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マオイスト派が国民投票を提案
2007年10月8日

 マオイスト派の暫定内閣からの離脱、11月国政選挙の無期延期など流動する政局のなかで、10月7日マオイスト派は国民投票(Referendum)を提案した。

 これは、従来より彼らが主張する暫定国会による共和制の宣言、選挙制度の変更が8政党連合により拒否された後の政治スケジュールである。暫定国会による共和制宣言が駄目なら国民投票でと言うのが戦術のようであるが、まさに思いつくアイデアは何でも利用しようと言うことが丸見えで、これが拒否されれば次は何か?

 国民投票は初めてではない。1970年代の後半パンチャーヤット制に反対する運動が激しくなり、都市部,地方を問わず学生達と警察の衝突が続き政府は当時国家的には未公認であったコングレスや共産党の幹部を逮捕する強行策にでた。これが,逆に反体制運動に発展した為、憂慮した王宮は1979年5月24日国王が直接早朝のラジオを通じてパンチャーヤット制度等の是非を問う国民投票を提案した。

 国民投票は翌1980年5月に実施され王宮側が54.8%、反対が45.2%でこの制度と王宮は国民に支持された。しかしながら、それから約10年1990年初めの民主化運動と現憲法にいたるまでのネパールは政治的、経済的になんらの進歩、発展もなく国民投票の際の国民の合意と支持は実現しなかったようである。

 もともと、コイララ首相を先頭とするコングレスは立憲君主制の支持派であり多くの政党がほぼこれに従っている。したがって、政党間レベルで論議すればマオイスト派の共和制が賛成されないことは当然であるが、国民レベルで論議すれば共和制が賛成される可能性は充分考えられる。この点でマオイスト派の作戦は間違っていたと指摘されるだろう。

 マオイスト派や幾つかの政党や国民は共和制に幻想や誤解を持っているようである。フランス、ドイツ、イタリアなどの先進国は共和制であり、イギリス、スウエーデン、オランダなど民主主義の最も定着している国々は立憲君主制である。どのような、共和制をネパールは目指すというのか、まずはこの辺のところが予定されていたどの政党のマニフェストにも見られなかったのは残念である。

 国民投票を実施するには、膨大なエネルギーが必要である。

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