荒川三山

南アルプス  悪沢岳  3141m
わるさわだけ


2001年8月10日〜13日

南アルプス中央部

鳥倉林道〜三伏峠〜小河内岳〜高山裏〜荒川前岳〜悪沢岳〜千枚岳〜椹島〜畑薙第一ダム

会社の夏休みもあと3日となった8月10日の夜、これから夏休みに入る佐藤君と新宿で待ち合わせ南アルプスの荒川三山の縦走にでかけました。荒川三山の最高峰の悪沢岳は登り残した2座の3000M峰の内の一つです。今回は昨年の塩見岳とは反対に三伏峠から南に向かい荒川三山を縦走しました。


10日の夜、8時半に新宿西口の高速バスセンターに集合し、9時の駒ヶ根市行きのバスで南アルプスへ向かった。中央高速はやや渋滞していたが、予定通り0時過ぎに駒ヶ根市に到着した。バスの中ではよく寝られた。

駒ヶ根の駅に向かうが、駅舎は閉まっていて待合室で寝る事はできない。おまけにタクシーに乗るために酔っ払いが駅に集まって来るのでやかましい。途中の無人駅で降りるべきだったかと思ったがもう遅い。駅の横の屋根のある所にシュラフを広げて寝ることにした。

なかなか寝付けなかったが、いつのまにか熟睡してしまい、11日の朝は始発列車のコンプレッサーの音で始まった。予報に反して雨は降らなかったようだ。駅で切符を買い始発列車で伊那大島へ向かう。車窓を眺めながら朝食のおにぎりをほうばる。伊那大島で降りた登山客は我々を含めて3人である。駅で寝ていた人も何人かいて、鳥倉林道へタクシーで行く4人を揃えることができた。ところが肝心のタクシーが来ない。

やがて3台のタクシーが来たが、全て予約車との事。辰野発の列車が到着して、塩川土場行きのバスが来た時やっとフリーのタクシーが来た。タクシーに乗り鳥倉林道を目指す。ダムの脇を通り左に林道へ入る。人家がとぎれ、どんどん高度をかせぎ、鳥倉林道へ入る。途中トイレのある駐車場を過ぎさらに進むとゲートで行き止まる。ここまで約1万2千円である。ゲートの脇には40台程の駐車場が有るが、この時間で既にほぼ満車の状態である。ゲートの横を通ってさらに林道を歩く。ちょうど先程の駐車場が谷の向こうに見えるあたりで、屏風岩が頭上に現れた。

鳥倉林道から見上げる屏風岩。


屏風岩を過ぎると、程なく登山口に到着した。登山口には登山届けのポストがある。計画書は既に県警へ郵送済みであるが、ここにも投函した。

鳥倉林道の登山口。


ここで再びタクシー仲間が揃ったが、我々が最初に登り始める。しばらくは暗い樹林の谷筋の比較的急な斜面を登る。コルに出て尾根状の登りになると傾斜は寝てくる。荷物は軽いが、今日の一本目は体が重い。 やがて登山道は尾根の左側を巻くようになり、傾斜が無くなる。歩くのには楽だが高度を稼げず時間が気になる。

それでも徐々に高度を上げ塩川土場からの道が左から合流してきた。ここから再び登りになるが、雨がしだいに本降りになってきた。三伏峠の手前で雨具を着ける。一年ぶりの三伏峠に着いた。

三伏峠にて。


一休みした後、水と花を求めて水場へ下る。雨が小降りになったので花の写真を撮りながら水場へ向かう。昨年同様色々な花が咲き乱れていた。今日宿泊する小河内避難小屋には水が無いので一人3リットルの水を汲んで行く。

雨の烏帽子岳への登り。


水場からお花畑を登り返すと再び縦走路へ出る。縦走路に出ると雨足が強くなった感じがする。この先、縦走路の右側は崩壊が続いている。場所によっては登山道の近くまで崩壊しているので要注意である。いくつかの小ピークを越えて烏帽子岳の頂上に着いた。今日初めての頂上である。

前小河内岳へ向かう。


森林限界を越え、ハイマツに雷鳥を見つけた。雨は相変わらずだが、風が無いのが幸いである。やがて前小河内岳に着き、小河内岳の登りになった。ハイマツの道を登って行くと、霧の中に小河内岳のピークが見えた。ピークの手前で左に避難小屋へ向けて下る。

小河内避難小屋へ下る。


すぐに小屋に着き中に入る。既に9人の先客がいて、満室状態である。小屋番が詰めるように言ってもおばさんたちは動こうとしない。ともかく濡れた雨具を脱いで紐に吊るし人心地ついた。結局我々は二階の冬季入り口のエリアに他の1人と共に3人で寝る事になった。湯を沸かし、簡単な夕食を済ませ、石油ストーブで衣服を乾かして早々に寝た。

