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ニューズ・ライン(10月16日~31日)
2012年10月31日

■ 難しいネパールでのビジネス

 WorldBank(世界銀行)が発表したDoing Business Index 2012はネパールでのビジネスが如何に難しいかをいろいろな方面から指摘している。

 ビジネス許可取得には7つの書類を提出し約30日、工場建設許可は約120日、輸出入許可取得には11の書類と平均40日、2000ドル前後の経費が費やされなければならない。ビジネス許可証の取得がWorld Bankの発表では平均30日となっているが、ほとんどのビジネスでは約6カ月以上が実情である。

 一方、政府の許認可事業の複雑さもあるが、主たる原因は担当相の役人の怠慢と汚職が原因とされている。受付から下級職員、上級職員、係長、課長補佐、課長、局次長、局長のハードルは高い。とりわけ外国との合弁事業を担当する部署は名指しで非難を浴びており、担当者も年月を経ずに人事異動が行われるが同じことの繰り返しであり、業者は何度もハードルを越えなければならず、これが為に、撤退したり手続き段階で事業をあきらめた外国の会社は多い。

 政府は2013年をNepal Investment Year 2013として外国企業の誘致に懸命であるが、成果を信じる者はいない。

■ 汚職の絶えない政府

 政府内は汚職が蔓延しており、ニューヨークにあるNPOの調査でも世界200カ国の国と地域のなかのワースト10に入っている。今回発覚したのは労働・雇用省で、大臣が直接労働者海外派遣会社に現金の供与を求めたもの。

 2011年10月首相は総理府を通して、問題の多い海外労働者派遣会社の調査と新規許可をしないように担当相に指示したにもかかわらず、業者に許可と引き換えに現金を要求したものであるが、たまたまビデオを持っておるものがいて取引の状況が撮影されており、これを新聞社に持ち込み発覚したということである。通常汚職は組織的に行われており、これは氷山の一角と報道されているが国民は諦め顔である。

■ 悪化するネパールの食糧事情

 IFPRI(International Food Policy Research Institute)が発表するGHI(Global Hunger Index) によれば、ネパールは調査した79カ国の中で60番目に位置し、年年悪化している。GHIのIndex は点数制になっており、

0~4.9 良好
5~9.9 ほぼ良好(Moderate)
10~19.9 問題あり(Serious)
20~29.9 大いに警戒する必要あり

となっており、ネパールは

1996年 26.9
2001年 23.0
2011年 19.9

と改良されてきたが2011年後半から再び20ポイントを超えてきており悪化の兆しが見えている。専門家の判断によれば最も大きな原因は現金を獲得する為働き手の都市への集中と同じく海外への派遣労働で農村に労働力が大幅に低下し、生産が上がらないことであるとのことだ。

■ これも60番目(the Most Prosperous Cities )

 UN(United Nation 国連)のHabitat Measured the Prosperity of 95 Cities は、世界95の調査した都市でカトマンズ市が60番目に位置すると報告した。

 どのような方法で調べているのかは明らかにされていないが、カトマンズ市が各種インフラ整備の遅れや空気、水の汚染等が指摘されている。お隣ニューデリーは58番目であり、カトマンズはダッカやアフリカのカンンパラ等の都市と同じクラスだそうである。

 この調査は”the Most Prosperous Cities”となっておりカトマンズが60番目は妥当以上かもしれない。ちなみに"the Most Prosperous Cities"はアメリカ、西ヨーロッパの各都市とオークランド、メルボルン、シドニー、東京とされている。

■ 増産されるネパール・コーヒー

 ネパール産コーヒーに人気が出てきた事をうけて、生産農家が増え2011/2012(2011年7月16日から2012年7月15日)会計年度の生産は前年度の比べ20%の増産になった。前年の401トンが482トンになったものである。輸出先はヨーロッパアメリカ、日本等である。今年度は韓国が増えている。

■ 排気ガス規制強まる

 政府は近年の車の爆発的増加に伴う排気ガスによる環境汚染を減少する為、従来の法律に変わり、EURO Ⅲ Standardと呼ばれる新しい基準を設けることになった。新しい基準によれば、乗用車は2.3gm /km モーターバイクは2.0gm/km の一酸化炭素の排出規制となる。この為約5000の車が税関で止められ、2103台がこの新し規制に適合しなかった。なお、過去に輸入された車は問われない。

■ 夢か現実か!カトマンズ電車網

 公共事業省はカトマンズ盆地内の電車網(Metro Railway)を計画しており1か月前に韓国企業に調査を委託した。最終調査はなお時間を要するが、中間報告によれば事業費が約38億ドルにのぼり10年間の建設期間が計画されている。コストの大きさから政府独自では実現が難しい為、PPP(Public Operate Pertnership)等の 民間からの事業参加BOT(Build Operate Transfer)も検討されている。一方大蔵省は韓国政府やADB(アジア開発銀行)に詳細設計について援助要請をしているが回答は無い。

■ DTAA(Double Taxation Avoidance Agreement二重課税防止協定)

 ネパールはバングラデッシュと二重課税防止協定を結ぶことになり11月初旬にも大蔵省幹部がバングラを向かう事になった。DTAAは所得税、法人税等の協定二国間での二重支払いを避ける取り決めでありネパールは1987年のインドが最初で、ノルウェー、タイ、スリランカ、モーリシャス、オーストリア、パキスタン、中国、韓国、カタールの10カ国と協定を結んでいる。インドは2011年新たに更新している。

■ ひろまるドラッグ常用者

 警察本部のNarcotic Drug Control Law Enforcement Unit は近年麻薬常習者が増えた事に危機感を抱き取締を一段と強化した。調べによれば、ヘロイン等の麻薬は主にインドからはいり、1グラム一万ルピー程度で取引されており、入手する為犯罪が増えているとのことである。本年度10カ月間で13.5kgが押収されている。



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