八ヶ岳
硫黄岳
2760m
いおうだけ
1999年10月16日
八ヶ岳の中央部分に位置する。
1日目 かもしか林道ゲート〜本沢温泉〜夏沢峠〜硫黄岳〜夏沢峠〜本沢温泉
2日目 本沢温泉〜かもしか林道ゲート==麦草峠〜丸山〜高見石〜麦草峠
16日は北アルプスの蝶ヶ岳へ行き、ゆくりと槍穂高を眺める計画でした。金曜日の夜、急いで我孫子の会社から帰宅し、八ヶ岳の父へ電話したところ雨が降っているとのこと。インターネットで長野県の天気を確認したところ、土日とも冴えない天気です。バイクで雨の夜道はきついので、とりあえず金曜日の出発はあきらめました。翌朝の5時に起きて再度長野県の天気を確認したところ、曇りで雨は降らないようなので八ヶ岳方面へ向けて出発することにしました。走りながら、登る山を色々と考えた結果、先週話がでた懐かしい本沢温泉から硫黄岳に登ることにしました。
八王子の自宅を出たところ小雨が降り出し、家に戻って雨具を着たりしているうちに時間がたち、出発は6時を過ぎてしまった。とりあえず八ヶ岳方面へ向けて甲州街道を進む。蝶ヶ岳はあきらめて八ヶ岳の東面に入る事にしよう。紅葉の期待ができる本沢温泉あたりが良いだろう。
韮崎から国道を小諸方面へ向けて北上する。海ノ口で左折し松原湖を過ぎ本沢温泉を目指す。道はいくつか有るが、今回は昔敗退した稲子小屋への山道を行こう。昔の記憶を頼りに山道を左折し、いよいよ山登りだ。この山道はあまり傾斜は無いが、昨日の雨ですごい泥道になっている。バイクのお尻をふりながらも何とか頑張ったが、とうとうスタックしてしまった。足もバイクも泥だらけだ。バイクを降りて歩いてみたが、歩いてもころびそうなめかるみで、これ以上の前進はあきらめた。
リュックをおろして、バイクを倒さないように慎重に方向転換する。何とか成功したが、下るのもしんどい。とりあえず用をたして、水を飲んでひと休みし、冷静さを取り戻す。リュックを背負い意を決して出発。ブレーキがあてにならないのでハンドルをとられながらもゆっくり下る。何とか転倒せずに舗装道路へ戻り、ひと安心した。1時間ロスしてしまった。
とりあえず稲子湯経由で本沢温泉に行こう。稲子湯の手前で左に本沢温泉の標識を発見。ここを左折し、舗装はしていないが走りやすい林道を気持ちよく登る。やがて本沢温泉への分岐の駐車場へでる。先程の泥道もここにつながっている。
「ここから上は4WDでないと無理」との看板がある。さらに登ると駐車スペースが有り、ここにも「ここから上は4WDでないと無理」と書いてある。さらに進むとゲートが有りここでバイクも行き止まりだ。ここに10台程度の駐車スペースがあるが、すでに車は満車になっていた。
道端にバイクを止め、登山靴に履き替えリュックに荷物をパッキングをして出発。泥道で遊んでしまったおかげで、もうお昼の時間になってしまった。本沢温泉への道は「かもしか林道」といって、あまり傾斜のない気持ちの良い道である。残念ながら山は厚い雲に覆われているが、周りは紅葉のまっさかりで素晴らしい。
さすがカモシカ林道、本沢温泉の手前でカモシカに遭遇した。ちょっと太目の子供のカモシカだが、人慣れしていて目が合っても逃げない。一生懸命に草を食んでいる。
テント場を過ぎ、本沢温泉で幕場代500円を支払い、またテント場へ戻りテントを張る。まだだれも張っておらず一番良い場所を選べるのだが、ちょっと淋しい。時間的には少しきびしいが、雲の中の硫黄岳へ登ることにする。時間が無いのでコーヒーはあきらめ、リュックに行動食と水と防寒着をつめこみ出発した。
しばらく登り沢を見下ろすと入浴料500円の野天風呂が見える。紅葉の中の野天風呂はさぞ気持ちが良いことだろう。やがて山の斜面を登るようになると雲の中に入ってしまい、遠くは見えなくなってしまった。しかし、ガスがあまり濃くないので視界はある。稜線からはゴーと風の音が聞こえてきて、気が引き締まる。
本沢温泉から1時間ほどで夏沢峠に着いた。ここにも小屋がある。西から強い風が吹いており、地図を見ながら少し考えた末、行ける所まで行く、3時を過ぎたら引き返すことで出発した。樹林帯を抜けるともろに風を受ける。上着を着て、手には軍手をつけて進む。帰りの視界が心配だが今のところ視界は20メートルは確保されており、踏み跡もしっかりしているので安心だ。
