石灰岩台地の渓谷

広島県  帝釈峡   
   たいしゃくきょう


2000年4月22日

広島県の東北端

東城駅−紅葉橋〜幕岩〜虹鱒養魚場〜雄橋〜帝釈−未渡

父の生家は広島県の東南端の未渡という村にあります。近くに帝釈峡という国定公園になっている石灰岩台地の渓谷があります。山口県の秋吉台にならぶ我が国の古生層の主要な発達地域です。この帝釈峡には雄橋(おんばし)という世界の三奇橋に数えられる天然記念物の自然橋があります。ちなみに世界の三大奇橋とは、雄橋とアメリカのロックブリッジ、スイスのピレプシューだそうです。

未渡で生家を長い間守ってきた私の叔母にあたる人が三月に逝去され、50日祭の納骨の式に父の名代で出席することになったので、25年ぶりに帝釈峡を訪れることにしました。25年前には妻と亡き母と三人で真夏の暑い時に歩いたように覚えています。


東城の駅からタクシーで紅葉橋へ向かう。帝釈から川沿いに下り、雌橋から遊覧船に乗り紅葉橋へ下るのが普通だが、父の実家がある未渡へ行くので、今日は逆コースを行く。それに今日は観光客が少ないせいか、時間が遅いのか遊覧船は出ないようなので、全行程を歩くことにする。

タクシーを降りてからパッキングをするが、どうみてもリュックに収まりそうにない。長崎でお土産をいただいたのが計算外だった。小奴可の駅のように預けるわけにはいかないので、サブザックに軽くてかさばるものをつめてリュックの後ろに取り付ける事にした。これでOKだ。


国定公園帝釈峡の案内板。

紅葉橋の横からトンネルを通り駐車場へでる。タクシーの運転手に教わった通り、駐車場の先を右に曲がるとトンネルがあり、その先の橋をわたる。自分では道を知っているつもりだったが、よく考えてみると、いつも船を使っていたので、ここを歩くのは初めてであった。

橋を渡り、またトンネルを抜けると帝釈川にでる。右へ橋があるが、これは別ルートから紅葉橋方面へ戻る道である。ここは直進する。すると、何と「この先、落石危険のため通行止め」の看板がある。よく読むと幕岩と雌橋(めんばし)までの間が通行止で、迂回ルートがあるようだ。


神竜湖を見下ろす。

こういうケースでは通常自己責任で通行できるはずなので幕岩まで行ってみることにする。トンネルをくぐり、橋を二つ渡り幕岩の下に着いた。幕岩は、見上げると100メートル近い高さの岸壁である。この先は岩をえぐった廊下状の道が続いている。橋から道に降りる階段が板でふさがれており、どうやら突破は困難なようなので断念する。


聳える幕岩。


通行禁止になっている幕岩の道。

500メートルほど戻って巻き道を登ることにする。高度差120メートルほどの登りだが、予定外の登りなので疲れる。おまけにリュックは重く、登りがきつい。登りきった所に東屋があり、水を飲んで一休みすると元気がでてきた。予定より遅れそうなので、未渡の家に少し遅れる旨、電話をいれる。

岸壁の上は高原状になっており、遊歩道の道幅も広い。農家も数件あり生活道になっているようだ。今回は時間が無く行けなかったが、近くにドリーネという石灰岩台地特有の窪地もある。帝釈峡も山の上にでてしまえば、ただの単調なハイキングコースになってしまう。

やっと下降点に着いた。下りはあまり急ではなく、簡単に下の河原に降りてしまった。川を渡ると虹鱒養魚場の釣り堀がある。雌橋へは川沿いに10分ほど下っていかなくてはならない。今日は時間が無いので残念だが雌橋は断念する。川沿いに少し上ると帝釈峡唯一の急流である断魚渓がある。


断魚渓。


石灰岩を削る帝釈川。

帝釈峡は石灰岩台地に削られた深い峡谷である。色々な奇岩があるが、なかでも帝釈川にかかる50メートル程の高さの天然橋は壮観だ。この上に川沿いに唐門、白雲洞がある。今日はもう閉まっていたが、白雲洞は一見の価値がある立派な鍾乳洞である。


侵食でできた巨大な自然橋、雄橋(おんばし)。

雄橋の脇に立っている案内板の説明文を掲載する。「この天然橋は、帝釈川の流路上にあった岸壁で部分的に地下の石灰岩洞であったものを川の水がその洞内を流れて浸食を続けていた。その後、石灰岩の天井の大部分がくずれ落ち、現在の雄橋の部分が残って出来たものであろう。この雄橋は、長さ約90m、高さ約40m、幅約19m、帝釈川の水面より橋の裏面まで約18mある。このように大規模な天然橋はまれで、スイスのプレビシュ、北アメリカのロックブリッジと並んで世界三大天然橋の一つとされている。」


岸壁に開いた二つの自然の門、唐門。

白雲洞の先には特に見るものはなく、帝釈へ着いた。駐車場から未渡へ電話し、車で迎えに来てもらう。予定の6時を15分過ぎてしまったが、道後山から帝釈峡へと楽しい一日であった。帝釈から未渡までは3キロ程である。昔、父と歩いた記憶があるが、今は立派な道路になってしまっていて、歩く道ではなくなっている。

帝釈から雄橋まではのんびり馬車に揺られるのも良い。白雲洞の鍾乳洞は一見の価値がある。その先は、雌橋まで歩き、幕岩などの岸壁を眺めながら船で紅葉橋まで下るのが良い。

場所 高度(m) 到着 出発
紅葉橋 415 16:21
幕岩 415 16:43
巻き道の東屋 525 17:03 17:08
虹鱒養魚場 410 17:35
雄橋 420 17:55
帝釈 435 18:15


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