12日の朝、3時に起きると5人のグループは食事も取らずに出発して行った。おかげでゆったりと朝食を食べる事ができた。もっとも昨夜の夕食よりさらに質素な食事であったが。起きた時には星が出ていたが、また小雨が降り出した。小屋でゆっくりして明るくなった4時半に小屋を出た。

小河内岳を登り返し、荒川岳へ向かう。高山裏までは小さな登下降を繰り返ししだいに高度を下げて行く。いつの間にか樹林帯に入るが、所々に小さなお花畑があり飽きない。しかし、縦走路の右側が崩壊しているのは相変わらずである。崩壊が登山道にまでおよんでいる所もある。小河内小屋から1時間程歩いて大日影山の下あたりで一本立てる。

大日影山手前のお花畑。


既に雨は止んでおり、時々東の空に薄日がさすようになった。さらに進むと一瞬霧が切れ荒川岳の下部が見えた。我々が着く頃には霧が晴れるのだろうか。

荒川岳の雲もしだいに晴れてきた。


一度コルに出て、板屋岳へは尾根の左をトラバースぎみに行く。板屋岳には立派な道標が新設されていた。ここで例の5人グループに追いついてしまった。

高山裏へ向かう。伊那側の崩壊が続く。


再び右に崩壊を見ながら高山裏へ下る。高山裏の避難小屋には意外とすぐに着いてしまった。小屋番に水場の事を聞いたら、「そこに書いてある」と怒られてしまった。難しい人のようだ。テント場を抜けて再び尾根の左側をトラバースぎみに登る。少し行くと右手に小さな沢があり、水場になっている。ここで行動用の水を補給する。いよいよ広いカール状の所に出た。上部は霧で見えないが、ここから荒川岳への500mの登りが始まる。

ここから荒川岳の登りが始まる。


低木の中の道をゆっくりと登る。時折霧が晴れて上部を望むことができる。200m登ると道標が有り、ここからは岩れきの登りになる。やがて霧も晴れ稜線が見えた。山頂付近がすぐそこに見えるがなかなか着かない。

ガレ場になると稜線まであと300mの高度差。


荒川岳の稜線までもう一息。


最後は岩稜のような登りになる。頂上付近は風が冷たいので雨具の上だけ着る。前岳への最後の登りは再び崩壊した道だ。所々登山道は崩壊を避けて稜線を巻いて作りなおされている。

ガスが湧く荒川岳の稜線。


やっと中岳の頂上に着いた。頂上の南西側は荒川大崩壊になっていてロープが張ってある。頂上も半分崩壊していて年々崩れて低くなっているようだ。

荒川前岳の頂上にて。ロープの向うは荒川大崩壊。


中岳へ向かって少し下ると、右へ赤石岳への縦走路が分かれる。ここから先は私にとって初めて歩く道になる。いよいよ悪沢岳が近づいてくる。中岳への頂稜の岩には高山植物が豊富に咲いておりとても美しい。

岩にしがみついている高山植物が何とも美しい。


岩場に咲く花を眺めながら歩いて行くとすぐに中岳の頂上に着いた。

荒川中岳の頂上にて。


中岳の頂上の先には避難小屋があり、小屋の入り口には天気図が貼ってあった、相変わらず停滞前線がありどうなるかわからない天気だ。

中岳の避難小屋。


中岳からゆったりとした稜線を歩いていると突然前方の雲の中から悪沢岳が姿を現した。なかなか迫力のある姿だ。ここから見るとかなり下ってから悪沢岳の登りになるようだ。

雲の中から姿を現した悪沢岳。


迫力有る悪沢岳。


稜線はしだいに細くなってゆくが、右手の沢の源頭に素晴らしいお花畑が広がるようになる。今まで見たことも無いような広大なお花畑である。

荒川岳南面に広がるお花畑は素晴らしい。


細い岩稜を過ぎ、トラバースぎみに下るとコルに降り立つ。さあ、ここから悪沢岳の登りだ。

悪沢岳頂上直下。


急な登りではあるが、中岳から感じたほどの厳しさではない。待ちに待った悪沢岳である。岩に咲く花の写真を撮りながらじっくりと登る。頂上だと思うとその先に頂上らしきものが現れたりするが、しだいに傾斜が無くなり悪沢岳の頂上に着いた。

悪沢岳、別名荒川東岳の山頂にて。


頂上でしばらく感激しながら休憩する。雲が出たり消えたりの天気で時折、蝙蝠岳あたりが見えるが、残念ながら塩見岳や赤石岳は姿を見せない。

悪沢岳から千枚岳への下り。


大きな岩が無数にころがっている悪沢岳の頂上を千枚岳へ向かって下る。途中、丸山という認知されていない三千メートル峰を通り、細い岩稜の小さくて簡単なフェースを2つ登り、千枚岳の頂上に立つ。これで今日の登りは全て終了した。

