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流出する農村部の若者達
2008年12月12日

 ネパールは都市部が少ない為農村部というと殆どネパール全土をさすことになるが、左翼勢力マオイストと政府の10年を越す闘争の間多くのネパール人、とりわけ若者達が故郷を離れ海外に仕事を求めて国を去った。行く先は単純労働者を多く必要としている中近東のサウデイアラビア、カタール、ドバイ、そしてアジアの国マレーシアである。

 海外に向かう理由は幾つかあるが、最大の理由は国内に現金収入を得られる仕事が無い事であるが、闘争に巻き込まれたり、加担させられる事への恐怖が実は最大の要因と言われている。

 中部地区ロルパ郡の場合であるがこの地域はマオイスト派が闘争の発祥地としており、同党に取っては聖地であるが、最近反マオイスト派の武装勢力がロルパ郡を武力で仕切っており改めて住民は武力闘争の脅威にさらされることになり多くの若者達が村から離れ海外に仕事を求めている。郡を管轄するCDO(Chief District Officer 郡長)によれば、ここ半年で約170万人が住民登録をし、17000人がパスポートを申請している。さらにこの数は大幅に増えそうであり郡庁の大半の業務は住民登録と住民票、パスポートの発行に占められているとの事である。

 さらに、困ったことには村から離れたり、海外に働きに出た若者は殆どの場合村に帰って来ることは無いことである。そう言えば、カトマンズで働くタクシー、バス、の運転手は100%近く地方から出てきた人達である。

 海外に行ってしまった若者達がそのような仕事でどのような暮らしをしているのか定かではないが、一つの光明は殆どの場合海外からネパールの村に残っている家族あてに海外送金が定期的にあることである。ロルパ郡の場合も僅かに来る電気を利用して、送金受け取り業がコンピューター管理で稼動しており、従来カトマンズの銀行まで2週間もかけて受け取りに行くことが無くなり村人はその点では暮らしが楽になったと言っている。



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