八ヶ岳
横岳
2829m
よこだけ
2001年11月23日〜24日
八ヶ岳のほぼ中央に位置する。
美濃戸〜行者小屋〜文三郎尾根〜赤岳〜赤岳展望荘〜横岳〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜美濃戸
今回は前回に続いて八ヶ岳の南部を登りました。佐藤君の計画で美濃戸から赤岳、横岳、硫黄岳を周遊するルートを行きました。雪がほとんど無くアイゼンを付けて歩く事ができなかったのは残念でしたが、2日間とも素晴らしい晴天に恵まれて、とても気持ちの良い稜線漫歩ができました。
11月23日
22日の深夜に原村の家に行き、23日朝は6時半に起床し7時過ぎに車で出発した。20分程で美濃戸に着き、いつもの「やまのこ村」に駐車した、今日は朝から快晴で温かい。
美濃戸のやまのこ村へ車を置いて出発。
美濃戸山荘まで林道を歩き、右に南沢の山道へ入る。沢沿いの樹林の道を登り、途中で一本立て、さらに登ると樹林から解放され白河原に着く。ここで前方に突然現れる横岳の姿には、いつもの事ながら感動的だ。
白河原で横岳が姿を現す。
再び樹林の中を歩き、行者小屋の手前で一本立てる。振り返ると北アルプスの槍穂高が白く輝いている。
行者小屋付近から北アルプスの槍穂高岳を望む。
行者小屋の前を通り、赤岳を目指す。テント場の道が交錯して分かりにくいが、しばらくは南沢の右岸を沢沿いに歩く。左の樹林に入り沢に沿って少し登ると分岐の道標が有る。ここを右に行くと阿弥陀岳と中岳のコルに出る。我々は直進して、文三郎尾根から直接赤岳を目指す。
分岐を過ぎるとしだいに急登になる。樹林を抜けるとジグザグの登りから急な鉄の階段の直登になる。一歩づつゆっくり登る。階段を登り切ると左に急峻なルンゼが切れ落ちていて、この辺が文三郎尾根の核心部である。階段や柵が整備されていて危険な所は無い。少し登り、小さな広場で一本立てる。阿弥陀岳、赤岳、横岳に囲まれ、遠くに北アルプスを望む快適な休憩場である。
文三郎尾根下部の階段。前方左が赤岳北峰、右が南峰。
文三郎尾根から硫黄岳を望む。
再び階段の登りになり、左に赤岳の岩稜を眺めながら登る。階段が終わり、トラバースぎみに右上すると左手の赤岳南峰の岸壁が頭上に迫って来る感じだ。登るにつれて周囲の山々の展望が広がりとても快適だ。
赤岳の西壁を見上げる。
文三郎尾根の分岐から阿弥陀岳を望む。
中央アルプスを遠望する。
阿弥陀岳との分岐を過ぎ、赤岳頂上直下の岩場の登りになる。所々に鎖が有るが、簡単な岩場である。しかし今日は何か登りにくい。頭がリュックにぶつかり上が良く見えないのだ。奥秩父の山々を右手に見ながら最後のハシゴを登ると赤岳南峰の頂上に着いた。
赤岳への岩場の登り。
赤岳の南峰に到着。
赤岳の山頂にて。
南峰の頂上は狭いので、記念写真を撮ってすぐに北峰の頂上へ移る。北峰にある頂上小屋は既に閉っていた。今日宿泊する展望荘は眼下に見える。時間はたっぷりあるので、コーヒーを沸かしながらゆったりと山々の眺めを楽しむ。
赤岳から横岳を望む。眼下に見えるのは赤岳展望荘。
いよいよ展望荘目指して下る。やや急な下りで、上部の岩を左に巻く所が要注意だ。左のルンゼが切れ落ちていて高度感がある。もっとも小さな岩なので真っすぐ登れば問題は無い。その先はザレた斜面の下りで非常に歩きにくい。
赤岳西壁の上部を通過する。
今夜の宿、赤岳展望荘へ到着。
