黒部川の渓谷歩き

北アルプス  黒部川下ノ廊下
しものろうか




2005年10月28日〜30日

10月28日 上野=
10月29日 =魚津=欅平〜阿曽原
10月30日 阿曽原〜仙人ダム〜十字峡〜内蔵助谷出合〜黒四ダム=大町=多摩

今週は黒部川の渓谷の眺めを楽しみました。初日は雨の中を阿曽原まで歩きましたが翌日は晴れ、紅葉と岩壁と滝と黒部川の流れが素晴らしい眺めでした。連日の高所歩きに緊張しましたが、秋の短い期間だけ入山できる下ノ廊下を堪能しました。今年は補修に時間がかかったのか、例年の9月からかなり遅れて10月21日に開通しました。我々の出発ギリギリでした。


10月28日

夜11時に寝台特急「北陸」で上野駅を出発する。ゆっくり横になって寝られるのがありがたい。出発すると心地よい振動で眠りについた。



寝台特急「北陸」で上野駅を出発。


10月29日

5時前に起きて下車の準備をする。まだ暗い魚津駅に降り、待合室で横になる。6時前に富山電鉄の魚津駅に向い、宇奈月行の一番電車に載る。山には雲がかかり、今にも降り出しそうな様子である。終点の宇奈月で降り、トロッコ列車の駅に向かう。

トロッコ列車の宇奈月駅には7時半の一番列車を待つ人が沢山いた。欅平までの切符を買い、朝食にする。車両は窓のあるリラックス車などのバリエーションがあり、それぞれ料金が異なる。出発までの間にとうとう雨が降り出した。防寒着と雨具を着てトロッコ列車に乗る。雨のせいか、窓の無い普通車両は空いていて快適だ。まだ紅葉には早い車窓を楽しみながら欅平へ向かう。



車窓を楽しみながら欅平へ向かう。


欅平の駅でしっかりと雨対策をして出発する。駅を出て宇奈月方面へ30mほど行くとビジターセンター手前の左に阿曽原への登山道がある。駅前からすぐに急登が始まる。送電線の鉄塔へ向けてシジミ坂と呼ばれる300mの急登が続く。眼下の黒部川がどんどん低くなって行く。尾根上に出て急登は終わるが、さらに左に尾根の上りが続き、標高900mを過ぎてやっと水平道になる。



ビジターセンター手前を左に入る。




駅前からすぐに急登が始まる。




眼下の黒部川がどんどん低くなって行く。




標高900mを過ぎてやっと水平道になる。


左に前方に奥鐘山の岩壁を見ながら水平道のへつりを行く。樹林のためあまり高度感は無いが、黒部川が足元から300m程下を流れている。相変わらずの雨だがそこそこの眺めはある。短いトンネルを二つ過ぎると正面に岩がゴロゴロした志合谷が見える。振り返ると黒部川が紅葉の岸壁の間を静かに流れている。道は無く、志合谷の手前で右手の小さなトンネルに入る。トンネルの中は暗く曲がりくねっているのでヘッドランプが必要だ。トンネルを出ると志合谷の反対側である。



紅葉がすばらしい。




水平道のへつりを行く。




トンネルが有る。




足元は黒部川まで300m切れ落ちている。




岩壁には鉄のワイヤーが張ってある。




逆コの字に掘られている。




志合谷のトンネル入口。


さらに行くと大太鼓に出る。大太鼓は大きく張り出した岩壁に逆コの字型にきれいに道が刻んである。ここで雨宿りをして休んでいるパーティーが居て狭い道を塞いでいるのには呆れてしまう。



大太鼓の通過。




大太鼓からは真直ぐ切れ落ちている。




大太鼓を振り返る。




雨で濡れないのは有難い。




岩壁の通過が続く。




水平道は続く。


次のオリオ谷には堰堤がある。この堰堤の中がトンネルになっており、短いトンネルを抜けて谷の向こう側に出る。ここから水平道はわずかな登りになる。振り返ると大太鼓辺りの紅葉が素晴らしい。少し行った所に岩陰の乾いた所があり、ここで一休みする。



オリオ谷の堰堤のトンネルを通過。




すばらしい紅葉の岩壁。




黒部川を見下ろす。


しばらく水平道が続き、小さな高巻きに出る。斜面を急登して長いハシゴを下り、再び水平道に戻る。さらに行くともう一つ高巻きがある。この高巻きが終わると前方に阿曽原温泉小屋が見え、100mほど大きく下る。下り切って枝沢の橋を渡り少し登るとテント場に着く。テント場からさらに10m程登ると小屋がある。プレハブ作業小屋風の質素な小屋である。テント場の水捌けの良さそうな場所を選んでツェルトを張る。



高巻きを行く。




前方に阿曽原温泉小屋が見えた。




テント場にツェルトを張る。


我々がツェルトを張った所の近くから野天風呂へ下る道がある。風呂は川に向かって5分ほど下った所にあり、帰りは登りになる。雨の中なのにかなりの人が風呂に下って行った。ここのテント場は清潔な水洗トイレで水場も豊富である。ガスコンロに火をつけるとツェルトの中も暖かくなる。食前のコーヒーでお腹も温まる。食事の支度をして夕飯が終わると、後はすることが無いので6時にシュラフに入る。今、前線が通過中で、低気圧が北海道に抜けると冬型になるようだ。今夜は冷えそうだ。

