旧五百円札の山

大菩薩山塊  雁腹摺山   1874m
  がんがはらすりやま


            

2000年6月17日

大月の北

大峠〜雁腹摺山〜大峠

雲取山から富士山を眺めると、富士山の右手前に大菩薩嶺があります。この大菩薩嶺の左に尖った形をした山が見えますが、これが雁腹摺山です。なるほど雁が腹を摺りそうな山です。雁腹摺山は、頂上からの富士山の眺めが五百円札の裏に印刷されていることで有名な山です。ヤマツツジの咲く6月にぜひ行こうと計画していたのですが、少し遅かったようです。


例によって7時過ぎにセローに乗って八王子の自宅を出発する。今日は夕方から雨という天気予報だが、午前中が勝負と見て、大月まで中央高速で行くことにする。曇ってはいるが周りの山は見え、まずまずの天気だ。

大月のインターを出て、甲州街道を右に笹子方面へ向かう。真木の信号で右折し北へ向かう。真木温泉を過ぎ、真木小金沢林道へ入る。立派に舗装された林道だが、路面にはローリング族のバイクのタイヤの跡が醜く残っている。舗装してなければ楽しい林道走りにるのだが。道は右手の雁腹摺山へ近づいたり離れたり、かなり大きく曲がり、やっと大峠に着いた。峠には10台程度の駐車場があり、既に3台の車が駐車している。

バイクを止め支度をしていると、一人下山してきた人に会う。もうひと登りして車で帰ってゆくらしい。登山口には「熊出没注意」の看板があり、少し気が重くなる。しかし、少し歩くとウマノアシガタの黄色い花が迎えてくれ、気持ちも華やぐ。


ウマノアシガタの花。

登山道は少し下り、沢を渡って登りかえす。比較的良く整備されている。ヤマツツジの花は既に散ってしまっているが、新緑の広葉樹の樹林の中の登りは心地良い。


静かな樹林の中の雁腹摺山への登山道。

今日は1時間程の登りで頂上に着いてしまう。貴重な1時間を花の写真を撮りながらゆっくり歩く。やがて登山道が斜面を直登するようになると樹林の高さがしだいに低くなり、展望がきくようになった。振り返ると大菩薩山塊南部の黒岳が見え、その黒岳の山腹に迷路のように刻まれた真木小金沢林道が見える。この高さになると、まだ残っているヤマツツジの花がちらほら見えるようになった。


終わりかけたヤマツツジの花。

残念だが頂上までもうすぐだ。ひと登りで頂上のカヤトの原に着いてしまった。カヤトの原の中央に登山道があり、登山道の周りにはウマノアシガタの花が群生している。


雁腹摺山頂上のカヤトの原。

カヤトの原に着くと同時に雨がぱらつき始めた。カヤトの原を横断し、緩い登りを登ると標識のある頂上に着く。既に2つのパーティーが休憩していた。さっそく写真を撮ってもらう。


雁腹摺山の山頂にて。

まだ昼には少し早いが、さっそくお湯を沸かす。汗をしたって沢山のブヨのような虫が集まってきた。夏の低山にはこれがあるから耐えられない。頂上からカヤトの原に向かって五百円札を模った看板がある。今日は雲の中だが雁腹摺山から南に開けたカヤトの原の向こうには富士山があるはずだ。昭和17年の11月3日の午前7時15分に名取久作という人が撮影した写真を元に五百円札の裏の富士山が描かれたとのことである。


旧五百円札を撮影した場所を示す山頂の看板。

虫を避けてカヤトの原まで降りて食事を済ます。この間に10人以上の人が登ってきた。いつの間にか雨はあがっていた。虫に追われるように頂上を後にして下山する。下りも登りと同じ道だ。少し物足りないので大月あたりの山に登って帰ろうかと考えながら下っていると、また雨が降り出した。樹林のおかげで濡れることはないが急いで下山する。

大峠の駐車場に着くと雨は本降りになっていた。幸い駐車場の横に東屋があるのでしっかり防水対策をしてバイクに乗ることができた。帰りは大月からずっと甲州街道を走ることにした。雨も小降りになり、大垂水峠を越え2時間半かかって帰宅した。

あまり気の利いた縦走コースも考えられないので、晴れた日の中央高速での帰り道にちょっと寄ってみるのが良いだろう。大月から車で往復1時間、大峠から歩いて2時間弱の行程である。見晴らしの良い富士山が見える日を選んで登りたい。

自宅 7:27
大峠 1560 9:02 9:08
雁腹摺山 1874 10:04 10:33
大峠 1560 11:06 11:20
自宅 13:57


閉じる