千枚岳の山頂にて。


千枚岳からわずかの下りで右手に千枚岳小屋が見え、さらに下りお花畑の中を歩くようになると小屋に到着する。小屋は予想通りの混雑ぶりである。小屋に泊まって食事を2食いただかないと椹島からのバスに乗せてもらえないのでやむを得ず並んでチェックインする。小屋に入り、荷物を整理してから外へ出てビールを飲んだり、コーヒーを沸かしたりして佐藤君と今回の山行を振り返った。

千枚小屋にて。


6時に我々の夕食の時間がやってきて、腹いっぱいの食事をいただく。食後すぐに寝るが、隣のおじいさんのいびきが煩くてなかなか寝付けず困った。

13日は朝3時に起き、トイレを済ませて3時半に出発する。人が多いので椹島を8時のバスに乗ることにした。空は満天の星で今日は天気が良さそうだが残念ながら下山しなくてはならない。

樹林に入ると真っ暗になる。ヘッドランプの明かりをたよりにひたすら下る。1時間半ほど下ると明るくなってきたので一休みする。さらに1時間下ると椹島から登って来る人とすれ違うようになる。さらに下るにつれて登って来る人は増え、時折待たされることもある。

椹島まであと30分というあたりから道は突然悪くなる。所々で枝沢による登山道の崩壊があり高巻きする場所があり歩きづらい。そこで不覚にも木の根で滑ってころんでしまった。手をついた所が悪く岩の角だったため、少し手を切ってしまった。簡単な治療をして再び歩き出す。嬉しい事ではないが、今日は初めて救急箱が役にたった。

よく揺れる吊り橋を渡り、もう悪い所は無いだろうと思っていたら、枝沢に渡されたスチールの橋で歩く所が外れていて、外枠だけの場所があった。やっと林道に出て、右に少し下り、二股の所で左の斜面を下ると椹島に着く。

椹島への吊橋。


椹島へは7時を少し過ぎた時間に着いた。椹島ではシャワーを浴びようと思って頑張って下ったのだが、残念ながらシャワーは9時からなので諦めた。売店で小屋の領収書と引き換えにバスのチケットをもらう。まず千枚小屋の弁当を朝食に食べ、そして手の治療をして、Tシャツを着替えた。

8時のバスに乗り、畑薙ダムへ向けて下る。途中、赤石岳が見える場所で一時停車してくれて、今回の山行で初めて赤石岳を眺める事ができた。

バスから見た赤石岳。


バスは川沿いに下り、茶臼岳への大吊橋を過ぎ、第一畑薙ダムへ着いた。さすがに暑い。ビールを飲みながら静岡行きのバスを待つ。荷物の重量チェックが始まった。10キロを越えると運賃の半分という法外な荷物料金が取られるので真剣だ。二人とも無事クリアできた。

バスは第一畑薙ダムを渡り、第二畑薙ダムを過ぎ、井川で休憩になる。井川から山を越え、静岡には予定より早く到着した。静岡からは東海道線、小田急線と乗り継ぎ、5時過ぎに家に着くことができた。

椹島から畑薙第一ダムまで歩くと5〜6時間かかるので、時間の節約のためには地域の山小屋を管理する東海フォレストのバスに乗らざるを得ない。椹島へはバスに乗り3千円払い小屋代に補填するチケットをもらえば小屋に泊まるかどうかは自由だが、椹島からは小屋に泊まり二食した領収書が無いとバスには乗れない。

8月10日 標高 到着 出発
新宿 21:00
8月11日 標高 到着 出発
駒ヶ根駅 0:35 5:07
伊那大島駅 635 5:50 6:35
鳥倉林道車止め 1715 7:34 7:42
登山口 1830 8:28 8:32
一本 2150 9:23 9:32
一本 2360 10:28 10:37
塩川分岐 2455 10:57
三伏峠小屋 2600 11:29 11:43
水場 2515 12:02 12:14
烏帽子岳 2726 13:10 13:19
前小河内岳 2784 14:09 14:16
小河内岳避難小屋 2790 15:00
8月12日 標高 到着 出発
小河内岳避難小屋 2790 4:42
小河内岳 2803 4:50
大日影山付近 2570 5:56 6:03
板屋岳 2646 6:46 6:54
高山裏避難小屋 2430 7:32 7:45
水場 2490 8:04 8:10
一本 2560 8:38 8:53
一本 2870 9:39 9:47
稜線 3040 10:12 10:23
前岳 3068 10:38
中岳 3083 10:53 11:02
コル 2900 11:31
悪沢岳(東岳) 3141 12:13 12:32
丸山 3032 12:54
千枚岳 2880 13:32 13:43
千枚小屋 2630 14:09
8月13日 標高 到着 出発
千枚小屋 2630 3:35
一本 2005 4:52 5:04
一本 1595 5:59 6:11
椹島 1100 7:13 8:10
畑薙第一ダム 980 9:10 9:40
静岡 12:50 13:00
自宅 17:00

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