湿原の花園

東北  田代山  1971m   帝釈山  2060m
たしろさん      たいしゃくさん


2001年6月23日

会津の南、日光の北

猿倉〜小田代〜田代山湿原〜帝釈山〜田代山湿原〜小田代〜猿倉

1998年の11月に三田山岳部の横山さんと池田君の3人で馬坂沢林道から帝釈山へ向かい雪のため敗退しました。今回は当時、台風の後遺症で通行止めだった田代山林道から猿倉に入り、田代山経由で帝釈山に登りました。田代山の湿原の花にも出会うことができ素晴らしい山行でした。


朝、3時半に起床し、3時50分に天王台のアパートの前で横山さんの車を待つ。横山さんの車はすぐに到着し、3時55分に天王台を出発した。柏から常磐道へ入り、外環道経由で東北道へ入る。浦和で松村さんの携帯電話に電話をかけると我々の少し前を走っているとのこと。順調に進み、佐野のパーキングで松村さん夫妻と合流し一緒に朝食をとる。

佐野からは車2台連なって行く。宇都宮で日光自動車道へ入り今市で一般道へ下りる。鬼怒川温泉を過ぎ、西へ川俣湖方面へ向かい、栗山村で北へ向かう。土呂部を過ぎ、左に田代山林道へ入ると、とうとう砂利道になった。すぐに馬坂沢林道との分岐になり、右に田代山林道を行く。田代山林道は時々左前方に帝釈山や田代山を見ながらほぼ稜線上の高い所を水平に行く。いつのまにか馬坂沢林道をはるか下に見下ろすようになる。

田代山からの稜線を回り込むと栃木県から福島県に入り道は下りになる。すぐに猿倉の駐車場に着き、金丸さんの車を発見し、金丸さん夫妻、中谷さん小林さんに合流する。天王台からちょうど4時間であった。 駐車場はほぼ満車であったが、少し下った所にも広い駐車場が有り、我々が支度をしている間にも続々と人が上がって来た。人気のある山である。支度をして予定通り8時過ぎに金丸さんを先頭に出発した。天気は曇りで、まずまずである。

駐車場の西側に登山口の立て札があり、すぐに沢を渡る。道はすぐに急登になり、苦しい。展望の無い樹林の中をひたすら登る。唯一、小さなドウダンの赤い花が元気づけてくれる。

ベニドウダン。


40分登って一本立て、さらに樹林の中を登る。やがて木の高さが低くなり振り返ると登って来た尾根が望める。遠くの山も見えるようになり、天気はしだいに良くなっているようだ。

元気にライカのカメラと登る横山さん。


やがて傾斜が緩くなり木道を歩くようになると、チングルマなどの花が迎えてくれる。

小田代への木道を歩く。


すぐに小田代に到着した。ここは小さな湿原になっており、チングルマやイワカガミの花を眺めながら分岐を右に行った所で休憩する。

チングルマとイワカガミが咲き乱れる小田代。


再び分岐に戻り、木道を田代山へ向けて歩く。

小田代の木道を歩く。


小田代から田代山までは20分の急登である。左上に小さな雪渓を見ながら気持ち良く登る。

見上げる田代山。


木道に出ると、そこは田代山の頂上の湿原の端である。

田代山の湿原を行く。


天気はしだいに良くなってきた。正面に会津駒ヶ岳を眺めながら気持ちの良い木道を進み田代山山頂の看板のあるT字路に着いた。特に休む広場も無いので、T字路を右に行った木道の上で大休止となった。梅雨の合間の素晴らしい天気の中、湿原の花に囲まれて最高のひとときである。ここにもチングルマ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲ、イワカガミ、タテヤマリンドウ等の花が咲き競っている。そして、正面に広がる会津駒ヶ岳の眺めも素晴らしい。

湿原の向こうに会津駒ヶ岳を望む。


田代山湿原のヒメシャクナゲ。


再び帝釈山へ向けて金丸さんを先頭に出発する。先ほどのT字路へ戻り、避難小屋の弘法大師堂へ向けて直進する。

田代山湿原を帝釈山へ向け歩く。


ふと足を止めると、木道の左にチングルマの絨毯が広がり、圧巻である。

チングルマの絨毯。


避難小屋の手前の木道が湿原から樹林に入るあたりで水芭蕉を見つけた。

ミズバショウの花が咲いていた。


弘法大師堂の近くにはトイレも有り、大勢の人で賑わっている。ここで中谷さんが近くの残雪にメロンを埋め、全員で帝釈山へ向かう。帝釈山へは100m下り200m登りで楽そうだが、意外とてこずった。田代山は頂上が平らで台形のような形をしていて降り口は急斜面である。下り斜面にオサバグサの白い花が群生しており目を楽しませてくれる。やがて鞍部に着き、これから登りだと思ったが、木の根や泥濘みの歩きにくい登下降が続く。時折ピークが見えるが目指す帝釈山はまだ先だ。

