男4人の暗い山行が華やいだものになりました。これも伊藤ガイドのおかげでした。
3月22日の夜6時に会社を出た時には小雨だったが、リュックを背負って天王台のアパートを出るころにはすっかり本降りになっていた。傘をさして天王台駅へ向かう。7時過ぎに伊藤さんの車が到着し荷物を積み込む。間もなく中谷さんが到着し、近くの店で待っている金丸さん、北川さん、目崎さんをピックアップして、7時半に天王台を出発した。
守屋から常磐道へ入り、伊藤さんの運転で磐越道、東北道と順調に進む。途中で金丸さんの運転に代わり雨の中、深夜2時に八幡平SAに到着した。既に雨は雪に変わっており、寒くなってきた。車の中と外に適当に分かれて仮眠した。私は車内に寝かせてもらい、シュラフに入ってゆっくり寝られた。
3月23日は朝5時に起床して食堂で朝食をとる。外の雪はしだいに本降りになってきた。朝食を済ませた後、車に戻り、パッキングをやりなおし、ヤッケ、オーバーズボン、スパッツを着け出発の準備をする。6時半にサービスエリアを出発し、八幡平インターで高速道路を下りる。
雪は相変わらず降っているが、周りの田畑には雪は無く、春景色である。やがて八幡平スキー場への登りになる。スノーシェルターが多く降雪時でも快適に走れそうな道である。7時半にスキー場に到着したが、リフトの運転は8時半からとの事である。ホテルの前に車を止め、車の中で雑談をしてしばし時を過ごす。時間になったので駐車場へ向けて出発したが、社外に忘れ物の赤いリュックを発見した。駐車場で荷物を降ろし出発の準備をする。
八幡平スキー場の駐車場にて風雪の中を出発。
第二リフトの乗り場へ向かう。
駐車場からスノーシューとストックを持って第二リフトの乗り場へ向かうが、リフト券売り場は第一リフトの下だと言われた。目崎さんの交渉で現金でOKになりリフトに乗る。スキーを履いていないのでリフトへの乗り降りは少しやっかいだ。足が滑らないので降りたらすぐに走らなくてはならない。第三リフトでは少し待たされたが順調に乗れ、労せずして大黒森山の頂上に着いた。
第三リフトの終点は大黒森山。
ここでスノーシューを履いていざ出発。スノーシューは5組しかなく、伊藤ガイドはカンジキを履く。大黒森山からしばらく下りが続く。私にとってこのコースは、高校2年の夏旅行、大学3年の春スキーと三度目である。30年以上も昔の事でとても懐かしい。
スノーシューを履いて歩くのは初めてだが、ツアースキーのようにかかとが上がるのでとても歩きやすい。ただし、踏まないようにある程度足を広げて歩かなくてはならない。コルから少し登り返した所で一本立てて、いただいたバナナを食べているとスノボーを担いだ若いカップルがスノーシューを履いて追い抜いて行った。
風雪の中をスノーシューで快適に歩く。
軽く吹雪いており、視界があまりきかないがコースは樹林を切り開いているのでわかりやすい。一山越えると茶臼岳への登りになる。所々に赤丸の番号札があり、登るにつれ番号が増えて行くのが楽しみだ。スキーツアーの一行とすれ違い少し登った所に80番の札がある茶臼山荘に到着した。ここで一本立てる。
茶臼山荘へ到着。
茶臼山荘から直進すると茶臼岳だが、小屋の裏から右に鋭角に曲がり八幡平頂上へ向う。なだらかな下りが続き、皆スノーシューで快適に歩いている。荷物が軽ければ、多少の雪でもかなり早く歩けそうだ。カンジキの伊藤ガイドが赤布を付けながら歩いて来る。ご苦労様。この下りで5人の山スキーパーティーとすれ違った。天気が悪いので人は入っていないと思ったのだが意外と人に会うことができた。。
茶臼山荘から黒谷地湿原への長い下り。
赤布をつけながらワカンで追いつく伊藤ガイド。
風雪の中を余裕の北川さん(左)と目崎さん(右)。
長い下りが終わるとトラバースぎみの登りになる。この辺りから樹氷らしきものが見られる。なぜか樹氷の表面は黄砂のように汚れていた。源太森の手前でルートが不明瞭になるが何とか頂上を見つけることができた。
頂上で記念撮影をして、少し戻った平坦な場所にテントを設営する。雪が乾燥していて固まりにくいのでペグのききがイマイチであるが何とか設営して、空身で八幡平の頂上を目指す。
本日の最高峰の源太森山にて中谷さん、北川さん、目崎さん。
テント設営完了。
源太森の頂上を越え、雪原へ向けて下る。相変わらずの吹雪であるが、視界は百メートル以上あり何とか行動することができる。しかし、風を正面から受けて目が痛い。ゴーグルを忘れてきたのは失敗であった。
右前方に竹竿を見つけ進路を修正する。しばらく平らな雪原を竹竿に導かれて進むが、とうとう282番の所で竹竿が途切れてしまった。300番の八幡平頂上までもう少しだが、伊藤ガイドの判断で引き返すことに決定した。
本日の最終地点の八幡沼付近にて。
雪原から樹林に入るとルートは明瞭で一安心だ。樹林は樹氷になっていて、動物や人の姿を形作っているのが興味深い。熊であったり、ライオンであったり、仙人であったり、皆風下へ傾いているのでそちらへ向っているようだ。樹林が雪の力を借りて何か表現しようとしているようにも思える。