10月30日

4時に起床した。昨夜は寒くて何度も目が醒めたが、長い時間よく寝た。雨は夜半に止んだようだ。朝食を済ませて、紅茶を飲みながら夜明けを待つ。5時半出発の予定だったが天候のせいかなかなか明るくならず、6時過ぎに出発した。時々ぱらつく雨と、防寒のため雨具を着て出発した。

今日も朝一番から急登である。小屋の前を過ぎしばらく登って行くと阿曽原峠に着き急登は終わる。すぐに右に登る仙人池への道を分ける。まだ薄暗い樹林の中の水平道を行くと短いトンネルがある。さらに行き権現峠を過ぎると仙人ダムへの下りが始まる。少し尾根状の急な下りが続き、緩い傾斜に向かって左にダムから遠ざかるように進む。人見平に降りると右に川沿いに行く。左手の紅葉の山肌と滝が美しい。右手には関西電力人見平宿舎の大きな建屋がある。



短いトンネルを出ると権現峠。




仙人ダムへの下り。




関西電力人見平宿舎の大きな建屋。


正面に岩壁を望みながら行くともう一つ建屋があり、その先からダム施設の通路に入る。軌道を渡って少し行くと硫黄臭がきつくなる。矢印にしたがってダム施設の通路を行き、ドアを開けて外に出ると仙人ダムの脇である。階段を登りダムの上に出ると黒部川の川床が遥か下に見える。



ダム施設の通路に入る。




ダムの上に出ると黒部川の川床が遥か下に見える。




仙人山の滝と紅葉。


ダムの上を渡り右岸に降りると、しばらく車道歩きになる。トンネルがあり、トンネルの出口付近から上方に黒四発電所の送電線の引出し口が見える。すぐに広場があり、ここで車道が終わる。この広場で一休みする。正面にはこれから渡る吊り橋が見える。



黒四発電所の送電線の引出し口が見える。


広場から少し下り、急登で登り返すと吊り橋に着く。高度のある吊り橋で長いのでよく揺れる。渡り終え、対岸を見るとかなり頭上に送電線の口が見える。あの高さまで登り返さなくてはならない。急登が続くが100m弱の高度差で、960mの高度になると水平道になる。



長い吊り橋を渡る。




送電線の口の高さまで登る。


遥か下にS字峡の流れを見ながらへつりが続く。紅葉の岩肌が美しい所だ。上からの水が水平道にかかる所が有るが、ブルーシートで覆われてあまり濡れないようになっている。途中、2ヶ所、右手に小さな岩屋があり、ビバーク可能だ。黒部川の流れと紅葉の岩壁を眺めながら、緊張のへつりが続く。S字峡の次は半月峡である。枝沢から見上げると物凄い岩壁が頭上に聳えている。



紅葉の中をへつる。




S字峡の上を行く。




遥か下にS字峡の流れを見る。




素晴らしい紅葉の岩壁に作られた道。




見下ろすとコバルトブルーの黒部川の流れが。




見上げると紅葉の岩壁が迫る。




ワイヤーを頼りにへつる。


左前方に棒小屋沢が見えるとそろそろ十字峡である。十字峡の吊り橋まで少し下る。剣沢にかかった吊り橋からの剣沢の流れは凄い迫力だ。吊り橋を渡ると広場があり、ここで一休みする。この広場は2段になっており、緊急時には幕営も可能である。



剣沢にかかる十字峡の吊り橋。




吊り橋から見下ろす十字峡。


樹林を抜けて少し登ると水平道になる。眼下に黒部川の流れをみながら紅葉の渓谷のへつりが続く。右手の岩から水しぶきを受ける所があり、ブルーシートで水がかからないようになっている。それでも飛沫を受けて多少は濡れてしまう。こういう所があるので朝着た雨具をなかなか脱げない。



黒部川の流れも近くなった。




ブルーシートで覆われた道。


次第に白い岩が増え、前方にトロが見えると白竜峡は近い。対岸のタル沢の滝が素晴らしい。白竜峡に入ると白い岩と青いトロの美しい流れになる。この辺りになると川床との高度差は50m程になるが、白竜峡のへつりは変化が有って楽しい。ただ、黒四ダムから下って来るパーティーとのすれ違いの時間帯になるので対向者の有無とすれ違い場所の確認をしながら進まなくてはならない。



ずいぶん水面に近くなった。




白竜峡の中を行く。




危うい木の桟橋を行く。


水平道は高度930m辺りをキープしているので、進むに連れて黒部川の流れが近づいてくる。白竜峡を過ぎると川までの高度差が50mを切るくらいになるので、高度感はやや弱まってくる。別山沢の前後には崩壊が進んでいる所があり、通過にバランスを要する場所があるので油断はできない。岸壁を回り込み別山沢へ下る所のトラバースではスタンスが崩壊していて遠く、岩がかぶっている。慎重に体重移動して通過する。沢床への垂壁の下りには鉄の金具をスタンスにして降りる。ここで一休みする。



