展望と紅葉の縦走

上越  谷川岳  1977m
たにがわだけ




2006年10月20日〜22日

10月20日 多摩=(車)=土合
10月21日 土合〜土合口=天神平〜谷川岳〜一ノ倉岳〜茂倉岳〜武能岳〜蓬峠
10月22日 蓬峠〜七ッ小屋山〜清水峠〜朝日岳〜笠ヶ岳〜白毛門〜土合=多摩

紅葉と展望に期待して谷川岳から国境稜線を通って白毛門に至る縦走に出かけました。天気予報は晴れでしたが、太平洋側から日本海側へ抜ける雲が次々にやって来て、良い展望を得るのは難しい状況でした。しかし、視界ゼロの状況を脱して楽しい山行をする事ができました。ややハードな縦走でしたが山麓の紅葉を楽しみ、雲に浮かぶ山々を眺め、目一杯歩きました。


10月20日

夜、8時前に多摩を出発し、日ノ出から圏央道に入り水上へ向かう。水上で関越道を出て、湯檜曽辺りを走っていると雨が降り出した。11時過ぎに土合山の家に到着し、ここで仮眠する。到着が遅くなったので風呂に入れなかったのが残念だが、広い部屋で布団でゆっくりと寝ることができた。

10月21日

朝、5時に起床し朝食を取る。昨夜はかなり雨が降ったようで地面は濡れているが、今はほとんど雨は止んでいる。支度を済ませ、不要なものを車に残して土合山ノ家を6時に出発する。念のためアイゼンは持つことにする。土合橋を渡り、車の往来する舗装道路を土合口に向かって歩く。

土合口のゴンドラ乗り場は以前と変わっており、立体駐車場の建屋の上の階にチケット売り場がある。室内で並んでチケット売り場が開くのを待つ。着いた時には待つ人は10名程度だったが、7時10分前にチケット売り場が開く頃には100名程度になっていた。チケットを購入し、階段を登ってゴンドラ乗り場の通路へ向かう。ゴンドラは16人乗りぐらいで輸送力があるので、どんどん人がはけて行く。我々は7時過ぎに乗り、紅葉の西黒沢を天神平へ向けて雲の中へ上がって行く。

ゴンドラを降り、出発の支度をする。辺りは霧につつまれて視界は無いが雨はかすかな霧雨程度だ。念のため雨具とスパッツを着けて出発する。リフト乗り場の下の道を行き斜面を登ると木の階段と木道になる。リフトからの人をあわせ、登るに連れて人が増え行列になってきた。視界は無いが、人は多い。熊穴沢避難小屋の所で一休みする。小屋周辺は登山者でごった返している。



熊穴沢避難小屋周辺は登山者でごった返している。


しばらく登ると森林限界を越え、すっきりした登りになる。天神尾根の途中で休んでいるとどんどん人が登ってくるのに驚かされる。相変わらず視界は無いが、晴れる事を願って登って行く。右手にはザンゲ沢源頭の斜面が広がっているはずだが、一面霧で真っ白だ。やがて肩の小屋に到着しトイレを借用する。肩の小屋からわずかの登りで谷川岳山頂のトマノ耳に到着した。山頂は賑わっており、写真を撮ってオキノ耳に向かう。



時々岩が出てくる天神尾根の登り。




肩の小屋に到着。




トマノ耳に到着。


マチガ沢を右手に見て左手の斜面を下る。トマノ耳までは吊尾根になっており、稜線近くを歩く時は落石をしないよう特に注意して歩く。わずかな登りでオキノ耳に到着する。狭い山頂は休む人で賑わっている。我々もここで一休みする。



オキノ耳へ向かう。




谷川岳山頂(オキノ耳)にて。


一ノ倉岳は谷川岳とほぼ同じ高度だが、登下降を繰り返しながら140メートル下る。しばらく岩峰まじりの稜線通しの登下降が続く。岩峰を巻く所にクサリ場があるが容易で危険も無い。右手の一ノ倉沢は霧で真っ白で静まりかえっている。一ノ倉岳への登りは急登だ。急登を終え、傾斜が寝てくると一ノ倉岳の山頂に到着する。険悪な一ノ倉沢の上の一ノ倉岳の山頂は、あまり広くはないが草地の穏やかな山頂である。ここまで来ると登山者は一気に減り静かな山頂になる。ここで一休みする。



