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ニューズ・ライン(11月1日~15日)
2011年11月16日

■ 平和構築に向けて各党合意なる!

 懸案であった平和構築の為の諸問題が主要4党の話し合いでようやくまとまった。各党は歴史的快挙と声明を出しているが肝心のマオイスト派は党内闘争が激しく続いており、強硬派と言われるバイデイア副議長派はこれはマオイストの降伏であると合意事項を否定している。合意事項は

1. 6500名のPLAの国軍への編入
2. PLAを離れる兵士に対し6ラック-9ラック(約60万円から90万円)の支給
3. マオイストによって略奪された土地などの民間人の財産を11月23日までに返還。
4. 編入される兵士の待遇等は国軍の基準の基ずく
5. 国体の確立の為の特別委員会を設置
6. PLA兵士の区分けを11月23日までに完了

 等等である。これまでの道のりは

2005年11月22日 政府7党とマオイスト派による12項目の合意
2006年 4月 6日 第2次民主化闘争スタート
24日 ギャネンドラ国王敗北を認める
26日 マオイスト派停戦を声明
5月26日 政府とマオイスト派が停戦協定に合意
6月16日 マオイスト派とその他の政党間で合意なる
8月 9日 ネパール政府は国連に対し平和協定の監視等を要請
11月21日 政府とマオイスト派による包括的合意協定
2007年 1月15日 暫定憲法公布される
2008年 4月28日 制憲議会選挙
5月28日 王制の廃止と共和制の宣言
2011年 1月15日 国連監視団の任務終了ネパールを離れる
9月1日 マオイスト派武器などの放棄の同意
9日 マオイスト派収奪した土地、財産などを返還することに決定
11月1日 主要4党による平和構築のプロセス合意


 写真は左から
1. ビゼイ・クマール・ガチダル(マデシ内務大臣)
2. ソシル・コイララ(コングレス党首)
3. プスパ・クマール・ダハール(マオイスト派議長)
4. ジャラナス・カナール(共産党党首)
5. バブラム・バッタライ(首相)
6. マダブ・クマール・ネパール(共産党 元首相)
7. ラム・チャンドラ・ポカレル(コングレス 議員団長)
8. セル・バハドル・デイオバ(コングレス 元首相)
9. プラカシュマン・シン(コングレス 最高幹部)
10. ナラヤンカジ・シュレスタ(マオイスト 外務大臣)

■ ダハール元首相(マオイストは議長)国連訪問

 お釈迦様の生誕地であるネパール・インド国境のルンビニとその周辺地域を開発するルンビニ・開発委員会の委員長のダハール元首相は11月7日国連に播総長を訪問しルンビニ開発の支援を要請した。また来年早々開かれるルンビニに関する国際会議への招待をあわせて表明し総長の賛同をえた。

■ SAARC会議閉会

 11月10日、11日モルデイブで開かれた第17回SAARC首脳会議閉幕した。ネパールからはバッタライ首相ほか11名が出席した。次回第18回首脳会議は2013年3月ネパールで開催される。

■ IMF(International Monetary Fund 国際通貨基金)が事務所開設

 IMFは9月に開催されたIMF世界銀行グループの会議において出席したバルサマン・プン大蔵大臣が非公式に事務所の再開設を要望するとともに10月には正式に要請書を送付した。

■ 最大規模の内閣

 バッタライ内閣は7日従来の22名の大臣に新たに26名を加え合計49名で構成する史上2番目になる大規模内閣をスタートした。さらに2名がマデシ・グループから加わる予定であるので、1996年のコングレスデオバ内閣の49名を抜いて史上一番となりそうである。また首相府によれば大臣一人当たりのかかる月間の経費は

首 相 Rs.914,552 (約90万円)
副首相 Rs.193,366 (約20万円)
閣内相 Rs.162,354 (約16万円)
国務相 Rs.157,140 (約15万円)

 であり、これは給与と45名の秘書官の手当てが含まれているが公開されない部分が多く必ずしも正確な数字ではない。ちなみに、首相府の次官は月収Rs.33540(約35000円)が基本給である。

■ ネパール・ルピー安続く

 変動相場制のネパール通貨が対ドル80ルピー前後で推移している。2か月前には70ルピー前後であったもので約30か月ぶりの安値となった。対1円もほぼ1ルピーであり30年前の1ルピー30円が夢のようである。原因はインド・ルピーの対米ドルに対する安値が対インド・ルピー固定相場であるネパール・ルピーが自動的に連動したものと言われている。

■ 大人数の首相補佐官

 首相府は各省を取りまとめる多勢のスタッフ(補佐官)がいるがバッタライ首相の補佐官は44名にのぼる。ちなみに過去コイララ首相は22名、ネパール首相は28名であった。

■ 中国製航空機がネパールの空を飛ぶか!

 政府は国営ネパール航空が機材の不足でビジネス・チャンスを失い経営が逼迫していることを受けて中国政府に8機の小型航空機の贈与、もしくはソフト・ローンによる購入を要請し基本的に中国側は同意した。11月15日からネパール航空のエンジニアが中国にむかい中国製機材の選定にあたる。

 中国では現在ARJジェット、MA60、LE500ターボプロップ、Y-12STOLなどを生産しているが、計画では17~19人乗り5機(Y-12)、50~70人乗(MA60)3機が国内線用とインド線に使用されることになる。ネパールは1972年から1979年にかけてカナダ政府から7機のツインオッターの供与を受けているが老朽化しており現在では3機のみが運航されている。

■ 環境に馴染まない海外派遣労働者

 マレーシアのネパール大使館によれば2011年1月から10月の間にネパール人労働者の死亡が235人と発表した。死因は交通事故、原因不明の病気などで詳しく調査されていないが異常な数である。2003年にネパール人労働者が派遣されるようになって以来本年10月までに1735人が確認されており政府も大使館に労働者担当官を駐在させて対応にあたっている。

■ 多発する交通事故

 モータリゼイションのカトマンズ盆地は車での移動は困難を極める。乗用車、トラック、バス、モーターバイク、耕運機、テンポー、等が雑然と走っているが、近年は乗用車とバイクの普及がとりわけ交通渋滞源となっており、事故も増えている。

 2011年5月から10月までに549人の死者と5777人のケガ人が報告されている。全国的には2009年は1356人、2010年は1734人の死者であった。交通警察によればドライバーの交通違反は増大しており、2010年7月から本年6月までに419897人が交通違反で罰金を課されており約3億4千万ルピー(約3億4千万円)が政府に納付された。



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