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ニューズ・ライン(10月16日~31日)
2011年11月1日

■ バッタライ首相のインド訪問

 10月20日から23日の間バッタライ首相が就任以来最初の公式訪問国としてインドを訪れた。ネパールでは新首相は必ずインドを最初の公式訪問しておりこの点では珍しくないが今回の首相訪問は経済成長路線を敷くバッタライ首相にとっては1950年友好条約の修正など懸案の政治案件をを日程に含まない経済一辺倒のリスクの多いツアーであった。

 バッタライ・キャビネットは今回のインド訪問に当たりカウンター・パートとの協議案件の調印を認めており閣内での意見の調整は概ね出来ていたが、肝心のマオイスト党内のバイデイア副議長を先頭とする強硬派からの非難は激しかった。調印された案件は

1. BIPPA(BilateralInvestmentPromotionandProtectionAgreement)(両国における投資促進及びその保護に関する協定)
インドはすでに80カ国以上の国々と協定を結んでいるが、ネパールはインドが初めての国となる。世界では180国が何らかの形でこの種の協定を結んでいる。調印された協定によれば両国はお互いの国で投資企業が戦争、暴動など保険でカバーされない損失を出した場合の賠償。国家による接収の禁止、送金の自由、等が含まれており、MFN(MostFavouredNationTreatmennt最恵国待遇)が保証されている。
インド側の原案では市民戦争、ストライキ、バンダ等による損失も賠償の対象になっていたがネパール側の強い反対でとりさげられたものである。今日本で話題になっているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)では投資企業や個人が当該国の政策変更等で損害を受けたっ場合その国を訴える事が出来るというシステムが問題になっているが、投資家、企業側の法的対抗手段としてBIPPAでもかなり考慮されている。
2. $250millionの有償資金援助
有償資金援助のうち90millionnはインドからの電力輸入の為の送電線網の拡充と発電所のメンテナンスに、残りは灌漑等インフラ整備に使われる。金利は年1.75%のソフト・ローンで10年間据え置き20年償還となる。
3. DTAA(DoubleTaxationAvoidanceAgreement二重課税防止協定)
ネパール側はすでに閣議承認されていたが、インド政府では承認が取れていなかった為調印が延期になり、あらためてムケルジェ・インド大蔵大臣が11月にもカトマンズ入りして調印されることになった。

■ ダハール・マオイスト派議長率いるルンビニ開発委員会とニューヨーク訪問

 お釈迦様生誕地としての聖地であるルンビニは、LumbiniDevelopmrntTrustが政府の委託を受けて保護しているが、新たに6人の委員からなる開発委員会が設けられダハール・マオイス派議長が委員長に選任された。ルンビニはユネスコ、UNIDO等国連機関の支援を受けており11月第2週にもニューヨークに向かい関係者と面談する予定である。

■ ルンビニのホテルでキャンセル続く

 聖地巡りの一環として多くの人々が聖地ルンビニを訪れるが仏教国のタイからも毎年多くの人々がやってくる。昨年の統計では20259人ノタイ人が訪れているが、本年はタイの洪水災害で昨年同期の70%程度の約1500人にとどまっている。

■ マオイスト派の車両無断使用

 2006年の包括的平和協定から5年を経て今でもマオイスト派は闘争中にインドから密輸したり、どこからか召しあげた多くの車両を使っている。現在使われている車は94台でそれぞれがマオイスト幹部の
私用車であり税金等も一切払われていない。協定では2007年末には政府に返却することになっていたがウヤムヤになっている。
 奇妙な事にマオイスト派の車両のナムバー・プレートは政府の規則にない黄色のプレートに緑と白の文字盤がついており一目でわかるようになっている。

■ イスラム団体がストライキ

 ネパールにも多くのイスラム教徒が見られるが、教徒が原因は不明であるが死亡したことで、政府の対応に抗議しストライキになったもの。教団では死亡した家族の子供達への無償教育などを求めている。

■ 政府役人は税務署、税関勤務が最も魅力的な働き場所!

 政府機関の調べによれば役人の70%以上が税務署、税関で働きたいと思っている。また。もっとも嫌われているのはリサーチ、学術関係の省庁や機関だそうである。儲からない職場が嫌われているようであり、これを調査した政府機関そのものが人気の無い職場のようである。

■ 一日54ルピー以下の稼ぎは貧乏人!

 CBS(CentralBureauofStatistic中央統計局)と世界銀行が行ったNLSS-Ⅲ(TheThirdNepalLivingStandardSurvey第3回生活調査)によれば、一日54ルピー以下しか稼げない人々は全人口の25%ありこの階層を極貧困層と呼ぶそうである。第2回(2003/2004)の調査ではこの水準の人々は30.85%であった。

■ 国軍の輸送機墜落

 17日ネパールガンジから病人を輸送してカトマンズに向かっていた国軍の輸送機が山中に墜落し、乗っていた6名の死亡が確認された。


■ 忙しい陸軍参謀総長

 グルン国軍参謀総長は13日からハワイで開催されたアジア太平洋27か国による海事安全保障会議に出席した。また月末から中国軍の招待で北京にむかった。


■ ネパール固有のカレンダー使用が許可される

 ネパールは現在3つのカレンダーを使い分けている。最も一般的なビクラム・カレンダーは1960年時の首相チャンドラ・ラナがインドから移入したものであり所謂ネパール・カレンダーとは異なるものである。
しかしながら、民族固有のカレンダーを使用すべきとの声が高まり政府は一部これを認めたが今回正式に閣議され公式に使用されることになった。現在西暦2011年、ビクラム歴2068年、ネパール・カレンダー1131年である。なお、ネパール・カレンダーとはネワールの人々がマーラー王朝にカトマンズ盆地で使用していたものである。



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