霧の中を一ノ倉岳へ向かう。




小さなクサリ場を下る。




右手に切れ落ちる一ノ倉沢は霧の中だ。




避難小屋を過ぎると一ノ倉岳に到着する。


一ノ倉岳と茂倉岳は少し距離はあるが双耳峰のような形になっており、広い稜線を緩やかに下って登り返すとすぐに茂倉岳に到着する。谷川岳から茂倉岳まではほぼ同じ高度だが、茂倉岳からは蓬峠へ向けて大きく下る。稜線上に岩峰もあるが、困難な所は無い。広い笹原の稜線をゆったりと下ってゆくとやがて笹平に降り立つ。ここから武能岳への登りはやや急登であるが、短いのですぐに着いてしまう。相変わらず霧につつまれた山頂で静かなひと時を過ごす。



茂倉岳から下って行くと稜線上に岩峰がある。




武能岳に到着。


武能岳から蓬峠へは広々とした気持ちの良い笹原の稜線を下る。途中、岩峰がありこれを巻いて行くが難所は無い。気持ち良く下って行くと途中稜線から右の笹の斜面に屈曲する所があるので視界の無い時は注意したい。うっすらと下の沢が見えるようになったが、それもわずかの間で、まだまだ天候の回復の兆しは無い。やがて右手から旧道白樺尾根からの道を合わせると蓬峠は目と鼻の先だ。ここで少し白毛門辺りの山が見えてきたのでしばし眺めるが、すぐに消えてしまった。



気持ち良く広い笹の尾根を下る。




一瞬見えた笠ヶ岳方面の山。


蓬ヒュッテの手前には既に数張りのテントが張ってある。ほぼ予定通り3時過ぎに到着した。水場は土樽方面へ15分ほど下った所にある。2段になった寝室にはそれぞれ12名づつ寝るようになっている。寝具は夏用のシュラフである。5時からの夕食はとてもシンプルだが、味はまずまずで満足できる。夕食が終わると明日の支度をして寝るだけである。外は相変わらず深い霧に包まれており、風が出てきた。



蓬ヒュッテに到着。


10月22日

朝、4時に起床するが特に支度をする事もないので朝食までシュラフに入って休む。朝食は少し早まり4時40分ぐらいから始まった。シンプルだがなかなか美味しい朝食だ。食べ過ぎないように注意して、お茶をたっぷりいただく。外は昨夜より深い霧に包まれている。少し明るくなるのを待って5時45分に出発する。雨はほとんど降っていないようだが、雨具を着て行く事にする。

まず小屋の左手の笹の斜面の道を登って行く。右手から太平洋側からの風がやや強いが気温は10度で昨日より2度高く寒くはない。少し登ると緩やかな尾根状の登りになる。突然前方右下でザァーというとても大きな音が音がした。音の方向を見るとすぐ10メートル程の所で、黒い熊が笹の斜面を一目散に逃げ降りている姿が見えた。登山道で遭遇しなかったのが幸いだったようだ。蓬ヒュッテの周りの熊除けの高圧電線が思い出された。10人のグループが1時間ほど先行しているので安心していたが、しばらくは鈴を出し、時々笛を鳴らして歩く事にした。

七ッ小屋山までは距離はあるが高低差はあまりないので楽だ。途中池塘があり、木道で渡る。霧の中の池塘歩きはとても雰囲気があって気持ちが良い。やがて急登になるが、わずかな登りで七ッ小屋山の頂上に到着し、一休みする。