真冬程ではないが八ヶ岳の稜線には強い西風が吹いている。風で飛ばされる心配はないが、時々風でバランスを崩しそうになる。硫黄岳は東側が火口壁になっておりスッパリ切れている。登山道は崖淵に有り、強い西風を受けて歩くには危険だ。登山道から離れて、の10メートル西側を登ることにする。やがて霧の中からケルンが現れた。いくつかのケルンに導かれて何とか頂上に着いた。3時を少し過ぎていた。霧と風の硫黄岳の頂上には誰もいない。一枚写真を撮って、早々に下る。
道をはずさないように気をつけながらも日没前にテントに着こうと急いで下る。霧の中を一人で歩くというのは少し緊張感が有って良い。あまり寒くはないが、軍手をしている手が少し冷たい。やがて夏沢峠に着き強い西風から開放され、防寒着を脱いだ。
幕場に着くと周囲に8張りぐらいのテントが張られていて、今日はにぎやかになりそうだ。テントに着くとさっそく夕食の支度をする。レトルトなので調理は簡単である。持参した日本酒をゆったりと飲みながら暗くなる外の景色を眺める。相変わらず稜線からは風の音が聞こえてくる。簡単な夕食を終えランプの灯を消しシュラフに入る。外気は5度ぐらいで、少し寒い。
17日の朝は、5時前に目がさめた。5時のアラーム音を合図にシュラフから飛び出す。山の朝は忙しい。1時間の間に朝食をつくり、食事をすませ、テントをたたみ、パッキングして出発した。
セローが待っているゲートまで1時間程度の朝の散歩をする。振り返ると昨日雲と風の中を登った硫黄岳のスカイラインがくっきりと見える。朝の紅葉の林の中をゆったりと歩く。やがて眼下に雲海が広がっている。右手には雲海に浮かぶ南アルプスの鳳凰三山が幻想的だ。今日は良い天気になりそうだ。
ゲートには私の他に4台のバイクが止まっていた。テントなど重い物をバイクに積み替え麦草峠へ向けて出発する。30分程ダートを走り舗装道路へでる。稲子湯の横を通過し紅葉の中を快適に走る。
麦草ヒュッテの入り口にバイクを止め、高見石へ向かう。この麦草峠から丸山を経て高見石へのルートは以前から歩いてみたいと思っていた所である。北ヤツ(北八ヶ岳)は、岩場の多いダイナミックな南ヤツ(南八ヶ岳)に比べて樹林とコケむした石の世界で、暗く静寂である。小さなコブを超えて、丸山の登りになる。
丸山の頂上は樹林の中で見晴らしは良くない。丸山から少し下り、高見石小屋に着く。小屋の裏手に大きな岩を沢山積み重ねたようなコブが有る。それが高見石である。にぎわう高見石に狭い平らな岩を見つけ、コーヒーを沸かす。槍穂高は丸山の影で見えないが、後立山、中央アルプスなど展望が素晴らしい。眼下の白駒池も部分的に紅葉していて美しい。
高見石から滑りやすい急な道を一気に下ると白駒池に着く。もう、そこは行楽地である。小屋も土産物屋と化してしまっている。駐車場への道を歩き、駐車場の手前を左に麦草峠へ向けて曲がる。少し歩くと人の居ない気持ちの良い場所にでる。
父が原村の家に来ているので、原村へ寄ってから帰る事にする。原村の家で昼食を食べ、父と話をして、屋根の枯葉をおろしてから八王子へ向かう。中央高速の渋滞も苦にせず無事帰宅した。
八ヶ岳のこのあたりは車でないと不便である。温泉宿が多いので、山に登らずとものんびりと湯につかり付近を散策するだけで充実する。
場所 | 高度(m) | 到着 | 出発 |
---|---|---|---|
八王子 | − | − | 6:08 |
稲子小屋途中 | − | 10:40 | 10:51 |
かもしか林道ゲート | 1865 | 11:35 | 11:58 |
本沢温泉 | 2120 | 13:05 | 13:35 |
夏沢峠 | 2450 | 14:30 | 14:33 |
硫黄岳 | 2760 | 15:19 | 15:22 |
夏沢峠 | 2450 | 15:46 | − |
本沢温泉 | 2120 | 16:25 | − |
場所 | 高度(m) | 到着 | 出発 |
---|---|---|---|
本沢温泉 | 2120 | − | 6:11 |
かもしか林道ゲート | 1865 | 7:13 | 7:29 |
麦草峠 | 2125 | 8:20 | 8:34 |
丸山 | 2329 | 9:27 | − |
高見石 | 2270 | 9:49 | 10:27 |
白駒池 | 2110 | 10:51 | − |
麦草峠 | 2125 | 11:24 | 11:37 |
原村 | − | 12:29 | 14:15 |
八王子 | − | 16:40 | − |