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ニューズ・ライン(5月16日~31日)
2013年6月2日

■ 守旧派の合併

 王制時代に活躍しその後分裂した守旧派と言われる2つの政党が来るべき選挙に備えて合併することになった。スルヤ・タパ元首相の率いるRJP(Rastriya Janashakti Party)とパシュパテイ・ラナ党首に率いるRPP(Rastriya Prajatantra Party)。王制のパンチャーヤット時代から一党独裁政党として国政を担ってきたが、1990年当時のビレンドラ国王による複数政党導入によって勢力が減退していた新政党はRPPとしてタパ元首相が取りあえず党首を務める。

■ INGO/NGOへの査察

 強力な権限を持つCIAA(Commission for the Investigation of Abuse of Authority 汚職防止摘発委員会)はかねてより不明朗な会計処理が言われていたINGO/NGOの収支の把握をするよう関係各省庁に指示した。しかしながら、国内法によればCIAAにはINGO,NGO,軍等へこの法律の適用を認めていない。United Nation Convention Against Corruption を適用することで政府は承認したが、この国連による協定をネパール国内法に馴染ませる作業は最終的ではない。

■ 銀行業務の海外展開

 Global IME Bank,Himalayan Bank,NMB Bank の3行が海外に支店、連絡事務所を設けることになった。NRB(国立銀行)によれば、この3行からの申請は受理されているが業務先の国立銀行からの認可が有り次第正式にネパール側も認可することになる。

 計画によれば、IME Bankはサウデイアラビア、カタール、UAE、オーストラリア、韓国、、インドに。Himalayan BankとNMBはマレーシアに事務所を設けることになる。いずれの国もネパール人労働者が多く働いており、送金が容易になるとされている。

■ 公立学校の先生は政党員になってはならない

 教育省によれば公立学校の教員は約150,000人いるが大半はいずれかの政党に属しており、教育に熱心ではなく政党活動に多くの時間を割いている為生徒や父兄からの不満は強い。この為教育省を中心とする次官会議では教員が政党活動に参加したり、メンバーになることを禁止する指示を全国の公立学校に通達する。

 また、教員組合は大きく分けて3団体ありThe Nepal Teacher's Association(コングレス党)、The Nepal Teacher'sOrganisation(共産党統一派)、The All Nepal Teacher's Organisation(マオイスト・バイデア派)。しかしながら、政府は交渉相手の教員組合とした各政党の直接傘下にある、上記組合を認めておらず、別のThe Nepal Teacher's Unionを唯一の交渉相手としている。

 この通達が守られるかどうか、また結社、表現などの基本的労働者の権利を奪う事にならないのか、生徒や父兄からは強烈な支持があるが同じように教員側からの反発も強い。

■ 投資緩和進むか

 現行法では外国人や外国の企業、海外にいるネパール人の経営する企業が国内の上場企業に対する投資を禁じているが、海外からの投融資を促進する為これを緩和する意向を固めている。現在、カトマンズ証券取引場には227社が上場しており、市場からの資金調達に限度があることからの緩和政策である。しかし、投資基盤が整備されていない事から、まずはNRN(Non Resident Nepali)海外で事業を行っているネパール人及び会社への緩和が先行するようである。

■ ギャネンドラ元国王が初代大統領!!!

 マオイスト派の最高幹部の一人が、メデイアとのインタビューで同党が闘争期間中にギャネンドラ国王に対し初代大統領になるようオファーしたことを明らかにした。元国王からの返事は無かった。また、元国王がマオイスト派に所属し一般国民として次回の制憲議会選挙に同党から立候補する意志があればこれを受け入れるが、これは元国王が今でも君主制を夢見ていることから同意しないだろうとも。

■ 寄付の強要に対抗!

 先の制憲議会選挙では政党からビジネス界に対する寄付の強要が激しく、時には暴力的であったがこの秋以降に予定されている制憲議会選挙で再びこのような行為が起こらないよう、ビジネス・グループで対抗組織が結成され第一回会議が開かれた。ビジネス界は必ずしも政党への寄付を拒否しているわけではないが、金融機関などを経由しての透明性も要求している。

■ リング・ロード(カトマンズ環状道路)拡幅工事始まる

 懸案であったリング・ロードの拡幅工事が6月1日から始まる。昨年12月に取り交わされた計約によれば、第一ステージとなるカランキ/コテソール約9kmにはモデル地区工事等の部分が有り約40カ月を要する事になるが、残りの部分についてはなお中国政府からの援助を継続して完成する手はずとなる。中国の土木業者上海グループが掘削調査に入っている。

■ トルコ航空就航

 223都市、99カ国にネットワークを持つ世界第4位の規模を持つトルコ航空がカトマンズに乗り入れる事が決まった。ネパール/トルコの航空協定は2011年9月に結ばれており就航への準備が行われていたが、本年9月1日に最初の便がカトマンズ入りする。当面はA-330が週4便(火、木、金、日)カトマンズ/イスタンブールを7時間30分で結ぶ。

■ 派遣労働者の事故死等

 FEPB(Foreign Employment Promotion Board 海外派遣労働者振興機構)によれば、2012年7月から9カ月間で577人が死亡したと発表した。海外で働くネパール人労働者はいろいろなコネクションから働きに出る為政府統計には必ずしもこの数字が反映せず正確ではないとも言っている。最も死者の多いのはマレーシアの204人、サウデイアラビア163人、などで死因はストレス等による心臓病、交通事故、自殺等が主な原因である。

■ 海外派遣労働者への詐欺行為

 NGOのPeople's Forum の統計によれば、海外で働くことを希望しているネパール人の約60%が業者や個人業者(Non Register)からの約束不履行などの被害にあっている。今会計年度(2012年7月15日から2013年7月14日)の10か月間で約38万人(女性は2.2万人)が海外に出ているが、このうち1864件の業者や個人の詐欺行為が明らかになている。

 とりわけ多いのは個人のコネクションによる手配で業者による832件に対し1000件以上を超えている。さらに、騙されたネパールの山岳地帯や辺境地の人達である為法律的手段に訴える事も難しく、実際の件数は1864件をはるかに超えると言われている。



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