NDS三田山岳会60年記念山行

南アルプス  仙丈岳3033m
   せんじょうだけ


2000年9月2日

南アルプス北部

八王子=広河原=北沢峠〜五合目〜小仙丈岳〜仙丈岳〜馬ノ背ヒュッテ〜五合目〜北沢峠=広河原=芦安温泉

9月3日は、NDS三田山岳会の創立60周年記念山行です。総勢40名の参加で、仙丈岳、栗沢山、早川尾根縦走など三つのパーティーが北沢峠に集中して、その後、芦安温泉の岩園館に集まり宴会というものです。私は仙丈岳のパーティーですが、他の人は前日に北沢峠へ入っているので、後発の追っかけ隊です。3時間も前に出発している本体と頂上で合流できるかどうか、苦しい登山になりそうです。


9月2日

会社から家に直行し、夜8時に出発する予定だったが、久しぶりに会った次男とのんびり話してしまったため少し遅れてしまった。8時20分に広河原へ向けて出発した。私のバイク(セロー)は高速道路が苦手なので空いている甲州街道で行く事にする。津久井湖を経由して、相模湖の手前で甲州街道に入る。

甲州街道は、道路工事が多く、片側通行になっている所が多かったが、あまひっかからずに通過した。大月を過ぎると勝沼までは信号がほとんど無いので快調に走れる。甲府でガソリンを満タンにし、朝食のおにぎりとお茶、そして今夜のビールと酒を買う。

甲府昭和の中央高速の出口から二つ目の陸橋を左に出て芦安へ向かう。韮崎からの道にぶつかり、右折するが、クランク状にすぐに左折する。ここまでくると前にも後ろにも車はおらず、すれ違う車すらいない。芦安を過ぎ、山道になるとますます寂しくなる。時々見える甲府の町の夜景がきれいだ。夜叉神峠の長いトンネルに入る。トンネルを出ると広河原へ向けて真っ暗な山道が続く。どのへんを走っているのか見当がつかないが、やっと広河原ロッジらしき明かりが見え、広河原に到着した。

駐車場はの車はまだ少ない。荷物を持って吊橋を渡り広河原の幕場へ向かう。今夜は意外と風か強い。ツェルト(簡易テント)を張り、中でお酒を飲む頃には1時近くになっていた。風でツェルトがバタバタうるさいので良く寝られそうもない。

9月3日

あまり寝た感じはしなかったが、5時15分に起床し、ツェルトをたたみ、吊橋を渡って駐車場へ向かう。途中に北沢峠行きの村営バスの乗り場があり、もうかなりの人が並んでいた。とりあえず列にリュックを置いて、バイクに荷物を置きに行く。駐車場でNDSの佐藤隆三さんに会った。バスの乗り場で朝食のおにぎりを食べ、佐藤さんと八月に北岳の八本歯のコルでニアミスした事など話していると松村さんの車がやってきた。

バスは3台待っていたが、お客が多いので1台増発され、それでも立ち席満員で定刻に出発した。私は運良く、3台目の先頭になり、楽に座る事ができた。昔、この林道が「南アルプス、スーパー林道」と呼ばれて、建設に賛否両論があり、それでも建設されたばかりのころ、NDSの大崎と2人で広河原からこの林道を歩いて北沢峠から仙丈岳に登り、南アルプスの全山を縦走した事が懐かしい。当時はバスは走っていなかったが、今は、広河原から芦安村のバス、戸台から長谷村のバスが入り、多くの人が北沢峠に入り、村の観光資源になっている。

北沢峠で支度をし、栗沢山に向かう佐藤さんに挨拶をして仙丈岳へ向けて登り始める。樹間から北沢峠を見下ろすと、バスが着いて間がないので、大勢の人でにぎわっている


北沢峠を見下ろす。

先行している本隊は、頂上に9時半の予定なので、追いつくには2時間で登らなくてはならない。まず、五合目までの標高差500mを一時間で登るのが目安である。高度計を見ながら先行パーティーを抜きグングン登る。いつの間にか4人のパーティーになっていて、私はその二番手になっていた。四人とも着かず離れず快調に登ってゆくので、かえって楽だ。


五合目(大滝ノ頭)への登り。

一合目、二合目とほぼ100m毎に休み場があるが、目もくれずに登り続ける。とうとうトップが四合目で休んでしまい、自分がトップになってしまった。今日は暑くなく、半袖では肌寒いほどなので助かるが、喉が渇いてきた。五合目まで頑張って、小休止しよう。