小屋に着き、チェックインして料金を払う。素泊まり五千円は高いな。食堂のテーブルでポットのお茶を飲み窓外の山の景色をしばらく眺め、部屋に向かう。大部屋は既にクローズされていて小部屋に5人づつ寝る。布団を敷いて荷物を整理して、しばらく休んだ後、食料を持って食堂へ向かう。
食堂の端の4人テーブルが自炊用の場所になっている。外でないだけましか。ワインを持ってこなかった事を悔やみつつ、コトコトとカレーを煮込む。アルファ米も丸く太って食べ頃になった。今回の食料計画は佐藤君によるもので、なかなか美味い。
いよいよ食堂で夕食が始まった。60人は入れそうな食堂に2ラウンド強、今夜の宿泊は150人ぐらいのようだ。自炊組の4人で、ゆっくりおしゃべりをしながら食事をした。
食後はお湯を沸かして紅茶等を飲みながら時を過ごす。最後にストーブで温まり、7時過ぎに部屋へ戻る。部屋には暖房が無いので布団の中にシュラフを入れて寝たが、意外と温かく、夜中に足の暑さで目が覚めてしまった。
11月24日
24日の朝は6時半起床の計画だが、早く寝たので5時には目が覚めてしまった。6時から朝食が始まるのでしだいに騒がしくなる。薄明るくなった部屋の窓からは奥秩父や富士山が望める。しかし窓は夜のうちに薄氷がはってしまっていてはっきり見ることはできない。6時半ごろ部屋がパッと明るくなり、外を見ると金峰山の左から太陽が昇っていた。
食堂へ向かうと既に朝食のピークは過ぎていた。我々の朝食は牛丼おじやである。ともかく今日も時間がたっぷり有るのでゆったりと窓外の北アルプスを眺めながら至極の一時を楽しむ。
部屋に戻りパッキングをして小屋を出る。天気は昨日同様快晴で、ほぼ無風だ。11月とは信じられないコンディションである。これから左の北アルプスを眺めながらの稜線漫歩が始まる。
稜線を少し下り気味に行くと、行者小屋から直接上がってくる地蔵尾根との分岐に着く。ここからが今日の核心の横岳の登りになる。
横岳の二十三夜峰と日ノ岳。
まず小さなハシゴをいくつか越えて二十三夜峰の右を越える。ここでトップの佐藤君がルートを間違え、少ししょっぱい岩場のトラバースをする事になる。
横岳から富士山を振り返る。
二十三夜峰のハシゴの登り。
次の日ノ岳への登りは緩い岩場の登りになる。鎖もしっかりしていて危険は無い。上部を右に抜けて草付きの斜面を登る。縦走路から日ノ岳の頂上へは10m程だが、緑のロープで侵入禁止になっている。しかし先行パーティーが無視して頂上に入って行った。ルール無視の中高年グループには困ったものだ。
日ノ岳の岩場。
正面には鉾岳が聳えている。鉾岳の頂上には三脚を据えてカメラを逆光の富士山へ向けて構えている人がいた。鉾岳の諏訪側を巻く所が横岳の核心部になっている。鉾岳手前のコルから鎖に導かれて諏訪側へ10m程下ると幅1m程のバンドに出る。雪の付いた水平なバンドを行くが、さほど高度感も無く安心して歩ける。再び鎖に導かれて右手の岩場を登り石尊峰とのコルに出る。
鉾岳を望む。ルートは壁の下を左に巻く。
鉾岳の諏訪側のトラバース。
コルからひと登りで石尊峰の頂上に立つ。小広い頂上からの眺めは素晴らしい。しばらく休んで、赤岳をバックに、北アルプスをバックに記念写真を撮る。
奥の院を望む。
北アルプスをバックにご機嫌。
三叉峰へは単調な尾根道が続く。右から杣添尾根が上がってくると分岐が有り、三叉峰の佐久側を通り過ぎる。
岩稜は続く。
すぐ先に横岳の最高峰の奥ノ院が見え、頂上で休む人達が見える。奥ノ院の手前には小さな岩峰が有り、ハシゴで越える。狭い山頂だが、今日は時間がたっぷり有るのでゆっくり山頂からの景色を楽しんだ。
横岳の最高峰、奥の院の頂上にて。
