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ニューズ・ライン(5月16日~31日)
2012年6月1日

■ 制憲議会解散・新憲法は未だし

 4回にわたって延長を重ねた制憲議会は5月27日をもって解散になった。

 結局、新憲法は日の目ず各党間の議論のみに終わった。5回目の延長も議論されたが、最高裁の裁断では延長は見められなかった。引き続きバッタライ首相が管理内閣として政府を率いるが、首相そのものが議員であることが規則にあることから、これを無効とする意見も多く、11月22日に選挙を行うという首相の宣言も法律上は疑問視されている。

■ 大型プロジェクトが投資委員会に提出される

 政府は発電を主力とする大型プロジェクトを選定し投資委員会に送付した。委員会はこれを受けて優先順位と資金手当等をてを検討することになる。

  プロジェクト名  
1. ウエスト・セテイ発電計画 (750MW)
2. 上部カルナリ発電計画 (900MW)
3. 上部マルシャンデイ発電計画 (600MW)
4. タマコシ-Ⅲ発電計画 (650MW)
5. アルン-Ⅲ発電計画 (900MW)
6. カトマンズ/テライ地区道路 76KM
7. 第二国際空港  
8. カトマンズ盆地鉄道網  
9. カトマンズ国際空港の整備  
10. ゴミ処理施設の新設  
11. 化学肥料工場  

■ 進まない市内の道路拡幅工事

 バッタライ首相の掛け声で始まったカトマンズ市の道路拡幅工事はこの一カ月ほど止まっている。カトマンズ市役所とカトマンズ盆地都市計画委員会によれば政府が予算の執行を怠っていることが原因であり、従事する200人以上の 労働者にも給与が支払われていないとのことである。

■ パール史上最安値のルピー

 パールのルピーは5月23日対USドル90.1ルピーを記録した。1970年初めは1ドル10ルピーであったから40年間で9倍になった。円に対しては同じく1970年代には1万円が315ルピーであったが現在は1ルピーが1円前後である。約30倍のルピー安である。

■ カトマンズ/ヘトウダの道路出来るか

 カトマンズからインドに陸路で行くには殆どヘトウダを経由する。直線距離は80km弱であるが、間にマハラバートの小山脈が有り、現在2本ある道路では約6時間ほどかかる。建設を計画しているのはネパールの民間業者でBOOT(Build Own Operate and Transfer) 方式で、調査に6カ月、建設に3年半をみこんでいる。プロジェクト・コストは当初20billion Rupee(約200億円)を予定していたがコスト・インフレで20%程度のふえそうである。また、このプロジェクトの中核は山脈を貫く7000mのトンネルでネパールの建設業者の技術が問われることになる。

■ 最高裁判所判事撃たれる

 真昼の11時過ぎ最高裁判所判事がオートバイに乗った2人の覆面男にピストルで撃たれ病院に運ばれたが死亡した。二人はオートバで逃げたが詳細は不明である。

■ 生活実態調査

 厚生・人口問題省が全国300地区8974世帯を選んで行った生活実態調査によれば、10歳から24歳の都市部(カトマンズ、ポカラ、ビラトナガール、ジャナカプール等)以外に住む青少年ののうち12%の女子、5%の男子が学校に行ってないか、行ったことがない。しかしながら、識字率は高くそれぞれ88%、90%であった。結婚は男子が19歳、女子が17歳で、73%の青少年がエイズ等の病気に対する知識を持っている。

 生活環境は地方と都市部の格差は大きく、例えば地方では食事の支度は牛フンや薪であるが都市部はケロシンやLPガスを使用している。携帯電話の普及率は高く、都市部で88%、地方で60%の世帯が所有している。若干疑問の部分もあるが2010年9月から12月までの調査である。

■ ネパールの休日

 ネパールは休日の多い国である。管轄する総理府と内務省は休日を減らすべく委員会を設置して検討しているが、利害関係が多く成果はない。基本的には53の週休(土曜日、日曜日は平日)、17日の国家的祝日、12日間のダサイン、テハール祝日などであるが他にも、メーデイー、民主主義の日、地域、団体、種族、宗教、殉教者の日、身体障害者の日、公務員の日などなどーー。

カトマンズ盆地では
1.婦人の日
2.インドラ・ジャットラ
3.マチェンドラナート・ジャットラ
4.ゴダ・ジャットラ
5.ガル・ジャットラ

等が有名な休日である。

■ ウダイプール・セメント工場

 政府が経営するウダイプール・セメント工場は日本政府の200億円弱の資金援助で日本の企業連合が完成したもので当時国内唯一のセメント工場であった。しかしながら、20年以上の歳月を経て老朽化している部分も多く、現在の稼働率は50%以下である。政府は部品の交換や整備の為の資金がなく調達さきを探している。

■ 進まないメラムチ・プロジェクト

 飲料水が大幅に不足しているカトマンズ盆地が期待する盆地外から導水プロジェクトであるメラムチ・プロジェクトの進捗状況がおもわしくない。プロジェクトは取水、導水、貯水池の新設、浄水場新設、整備、配水等から構成されている。カトマンズ盆地の飲料水不足は今に始まった事ではなく1890年代後半から始まっており現在の状況になることは専門家に指摘されていた。

 初期の計画では1.取水と導水(世界銀行の融資)2.カトマンズ盆地内の浄水場の整備(日本政府の無償資金協力)、3、配水管の整備と新設(世界銀行の融資)と役割は概ねきまっていたが、取水先のメラムチ川の水量不足等が当時のコンサルタントSMEC(オーストラリア)に指摘された事等から世銀はこのプロジェクトの主導権から撤退した。これを引き続いたアジア開発銀行を中心とする融資団(日本政府含む)が現在プロジェクトを進めているが、約26kmの導水管の掘削は2013年に完成予定が現在でも40%以下の状況であり、政府担当も期限内の完成については言及していない。

 ちなみにこのトンネルはメラムチ川から170million litter/ da の導水をカトマンズ盆地に送ることになっているが、現在ではすでに500million literが盆地の需要とされている為、近くのヤングリ川、ラルケ川からの導水も計画されている。いずれにしても、プロジェクト全体が完成するのは遠い先のことになりそうである。



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