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ネパールの治安と観光
2008年6月23日

 王政から共和制へと大きく国体が変わったことでネパールの政情やそれに係わる治安等が心配されているが、従来よりネパールの治安には誤解を受けている部分が非常に大きいので老婆心ながら説明しておきたい。

 ネパールの国政選挙(4月10日)の結果王政を支持する政党が敗北し共和制を主張する政党が勝利し、5月29日の議会で共和制が宣言された。また、共産党マオイスト派が最大政党となり次期政権を担うことになり現在各党が政権の構想について話し合いを行っているところであるが、共産党マオイスト派も単独政権を維持できないことから全政党による連立政権を画策している。国体としては大統領制が決まっているが、執行機関である首相との権限の振り分けで状況は難航している。 

 マオイスト派がゲリラ闘争を行っていた1996年から2006年の間にトレッキング街道での寄付の要請(正式の領収書を発行していた)はあったが、この間外国人旅行者が物理的被害に遭ったことはないが、バンダと呼ばれるストライキが頻発し観光を含む国内のビジネスに大きく影響した。このため交通機関がマヒしたりして"不便“であったものの危険という状況ではなかった。一部には恰も内戦かのような報道を行っていたメデイアもあるが事情は全く違っていた。

 政体が大きく変わったことで今後は共和制に不満を抱くグループが政治活動を始めるかもしれないが、従来もそうであったように観光客つまり外国人への被害は無いと考えてよい。

 4月の選挙に際してもマオイスト派はそのマニフェストのなかで外貨獲得の見地から観光振興を最優先にとりあげており観光客のネパール訪問を歓迎している。ネパールは資源が殆ど無く工業化の基盤も無いことから税収、外貨獲得に観光振興は最も重要であることはネパールの全政党が承知しているし、また観光は平和産業であり平和、安全無くして観光は成り立たないことも理解している。

 以上のことから王政から共和制に移行することで憲法をはじめ多くの規則、習慣が変わるがこれは国内的なものであり、観光客には悪い影響はないと考えられる。



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