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ネパール憲法の概略 <その1>
 現行憲法は当時のビレンドラ国王が1990年4月16日民主化運動の要求を受け入れ、パンチャーヤット制の廃止、複数政党制の確立、憲法改正委員会の設置、等を基本とする声明を発表した事にはじまる。同年4月19日ネパーリー・コングレス書記長バッタライが首相に就任し選挙管理のための暫定内閣を率いることになり1990年11月9日現行憲法は公布された。

 現政治情勢から再び憲法改正の動きがあることから将来に向けて現行憲法を紹介し概略を説明したい。現行憲法は当時の民主化の要求に概ね沿ったものあるとの評価がなされているが、現在の政治情勢とは相容れない部分も多いようである。前文、及び主文133条と補足3項で構成されているが主要部分について紹介する。

■ 前文
 我々ネパールの主権の根源は人民にあり、ネパール人の政治的、社会的、経済的保障の正当性を完全に掲げているこの憲法は全国民の選挙、政治体制(議会制)、政体(立憲君主制)、複数政党制、および司法制度の確立などと基本的人権を保障するため作られたものである。したがい、憲法の規定すなわち内閣の勧告と助言に基づき国王はここにネパール王国憲法を公布する。

第1条 (憲法)
(一) この憲法はネパールの基本法であり、これに抵触する全ての法律は無効とする。
(二) この憲法の擁護はすべての国民の義務である。
第2条 (ネパール人)
ネパール人民は宗教、部族、カーストにかかわりなく共同して国家を形成する。
第3条 (主権)
国の主権は人民にあり憲法の規定に基づき保障される。
第4条 (王国)
(一) ネパールは多人種、多言語、民主的、独立、ヒンズー国家、立憲君主の王国である。
(三) ネパールの領土は次のように構成される。
(A) この憲法施行時の領土
(B) この憲法の施行後に獲得された領土 
第5条 (国旗)
省略
第6条 (国語)
(一) ネパールの国語はデバナガリ文字で表記されるネパール語であり公用語はネパール語である。
(二) 国内で話されるすべての言語は国民的言語である。
第7条 (国家、国花、国鳥、など)
省略

 以上第1条から第7条までの前文に続く条項について解説したい。

 大事な事は主権在民と基本的人権を保障していることである。現憲法は国民の民主的活動を評価し、選挙、議院内閣制,複数政党制,司法の独立、そして立憲君主制をうたっていることであり、国王の憲法公布などの権限を制限し国家の構成要素を明記して強く立憲君主制と国民主権にふれていることである。

 また他民族国家の多言語を母語として認めている。

  ● 参考文献は最後にまとめてご案内いたします。



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