動物の形をした樹氷群。
再び風雪の源太森に到着した。晴れていれば眺めの良い所であるが、今日は一面の白い世界である。再び記念撮影をする。樹氷の中に我々の薄緑色のテントが見える。しばらく白い世界を眺めてテントに戻る。
再び源太森山の山頂で。
源太森山からテントを望む。
まだ夕食には早いのでしばらく雑談する。女性2人がテントに合流し、ビールで乾杯する。4人用の小さなテントだが、ワイン、ウイスキー、焼酎と居酒屋気分である。酒とつまみで満腹になってしまい、夕食が始まる前に女性は自分のテントに戻って行った。
今日の夕食はアルファ米の山菜ごはんとキムチスープだが、いつの間にかキムチ雑炊になってしまった。しかし、それが大正解で、おいしい夕食であった。
テントの中で比地原と伊藤ガイド。
7時にシュラフに入り横になった。温かいシュラフの中で風雪の音を子守歌にすぐに寝付いてしまった。しかし、12時前に喉が乾いて目が覚めてしまい、しばらくウトウトする。
3月24日は朝3時に伊藤ガイドの声で起床する。外は相変わらずの吹雪で、テントも少し埋まって狭くなった。コーヒーを沸かし、朝食の「エラ(フカ?)ヒレラーメン」をたいらげて、テントを撤収する。ポールが凍りついて難航したが5時半に出発できた。
少し明るくはなったが昨日より強い風雪で視界が悪い。今日は昨日来た道を戻るので、昨日伊藤ガイドが付けた赤布が頼りになる。トップを交替しながら進む。茶臼山荘への登りは長いが、スノーシューでトップを行くととても気持ちが良い。深雪でも蹴り上げるとスノーシューのトップが雪面に浮き上がる感じが楽しい。
茶臼山荘に着くと、煙突から煙があがっていた。小屋の中に入ると昨日すれ違った山スキーの5人が出発の準備をしていた。縦走の予定が吹雪のため三晩この小屋に泊まっているとのことである。親切にストーブの周りを空けてくれたので、我々も行動食を食べながら十分に暖まることができた。
茶臼山荘を過ぎると風雪は弱くなり時々明るくなる程である。やはり茶臼山荘の向こうとこちらでは天気が違うようだ。視界もある程度きくようになった。
正面に大黒森山の登りの切り開きが見えるが、我々のルートはやや右に向っている。我々が下っていると、小屋で会った山スキーのグループが追い抜いて行った。
コルから右に大黒森山を巻くように切り開かれているようにも見えるが、大黒森山への登りの切り開きへ向けてコースを左に修正する。先行するスキーのトレールが有るので楽だ。正規のルートに戻ると一時的に空が晴れた。
つかの間の晴天にご機嫌。
もうすぐ大黒森山。
明るい斜面を気持ち良く登り、大黒森山の頂上に立った。しかし、晴れ間はつかの間で、再び風雪の中になってしまった。目崎さんがリフトの係りに交渉して第2リフトは乗せてもらえる事になった。第3リフトの横を歩いて下り、第2リフトを目指す。深雪でスキーヤーやボーダーも滑りにくそうだ。ぶつけられないように注意して下る。第2リフトは一人一人停止して乗せてくれた。下りのリフトはあまり気持ちの良いものではないと知った。
全員無事下山し車に荷物を積み込みホッとした。車で少し下るとすぐに晴れてきた。どうやら風雪は山の上だけのようだ。八幡平温泉郷へ向かい温泉で人心地ついた。荷物のパッキングをやり直して出発した。飛び石連休の最終日だが意外に道はすいており、予定通りの時間に天王台の駅に到着できた。運転してくれた伊藤さんと金丸さんありがとうございました。
樹林の切り開きや番号による指導標など整備されたルートだが、視界が悪くなるとそれでも迷いやすいルートである。赤布の設置、地図での確認など細心の注意が必要である。スノーシューについては八幡平のような平坦なルートでは非常に役に立つ用具であることが確認できた。
3月22日 | 標高 | 到着 | 出発 |
天王台 | − | − | 19:30 |
3月23日 | 標高 | 到着 | 出発 |
岩手山SA | − | 2:00 | 6:30 |
八幡平スキー場 | 970 | 7:10 | 8:20 |
大黒森山 | 1446 | 9:00 | 9:20 |
一本 | 1460 | 9:55 | 10:03 |
茶臼山荘 | 1540 | 10:53 | 11:10 |
一本 | 1480 | 12:02 | 12:15 |
源太森山(幕営) | 1595 | 13:05 | 13:55 |
折返し点 | 1585 | 14:20 | 14:23 |
源太森山 | 1595 | 14:45 | − |
3月24日 | 標高 | 到着 | 出発 |
源太森山 | 1595 | − | 5:40 |
茶臼山荘 | 1540 | 7:35 | 8:10 |
大黒森山 | 1446 | 9:25 | 9:30 |
八幡平スキー場 | 970 | 9:43 | 10:10 |
天王台 | − | 19:00 | − |