ダイナミックな縦走

北アルプス  常念岳  2857m  蝶ヶ岳  2677m
じょうねんだけ        ちょうがたけ




2005年8月19日〜21日

8月19日 多摩=三股
8月20日 三股〜前常念岳〜常念岳〜常念小屋
8月21日 常念小屋〜常念岳〜蝶槍〜蝶ヶ岳〜三股=多摩

北アルプスの槍穂高の展望を楽しみに、常念岳から蝶ヶ岳へ縦走しました。残念ながら、日本海に居座る前線のため雲が多く槍穂高の展望は望めませんでしたが、そこそこの天気で花を見ながら楽しく歩けました。


8月19日

夜、8時に多摩を出発し、中央高速で松本方面へ向かう。車は普段の週末よりも多いようだ。諏訪湖SAで休憩して長野道の豊科で降りる。豊科のインターからほぼ西に「ほりでーゆ」温泉へ向けて烏川林道に入る。温泉の先の二股を左に行き、沢沿いに烏川林道をを走り、11時30分に、三股の駐車場に到着した。既に駐車場は3割程度埋まっており、早朝には満車になりそうだ。11時45分に車中で寝る。

8月20日

4時に起床する。もっと寝ていたいところだが、昼過ぎには常念小屋に着きたいので早目に起きる。車中で朝食を取り、支度をしているうちに明るくなり、5時に出発する。空は雲で覆われており、まだ薄暗い。



三股の駐車場を出発する。


車止めのゲートを脇を抜けて林道を20分歩くと登山口の登山指導所に到着する。ここのポストに計画書を入れる。林道はこの登山口までで、本沢左岸の山道を歩く。枝沢を越えた所に分岐があり、ここで蝶ヶ岳と常念岳に分かれる。

右に常念岳への道を行く。ここから3時間は樹林の中の登りが続く。振り返ると谷に日が当たり始めた。これから天気は良くなるのだろうか。1時間程歩いて一休みする。蝶ヶ岳の稜線の雲がしだいに上がってきた。ここからは樹林の急登になる。途中で一休みしてさらに登って行くと樹間から蝶ヶ岳の稜線が見えるようになった。さらに登ると頭上が明るくなり、2133メートルのピークに到着した。ここで一休みする。



樹間から蝶ヶ岳の稜線が見える。


しばらく平坦な道が続く。樹間から左に蝶ヶ岳が、正面に前常念岳が見える。ここから見上げる前常念岳は立派に聳え、素晴らしい。2207メートルのピークはまだ樹林の中だが眺めは良い。ここからしばらくは下りになる。しばらくダラダラの下りを行き、コルで一休みして前常念の登りに備える。



樹間から正面に前常念岳が見える。


しばらくは樹林の中の登りが続くが、時々左の雲の間から常念岳の姿が望める。やがて樹林から解放されすっきりした登りになり、岩の間を気持ち良く登る。途中で一休みして雲の間からの展望を楽しむ。一瞬雲が切れ、蝶ヶ岳から常念岳の稜線の向こうに、屏風岩や涸沢が見えた。



樹林から解放されすっきりした登りになった。




左に常念岳の稜線が見える。




前常念岳の山頂は遠い。


岩の間を登ったりして、さらに気持ちの良い登りが続く。やがて前常念岳の石室に到着する。石室の中は意外ときれいで、10人程度は寝られそうだ。石室の裏手を登った所に前常念岳の頂上がある。下から見上げると立派な前常念岳の山頂も常念岳の肩からの稜線の端の小ピークに過ぎない。山頂で常念岳を眺めながら一休みする。



岩の間を登る。




気持ちの良い登りが続く。




前常念岳の石室。




前常念岳の山頂で一休み。


常念小屋へのトラバース道を行く計画だったが、現在通行止めとの情報なので常念岳の山頂に寄ってから小屋へ下る事にする。前常念岳から常念岳の肩へ続く稜線は広々として気持ちが良い。ただ岩が多くて少し歩きにくい。右手下に常念小屋が見える。小ピークを越え、通行止めになっている小屋へのトラバース道を右に見てさらに小ピークをいくつか越える。常念岳がだんだんと迫ってくると縦走路の分岐に出た。



常念岳への稜線。




常念小屋へのトラバース道は通行止め。




タカネヤハズハハコ。




ミヤマアキノキリンソウ。




常念岳が近い。




トウヤクリンドウ。


ここから常念岳の山頂へはわずかな距離である。一休みしてから空身で頂上に向かう。10分程で山頂に到着した。山頂に祠があり、記念撮影をする。祠の正面が崖になっているので撮影には要注意である。雨がパラついてきたので早々に下山する。