五合目(大滝ノ頭)。

五合目から右へ藪沢小屋への道が分かれる。数名のおばさんパーティーが休んでいて、少し騒がしい。水を飲み、写真を撮ってすぐに出発する。振り返ると甲斐駒ケ岳の摩利支天の雲が切れ、岩が光っていた。


五合目から甲斐駒ケ岳を振り返る。

五合目からは少しペースを落とす。少し樹林の道を登ると森林限界を越え、前方に小仙丈岳が見えてきた。同時に、右の藪沢からものすごい勢いで雲が吹き上げて来た。時々風でバランスを失うほどだ。


小仙丈岳への登り。

小仙丈岳への道は、ザレていて少々歩きにくい。時々風にあおられながら登るが、だんだん半袖では寒くなってきた。下ってくる人は皆雨具を着けている。上は雨のようだ。五合目から40分ほど歩いて、ようやく小仙丈岳の頂上に着き、長袖シャツを着た。ここで、雨具をつけるべきだったが、雨具がザックの一番下にあるのと時間が無いので、そのまま仙丈岳へ向かった。

小仙丈岳から稜線通しに進むと、小さな岩場の下りになる。視界も悪くなり、吹き上げて来る雲の中から落ちてくる雨がだんだん本格的になってきた。小さな岩峰をいくつか越えるが、なかなか頂上には着かない。雨もかなり本降りになり、濡れてきた。やむを得ず、岩峰の手前でザックを降ろし、中身を全部出して雨具を着けた。かなり時間をロスしてしまった。

雨具を着けて、数歩歩いた所で数名のパーティーとすれ違った。しばらく、鈴木保正さんと顔を見合わせた。本隊と遭遇だ。今、頂上から下り始めたところだそうだ。そこの岩峰が頂上だと聞いて、一人で頂上を踏んできた。


仙丈岳の頂上にて。

頂上に一人、人がいたので写真を撮ってもらい、急いで本隊の後を追う。仙丈小屋への分岐で追いついた。ここから仙丈小屋へ下る。トラバースぎみにカールへ下るのだが、霧のため何も見えない。仙丈小屋はきれいな新しい小屋だが、以前は付近に幕場が有ったのに、今は幕営禁止になっていて不便である。

霧の中、どこを歩いているのかわからないが、馬の背へ向けて下る。下るに従って雨は弱くなるがなかなか止まない。馬ノ背分岐手前の花のきれいな所で一休みする。


馬ノ背分岐手前にて。

やがて道は尾根状になり、馬ノ背との分岐に着く。ここを右に馬ノ背ヒュッテへ向けて下る。やがて、発電機の音が聞こえると小屋に着いた。小屋の前のベンチでお湯を沸かし、味噌汁、コーヒー、紅茶を飲む。寒いのでとてもおいしい。コッフェルとコンロを持ってきて良かった。鈴木さんからちょっぴりウイスキーをいただいた。


馬ノ背ヒュッテにて味噌汁とコーヒー。

馬ノ背ヒュッテから少し下ると藪沢にでる。ここから道は五合目へ向けてトラバースする。ほぼ水平な道だが、登ったり下ったり、沢を渡ったりとあまり楽ではない。藪沢小屋を過ぎると樹林が濃くなる。五合目に着くころ、やっと雨が上がった。

今朝、一生懸命登った道を、のんびり下る。何度か休んで、北沢峠に降り立った。村営バスで広河原へ戻ると良い天気で暑い。そのままバイクに乗り、芦安温泉へ向かう。あとは、温泉と宴会だ。

北沢峠へはバスが入るため大勢の登山者、ハイカーが入る。そのためシーズン中は付近の小屋は満員になり、予約が必要となる。

9月1日 標高 到着 出発
八王子 20:20
広河原 1500 24:00
9月2日 標高 到着 出発
広河原 1500 6:50
北沢峠 2030 7:20 7:25
五合目 2520 8:28 8:30
小仙丈岳 2855 9:10 9:16
仙丈岳 3033 10:08 10:10
仙丈小屋 2900 10:35 11:45
馬ノ背分岐手前 2700 11:12 11:18
馬ノ背ヒュッテ 2610 11:30 12:07
五合目 2520 12:44 12:55
三合目 2325 13:19 13:30
北沢峠 2030 14:20 15:10
広河原 1500 15:30 15:40
芦安温泉 16:15


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