大源太山への分岐を左に分けると清水峠への下りが始まる。少し急な下りだが、眼下に広がる笹原や草紅葉がとても気持ち良い。湯檜曽川を登ってきた雲が清水峠を越えて日本海側へ流れて行く。少し風が出てきたが寒くはない。時々雲が切れて眼下の清水峠の小屋や巻機山が眺められ、良い感じだ。清水峠に到着し、東電の監視小屋の脇で風を避けて一休みする。



草の紅葉もきれいだ。




アキノキリンソウ。




時々雲が切れて眼下の清水峠の小屋が見える。




東電の監視小屋に到着。




聳える巻機山。


少し行くと避難小屋があり、この避難小屋の前から右に少し下り朝日岳への登りが始まる。少し登って振り返ると清水峠の辺りが明るく輝きいい感じだ。左手には紅葉の巻機山が見え、太平洋側から来た雲が稜線を越えて山肌を下って行く姿がまるで滝のようで素晴らしい。ピーカンの天気も良いが、こういう雲を交えた景色を眺められるのはとても幸運で感動的である。池ノ窪の池塘を右に見て、斜面を登り、尾根状に出た所で一休みする。尾根筋の紅葉、眼下の沢筋の草紅葉と笹原がとても素晴らしい。



霧の中から清水峠の避難小屋が現れる。




振り返ると清水峠の辺りが明るく輝いている。




池ノ窪の池塘。




眼下の沢筋の草紅葉と笹原がとても素晴らしい。


ジャンクションピークを頭上に見て、尾根状の登りが続く。右手の雲の上に一ノ倉岳と茂倉岳が見え、さらに右に目をやると奥に苗場山が見える。清水峠を越えて行く雲は上越側で消えて、大源太山が孤独に聳えているのが見える。日本海側は晴れており、塩沢のスキー場などがよく見える。所々、尾根左斜面のザレた登りがあるので注意して行く。やがてハイ松帯の登りになり、右手奥に朝日岳の山頂が見えてくる。登りついたジャンクションピークから左に巻機山へのルートがあるが、無雪期にはとても歩けない道だ。ジャンクションピークからいったん下り、朝日岳への緩やかな登りになる。左下には池塘が見られ、木道歩きになる。広々としたとても気持ちの良い道だ。宝川温泉への道を左に分けると次第に登りになり、朝日岳の山頂に到着する。



雲に浮かぶ一ノ倉岳と茂倉岳。




巻機山を越えた雲が滝のように落ちる。




雲から頭を出した大源太山。




ジャンクションピークへの登り、右奥に朝日岳が見える。




眼下に池塘を見ながら朝日岳を目指す。




朝日岳へ続く木道。




朝日岳手前にはたくさんの池塘がある。


朝日岳の北側は雲海が広がっているが、越後駒ヶ岳、会津駒ヶ岳、至仏山、燧岳、上州武尊岳、日光白根山などの高峰はシルエットとなって雲の上に浮かんで見える。これから向かう笠ヶ岳や白毛門は雲の下だが、雲に浮かぶ谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳がとても素晴らしい姿を見せている。



朝日岳から望む笠ヶ岳と雲に浮かぶ谷川岳。




笠ヶ岳への稜線の雲が切れた。




朝日岳の山頂にて。




雲に浮かぶ会津駒ヶ岳などの山々。


朝日岳からは少し急な下りになる。朝日岳東面の岩場の下を回りこむように下って行くと、今度は小岩峰の登下降になる。大烏帽子、小烏帽子を越えて下った所に小さな避難小屋がある。ここから一登りで笠ヶ岳に到着する。笠ヶ岳から振り返ると清水峠から朝日岳そして烏帽子の稜線が一望できる。



大烏帽子手前の小岩峰の登下降。




笠ヶ岳頂上直下の避難小屋。




笠ヶ岳に到着。




笠ヶ岳から振り返る朝日岳(左奥)と右手の大烏帽子。


笠ヶ岳からは一気に下る。左手に広がる沢筋の紅葉が気持ち良いが、ザレた下りなので気が抜けない。ここから見る白毛門への登り返しは長そうだが実際にはさほどではない。コルからは低木の樹林帯になりほぼ尾根通しに登って行くと白毛門の山頂に到着する。一ノ倉岳の山頂は雲の上に浮かび、雲の下の雪渓は見えるが、一ノ倉沢烏帽子岩の岩壁は残念ながら雲の中に隠れている。