空身で頂上に向かう。




常念岳の山頂にて。




蝶ヶ岳へ下る稜線。


分岐でリュックを背負い小屋に向かって下っていると、突然、穂高の方から雷鳴がした。大きな雷鳴では無かったが急いで下る。しばらく下ると小屋も見え、雨も落ちてこなくなり一安心したが、忘れたころに雷が鳴る。こういう状況でも空身で頂上へ向かう人が居たのには驚きである。



常念小屋へ向かって下る。


1時半に小屋に着きチェックインする。今日は込むので2人で布団1枚との事だ。6畳の部屋に入ると各布団に2枚づつシュラフが置いてある。荷物を整理して、とりあえず布団の上で一休みする。雷は止んだようであるが、常念岳の山頂は雲の中だ。山頂からはドンドン人が降りてくる。小屋が混むのもうなずける。

3時半に食事の準備を始める。小屋の自炊場は既に宴会場になっているので外のベンチで夕食にする。幸い、風も無く、雨も止み、寒くも無い良いコンディションである。常念小屋は水の心配が無いのが良い。食事をしながらドンドンお湯を沸かし、コーヒーやみそ汁で水分を補給する。穂高方面は相変わらずの雲の中だが、反対側の安曇野は晴れており、家並みがよく見える。



外のベンチで夕食にする。




常念岳を見上げる。




常念小屋のテント場。




安曇野方面は晴れている。


4時半に夕食を終え、明日のお湯と水を補給して部屋に戻る。パッキングも済ませて明日の出発準備も完了し、後は寝るだけである。5時に小屋の夕食が始まる頃にはシュラフの中でウトウトし始めた。狭くて暑くて快眠という訳にはいかないが、激しいイビキの中、翌朝の3時までゆっくりと寝た。

8月21日

朝3時に腕時計の目覚ましで起きる。寝過ぎたのか、寝足りないのかわからないが、気分は良い。リュックと靴を小屋の入り口へ運ぶ。朝食は途中で食べる事にして、3時半に出発する。雨は降っていないが、防寒のため雨具の上着だけ着て出発する。

外はまだ暗く、霧に包まれている。まだ先行しているパーティーは居ないようで、常念岳への斜面は真っ暗である。ヘッドランプの明かりを頼りに昨日下って来た道を登る。岩がゴロゴロした登りなので暗い中でのルートファインディングはやや難しい。ルートファインディングを楽しみながら登っていると後ろからかなりの数の明かりが登って来た。

お腹がすいてきたので、適当な所で道を外して朝食にする。スイス並にパンとコーヒーの朝食なので調理はいらない。まだ暗い中で朝食を取っていると、人がドンドン登って行った。小屋の朝食前に戻るのか、空身で登っている人も多い。

早々に朝食を済ませて、我々も登り始める。次第に明るくなりヘッドランプの明かりを消す。ルートファインディングの楽しみは減ったが、歩きやすくなった。やがて傾斜が緩み前常念岳への分岐に到着した。ここからわずかで山頂に到着した。昨日、記念撮影を済ませてあるので山頂下で風を避けて一休みする。



常念岳の山頂にて。


今日は霧のためよく見えないが、常念岳の下りは左側が切れ落ちた鋭い稜線の右斜面にルートができている。稜線上の所々に岩峰があり、鋸の歯のような、形の良い稜線である。岩がゴロゴロした下りだが、ルートを外さなければ歩きやすい道である。霧に包まれた岩峰を眺めながらの下りはなかなか幻想的である。下部はやや急な下りになり、岩につかまりながら下る所もあるが、危険な所は無い。やがて傾斜が緩み、コルに到着する。ここで風を避けて一休みする。



常念岳山頂付近の下り。




岩の間を下る。




後ろの岩峰が迫力ある。


コルから一登りして下ると樹林帯に入る。風の無い樹林帯の中は暑い。雨具を脱いで緩やかな登りを行く。登山道の両側には花が見られるようになった。さらに行くと、お花畑の中の登りになる。もう盛りは過ぎているが、トウヤクリンドウなどの花が咲き乱れている。やがて樹林の登りになり、再びお花畑が現れると2600メートルピークに到着し、お花畑の中で一休みする。



 


下りはやや急な斜面になるが、お花畑の中の素晴らしい下りである。ここではトリカブトとイブキトラノオの群生が見られる。お花畑が終わると右に小さな池があり、再び樹林の中に入る。緩やかな登りから下りになり、蝶槍とのコルに降り立つ。ここから蝶槍の登りが始まる。