見上げる岩壁が凄い迫力だ。




岩の中を歩く。




岩を削った水平道が続く。


沢から岩場を少し登り、登り気味の水平道になる。やがて前方の岩に垂直なハシゴが見えた。巻き道である。見ると短い区間だが道が崩壊している。狭いへつりの道からほぼ垂直に20mほど登る。丸太のハシゴなので滑りやすく、太くてしっかり握れない。それでも登りは良いが、下りは緊張する。狭いへつり道の下は100mほど川へ向かって切れ落ちているので丸太で足を滑らさないよう慎重に下る。



巻き道のハシゴを登る。




下りのハシゴは緊張する。


対岸に新越ノ滝が見える。紅葉の岸壁の中を落ちる滝の姿は一際美しい。しばらく水平道を行くが、川床が次第に近づいてきて、とうとう河原を歩くようになる。長い高所のへつりから解放されて、やや疲れが出てきた。河原は大きな岩を乗り越えたり、小さな高巻きが続いたりと決して楽ではない。日が当たって暑くなってきたので雨具を脱ぐ。黒部川の流れに沿って右に大きく曲がり、大岩を越えて高巻く。所々板の橋が有ったり、丸太のハシゴが有ったり、整備はされているようだ。子尾根を越えると眼下に橋が見え、頭上に丸山東壁が聳える。内蔵助谷を橋で渡り、一休みする。



対岸に新越ノ滝が見える。




河原を歩くようになる。




大タテガビンを見上げる。




内蔵助谷の上に聳える丸山東壁。




内蔵助谷を橋で渡る。


少し行くと右手から真砂沢からの道が合流する。その先を少し登るとやや登り気味の水平道になる。黒四ダムの放水のせいか、川が少し濁っている。小さな尾根を過ぎ、高巻きを越えると前方に黒四ダムの上の施設が見えて来る。黒部川下ノ廊下の旅ももうすぐ終わりだ。



やや登り気味の水平道が続く。


河原の樹林の中を歩くようになると黒四ダムが姿を現わす。放水するダムのかなり手前で橋を渡る。ここから黒四ダムの上に向かって200mの登りが始まる。少し急登した後、小屋の方へ迂回し、水路に沿って直上する。かなり登り、このまま上まで行くのかと思えば、大きく左に回り込みツヅラ折れの登りになる。最後はコンクリートの壁に向かって木の階段を登り、車道に出る。車道に沿って大きく曲がりながら登って行くとトロリーバスの入り口に到着した。展望台への道は通行止めになっているのでドアを開けてトロリーバスのトンネルに入る。右手に少し行くと駅に到着する。



ダムのかなり手前で橋を渡る。




観光放水する黒四ダム。




コンクリートの壁に向かって木の階段を登る。


駅はさほど込んでおらず、4時5分のバスで扇沢に下る。バスの中も、扇沢も意外と寒い。扇沢からは接続するバスが無いのでタクシーで大町に向かう。大町から普通電車で松本に行き、松本から特急で八王子に向かう。中央線の人身事故のおかげで1時間弱遅れたが、10時過ぎには帰宅できた。

基本的に水平道歩きなので高所恐怖症でなければ歩けるが、いやな高巻きやスタンスが乏しい所も有るので岩登りの基本は欲しい。途中ビバークも可能だが歩き切る体力も必要だ。一般の人が入れる期間は限られているので、富山県警などに状況を確認する必要が有る。例年は9月辺りから入山が許可されるが、今年は11月21日に入山が許可された。リュックはできるだけ小さく軽くまとめること。リュックにストックを付けたり、物をぶらさげたりすると岩に引っ掻けて転倒する危険がある。壁側には2本の太い針金が設置されているので、安全確保のためこの針金に手を通して歩こう。今年は10月31日が阿曽原温泉小屋の小屋じまいだった。小屋泊まりの時は予約が必要。

10月28日 標高 到着 出発
上野 10 23:03
10月29日 標高 到着 出発
魚津 14 5:13 6:01
宇奈月 224 6:43 7:32
欅平 669 8:47 9:14
休憩 957 11:07 11:15
志合谷 937 11:41
オリオ谷 938 12:41
休憩 959 13:21 13:31
阿曽原 870 14:26
10月30日 標高 到着 出発
阿曽原 870 6:09
阿曽原峠 972 6:31
仙人ダム広場 888 7:36 7:42
半月峡 969 8:36
十字峡 967 9:45 9:53
白竜峡 1061 10:54
黒部別山谷 1064 11:37 11:44
新越沢 1110 12:37
鳴沢小沢 1116 13:07
内蔵助谷出合 1196 14:02 14:10
桟橋 1280 15:03
黒部第四ダム 1496 15:44 16:05
扇沢 1416 16:15 16:20
大町 712 16:41 17:10
八王子 111 21:25
閉じる