雲に浮かぶ谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳。




笠ヶ岳からの下りを振り返る。




白毛門への登り返し。




振り返る笠ヶ岳と大烏帽子(右)。




白毛門の山頂にて。


白毛門から少し下ると小さな岩の下りがあり、真新しいクサリが固定してある。ここからしばらく急な尾根の下りになる。左手下には広いスラブの両側にジジ岩、ババ岩が門のように立っており珍しい眺めだ。コルからは低木の樹林帯の登下降になり松ノ木沢ノ頭のコブに到着し一休みする。ここから烏帽子岩の下部がうっすらと見える。



白毛門からの細い尾根の下り。




門のように聳えるジジ岩とババ岩。




上部岩峰のクサリ場。




尾根上部を下る。




ジジ岩とババ岩。


眼下に土合の駅が見えるが、樹林の中の急下降が果てしなく続く。白毛門沢の大滝が見える所で一休みしてもさらに500メートルの下りが残っている。ゴンドラの土合口駅の駐車場が次第に近くに見えてくるが、なかなか下に降りつかない。次第に暗くなってきて、日没寸前に登山口に降り立つことができた。少し川沿いに下り、橋を渡ると白毛門の駐車場に到着する。先行グループが車で迎えに来てくれたので、車で土合山の家に向かい、お風呂に入った。



素晴らしい紅葉が広がる。




白毛門沢の大滝。


汗を流し気持ちよく帰路につく。赤城のサービスエリアで夕食を済ませ、やや渋滞した関越道を走り、10時過ぎに多摩に到着した。

長い縦走であるが、谷川岳から白毛門までは高低差が少ないので体力的な心配はあまり無い。ポイントは白毛門からの標高差千メートルの下りである。ホワイトアウトした場合は慎重に縦走路を確認しながら歩かなくてはならないが、特に茂倉岳を下ってから右に屈曲する所、清水峠避難小屋の前で右に屈曲する所に注意が必要。また、清水峠周辺には高圧線巡視路があるので縦走路と間違えて入り込まない事。トマの耳から一ノ倉岳までは右側が岩壁になっているので転落に注意する事はもちろん、絶対に落石をしないよう注意する事。

蓬ヒュッテは定員20名ほどの小さな小屋で、完全予約制なのでシーズン中は早めの予約が必要である。また、蓬ヒュッテの寝具は夏用のシュラフなので秋のシーズンには寒がりの人はシュラフカバーやカイロ等を持参したほうが良い。

10月21日 標高 到着 出発
土合山ノ家 678 5:55
土合口 756 6:17 7:06
天神平 1328 7:15 7:32
熊穴沢避難小屋 1478 8:19 8:29
天神尾根上部 1829 9:22 9:37
肩の小屋 1920 9:51 10:00
谷川岳トマノ耳 1963 10:07 10:10
谷川岳オキノ耳 1977 10:25 10:36
一ノ倉岳 1974 11:36 11:57
茂倉岳 1978 12:16 12:20
屈曲点 1798 12:48 13:01
武能岳 1760 14:10 14:25
蓬ヒュッテ 1529 15:21
10月22日 標高 到着 出発
蓬ヒュッテ 1529 5:45
七ッ小屋山 1675 6:43 6:47
清水峠 1460 7:36 7:47
尾根 1578 8:36 8:48
ジャンクションピーク下 1712 9:18 9:25
朝日岳 1945 10:25 11:03
笠ヶ岳 1852 12:15 12:26
白毛門 1720 13:26 13:40
松ノ木ノ頭 1484 14:40 14:45
尾根 1203 15:27 15:35
白毛門登山口 685 17:13 17:17
土合山ノ家 678 17:23 18:24
多摩 115 22:25
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