帝釈山への道。


小さな沢を渡りやっと登りになった。展望の無い樹林を登り、途中で一本立て、更に登ると所々岩が出て来て急登になると頂上は近い。シャクナゲの花を見るとすぐに頂上に着いた。帝釈山の頂上は狭いので人であふれている。我々が休む場所も無いので反対側へ少し下った道端で休憩する。皆さんから色々な食料をいただきながらコーヒーを沸かし皆で飲んだ。見晴らしもあまり良くないので、頂上で写真を撮り、早々に田代山へ戻る。

帝釈山の山頂にて。


来た道を下るが、相変わらず登って来る人が居る。中には帝釈山から田代山へ登り、帝釈山へ戻る人も居た。文句を言いながらぬかるみを歩き鞍部に着いた。田代山へは一登りで着き、中谷さんが雪の中からメロンを掘り出して、湿原の中でごちそうになった。

田代山のT字路でメロンを手に。


やがて湿原は霧に覆われ、少し雨が落ちてきた。急いで下ることにする。見る間に霧で視界が無くなってきた。

霧の田代山湿原。左の人物は横山さん


田代山湿原のワタスゲ。


本格的な雨が降り出したので急いでカッパを着た。すると皮肉な事に雨は小降りになってしまった。急な道を下り、小田代へ着くころになると少しズボンが蒸れてきた。雨具を脱いで、また雨が降り出すとしゃくなのでそのまま下る。するとしだいに雨が強くなってきて正解であった。

ようやく沢の音が聞こえてきて登山口が近づいて来た。最後の急斜面を下り沢を渡り、やっと今日の山行を終える。泥だらけの靴とストックを沢で洗い車へ向かうと、車で来た大浦夫妻が温いコーヒーで迎えてくれた。ありがたい一杯のコーヒーをいただいた。正確には二杯。

車でさらに田代山林道を北へ湯ノ花温泉へ向かう。福島側は道路が良く整備されていて走りやすい。200円の湯ノ花温泉の弘法の湯にゆっくりつかり山の疲れを癒す。今夜の宿は近くの「やまさん」という民宿である。私は初めてだが、中谷さんはじめ三田山岳部の面々は常宿にしている民宿である。岩魚の刺し身や骨酒をごちそうになり山菜もいただき腹一杯飲んで食べてしゃべり楽しい時間を過ごした。最後にテレビを囲んで、恒例の三田山岳部の昔の写真を見る会を横山さんの説明付きで行い、お開きになった。

よくあぶった骨酒用の岩魚。


「やまさん」の夕食とビールで大満足な私。


翌朝、5時半に起床し雨の中、車で木賊温泉へ向かう。河原の野天風呂につかる。宿に戻ると朝食が待っており、またたらふく食べてしまった。

舘岩村の民宿「やまさん」。


帰りは私の家の近くに住む大浦さんの車に乗せてもった。松村さんの車と2台で六十里越えで帰る。深沢温泉の「むら湯」で鉄の赤サビのような温泉に入り、田子倉湖を越え山菜たっぷりの蕎麦を食べ、小出に出た。小出からは関越道で快調に八王子へ戻った。家まで送ってくれた大浦さんありがとう。

田代山湿原は尾瀬と違い大勢の登山者を受け入れるキャパシティーは無いので、さりげなく登り、さりげなく楽しむ余裕で歩きたい。

6月23日 標高 到着 出発
天王台 3:55
猿倉登山口 1410 7:55 8:07
一本 1670 8:44 8:52
小田代 1810 9:19 9:30
田代山湿原 1930 9:52 10:10
弘法大師堂 1971 10:22 10:28
一本 1940 11:16 11:22
帝釈山 2060 11:34 12:22
一本 1895 13:10 13:16
弘法大師堂 1971 13:38
田代山湿原 1930 13:52 14:08
小田代 1810 14:32
一本 1555 14:59 15:03
猿倉登山口 1410 15:20

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