奥ノ院からの下りは急なリッジになっており、高度感がある。鎖は有るが諏訪側が切れており、少し緊張する。少し下ると小さな岩峰があり、右に佐久側を下る。ここも高度感の有る所だが、柵がしっかりしているので安心して下れる。ここを過ぎると、後は平凡な下りになる。
奥の院からの下りは出だしがきつい。
諏訪側から佐久側へ移る。
大弛までは石がゴロゴロした下りが続くが、意外と歩きやすい。下り切った所に硫黄小屋がある。ここも展望荘同様、明日の朝までの営業とのことである。
大ダルミへの下り。正面は硫黄岳。
硫黄岳へはケルンに導かれた単調な登りが続く。諏訪側は火口壁になっているので、左に寄り過ぎないように注意が必要だ。登山道の右には植物保護の緑のロープが張ってある。頂上に着き、平坦な頂上を右に火口壁に沿って進み、最高地点と思われる場所でコーヒータイムにする。コーヒーを飲みながら今日最後の大展望を心行くまで楽しむ。頂上の標識がある所へ戻り、記念撮影をして赤岳鉱泉へ向けて下る。
硫黄岳の山頂と火口壁。
硫黄岳の山頂にて。
まず、ロボット雨量計跡の小屋の脇を通り岩稜を下り赤岩ノ頭に降り立つ。ここは先週歩いた所だ。分岐を左に行くとすぐに樹林の中に入り見晴らしが悪くなる。我慢してどんどん下ると、時々頭上に大同心の岩峰が頭をのぞかせる。
赤岩ノ頭からの下りから見上げる大同心。
ジョーゴ沢を渡り、さらに小沢を足ると赤岳鉱泉に着く。一休みした後、賑わう赤岳鉱泉を後に北沢沿いの道を下る。沢の水が凍って所々滑りやすくなっているが、歩きやすい道だ。やがて堰堤を越えて右岸に渡ると林道歩きになる。途中、右にショートカットし、コンクリートの橋で左岸に渡ると美濃戸は近い。
美濃戸の「やまのこ村」に止めてある車に戻り、車で富士見高原へ向かう。富士見高原の「鹿の湯」でゆっくり温泉につかり、甲府で夕食に「ほうとう」を食べ、渋滞の中を八王子に向かった。
横岳の通過はルートを間違えなければあまり困難は無いが、鎖に頼りすぎずしっかりとバランス良く岩の上を歩く技術は必要。赤岳方面へ向かう場合は稜線通しに鉾岳山頂へ行くと行き詰まる。部分的にルートが二つある所も有るが、どちらでも大差は無い。
11月23日 | 標高 | 到着 | 出発 |
原村 | − | − | 7:19 |
美濃戸 | 1710 | 7:39 | 7:48 |
一本 | 2050 | 8:55 | 9:02 |
行者小屋 | 2350 | 10:13 | 10:22 |
一本 | 2655 | 11:16 | 11:29 |
赤岳 | 2899 | 12:17 | 13:29 |
赤岳展望荘 | 2785 | 13:53 | − |
11月24日 | 標高 | 到着 | 出発 |
赤岳展望荘 | 2785 | − | 8:29 |
横岳二十三夜峰 | 2810 | 9:00 | − |
横岳石尊峰 | 2830 | 9:13 | 9:22 |
横岳三叉峰 | 2825 | 9:30 | − |
横岳奥の院 | 2829 | 9:46 | 10:04 |
台座ノ頭 | 2795 | 10:18 | 10:31 |
硫黄岳山荘 | 2695 | 10:45 | 10:55 |
硫黄岳 | 2760 | 11:20 | 11:52 |
赤岩ノ頭 | 2655 | 12:14 | − |
赤岳鉱泉 | 2235 | 13:04 | 13:18 |
林道 | 1985 | 13:58 | − |
美濃戸 | 1710 | 14:30 | 14:42 |
鹿の湯 | − | 15:08 | 16:51 |