トリカブトの群生が見られる。




オヤマリンドウ。


しばらくは樹林帯の急登が続く。単調な登りに飽きたころ、森林限界を越え、樹林の登りから解放される。傾斜も少し緩み、気持ちの良い登りになる。やがて蝶槍のピークに到着し、一休みする。槍穂高の眺めが素晴らしい所だが、今日は残念ながら霧の中だ。少し下り、登り返すと以前の蝶ヶ岳の山頂に到着する。今は蝶ヶ岳の山頂は小屋の近くの最高点となっている。平坦で広い山頂なので今日のように視界の無い日は方向を失わないように注意が必要である。



蝶ヶ岳の以前の山頂。


ここからはほぼ平坦な登り、下りが続く。右に横尾への道を見送り、雷鳥の気配を探しながら歩いて行くと期待どおり目の前に雷鳥が現れた。珍しく独り者である。雷鳥が遠ざかるまでしばらく見送る事にする。ここは穂高の眺めに包まれた広々とした稜線だが、今日は霧に包まれた幻想的な空間である。一登りして瞑想の丘に到着する。ここから少し下ると蝶ヶ岳ヒュッテがある。小屋の中のベンチで少し休ませてもらう。コーヒーを飲んでこれから始まる長い下りに備える。



雷鳥がお出迎え。




イワベンケイ。


小屋の周辺は少し風が強い。三股への道は小屋の裏側だが、小屋の上高地側を回ってテント場の右から蝶ヶ岳の山頂へ向かう。山頂の標識は真新しく、最近ここが山頂になった事が感じられる。



蝶ヶ岳の新しい山頂にて。


再びテント場へ戻り、テント場の中を通り抜けて三股への下山道を行く。少し下ると素晴らしいお花畑が開ける。トリカブトが多いが、色とりどりの花が咲き誇っている。ここが今日は一番のお花畑であろう。しばらく立ち止まって優雅な時間を過ごす。



 




ハクサンフウロ。




 




 




 


大滝山への道を右に分けるとお花畑は終わり、樹林の下りになる。樹林の中をドンドン高度を下げる。旧ベンチと呼ばれるベンチで一休みして、トラバース気味に行き蝶沢を横切る。しばらく傾斜の緩んだ下りになり適当な所で一休みする。なかなか長い下りだ。少し登りになり、ベンチを過ぎると急な下りが始まる。

沢床は遥か下である。沢へは降り切らず、途中で右にトラバース気味に行き、緩やかな樹林の中を行くようになる。力水の水場を過ぎ、しばらく行くと沢に到着し、吊り橋を渡る。左からの落石に気をつけながら左岸の山道を行くと常念岳との分岐に出る。わずかな下りで登山指導所のある登山口に着き、林道歩きになる。

3時半に駐車場に着き顔を洗って着替えるとさっぱりした。駐車場にはまだかなりの車が止まっている。豊科へ向けて下り、快調に走るがインターの手前で事故渋滞にあってしまった。迂回して長野道に入る。快調に走るが、小仏峠から25キロの渋滞との事だ。勝沼で降り、笹子トンネルの手前の道の駅で一休みして、都留経由で帰る事にした。1時間ほどオーバーしたが8時半には帰宅できた。



元気に三股の駐車場に到着。


三股から常念岳へ1600メートルの登り、蝶ヶ岳から三股へ1300メートルの下りとダイナミックなルートである。荷物を軽くして万全な体調で臨みたい。蝶ヶ岳から常念岳へ回る方が、常念小屋への往復が省け、初日に遅く出ても雷のリスクが低いので楽である。

8月20日 標高 到着 出発
三股駐車場 1283 5:07
三股登山口 1350 5:22 5:24
分岐 1366 5:26 5:32
樹林登り 1630 6:21 6:30
樹林上部 1865 7:21 7:35
2133ピーク 2133 8:33 8:43
森林限界 2362 9:34 9:45
前常念岳登り 2540 10:26 10:34
前常念岳 2662 11:05 11:27
常念岳肩 2800 12:25 12:36
常念岳 2857 12:47 12:53
常念岳肩 2800 13:03 13:04
常念小屋 2423 13:48
8月21日 標高 到着 出発
常念小屋 2423 3:30
常念岳登り 2592 4:09 4:29
常念岳 2857 5:21 5:50
コル 2463 7:05 7:15
2600ピーク 2600 8:19 8:32
蝶槍 2670 9:40 9:53
旧蝶ヶ岳 2664 10:02 10:05
蝶ヶ岳ヒュッテ 2662 10:43 11:20
蝶ヶ岳 2677 11:24 11:25
旧ベンチ 2302 12:35 12:40
樹林下り 2045 13:35 13:44
尾根筋 1694 14:36 14:39
三股駐車場 1283 15:20 15:50
豊科 553 16:19 16:24
多摩 115 20:47
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