黒部ダムの人気に隠れた高瀬ダム

北アルプス  不動沢    1300m
ふどうさわ


1999年5月3日

大町から高瀬川沿いに15キロ入る

大町−(車)−七倉−(タクシー)−高瀬ダム〜不動沢

毎年春の連休が近づくと5月5日に起きた遭難事故を昨日の事のように思いだします。1978年の春、北アルプスの船窪岳で2人の仲間を失いました。5月3日には、2人が滑落した不動沢へ4年ぶりに行く事にしたのです。


八ヶ岳の家から父と妻と3人で出発した。長野自動車道の豊科で高速道路を降りて、クロスロードにも書いた県道の大町明科線で大町へ向かう。左には、蝶ヶ岳、常念岳、大天井岳、有明山(有明富士)、燕岳、餓鬼岳と北アルプスの山々が望める。


安曇野と北アルプス。中央の山は有明山で、その左にうっすらと常念岳が見える。

車を止めて山を眺めていると、船窪岳が見えた。懐かしいような悲しいような気持ちである。その右には蓮華岳の奥に黒部ダムで有名な扇沢があり、さらに後立山連峰が続いている。大町で、事故の時にお世話になった長性院に寄った。


長性院。

大町からは左に七倉へ向けて進む。隣の黒部ダムのようなはなやかさは無いが、大町ダム、七倉ダム、高瀬ダムと三段のダムが有り、夜間の電力を使って揚水発電をしている。

車は七倉までしか入れない。この先も立派な道が続くが決められたタクシー以外は入れない。見ていると観光バスが2台来て、ここでタクシーに分乗して高瀬ダムへ向かって行った。ここも観光地になったんだなと感慨深く昔を思い出してしまった。我々もタクシーで行くことにした。あっけなく10分程で高瀬ダムに着いてしまった。

高瀬ダムから幕岩をかかえる唐沢岳が迫力を持ってそびえているのが見える。高瀬川の上流に向かって右側に烏帽子岳が見え、さらに高瀬川の上流を望むと東鎌尾根の下部が見える。手前の湯俣岳の尾根にはばまれて北鎌尾根は見えないが、天気が良ければ尾根の上に槍ヶ岳の穂先が見えるはずである。


高瀬ダムから烏帽子岳(2628m)を望む。


高瀬ダムから槍ヶ岳方面を望む。

高瀬ダムの上でタクシーを降りてからトンネルを歩いて、吊り橋をを渡り、5分程で今日の目的地である不動沢のキャンプ場に着く。吊り橋の上から崩壊した船窪岳の東面が手の届く所に見える。昔に比べていくぶん穏やかになったように感じたのは気のせいだろうか。


トンネルと吊り橋を渡って不動沢に着く。


遭難事故があった船窪岳東面。主峰(2459m)はさらに左に有る。激しく崩壊している。

不動沢に着いたのは2時を過ぎていたが、ツーバーナーと鉄板を出してヤキソバを作り3人で食べた。今日は不動沢を眺めてのコーヒーブレークになった


不動沢から槍ヶ岳方面を望む。奥の白い山は燕岳(2763m)。

不動沢から左手の濁沢に入り、20分程歩くと滝が有る。観光客はここまで来て戻って行く。我々も滝を見に行く事にした。ここから登山道はブナ立尾根という有名な急尾根を登って鳥帽子岳へ続いている。


濁沢の大滝にて。


濁沢の大滝から高瀬ダム方面を望む左にそびえるのが唐沢岳(2632m)。


不動沢の吊り橋。奥に見えるのが船窪岳(2459m)。

散策をしてダムに戻ると既に4時半、我々が最後になっていた。ダムの上は相変わらず強風が吹いているが寒くはない。タクシーを待つ間しばし景色を楽しむ。。


強風の高瀬ダムにて。


高瀬ダムにて父と後方の山は蓮華岳(2799m)。

タクシーで七倉へ戻り、一路、大町経由で八ヶ岳の家へ向った。帰りは高瀬川沿いの県道で豊科へ抜けたが、道端の家も信号も少ない道でこらもなかなか良い道だった。


閉じる